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一ノ木戸商店街の和菓子店「かつぼ屋」の、四季を大切にしたお菓子。

和菓子離れが進んでいると言われていますが、町には古くから続いている和菓子店が今もたくさんあります。きっと私たち日本人の生活にとって、和菓子がなくてはならないものだからではないでしょうか。三条にある一ノ木戸商店街の「かつぼ屋」もそんな老舗和菓子店のひとつ。今回は7代目店主の山崎さんから、和菓子についての思いを聞いてきました。

 

 

かつぼ屋

山崎 晃史 Akifumi Yamazaki

1982年三条市生まれ。横浜と東京の和菓子店で修業を積み、2004年より三条に帰って家業の「かつぼ屋」に就業。2020年より7代目店主となる。ジャンルを問わず食べ歩きをするのが趣味。

 

本当に「見ておぼえた」和菓子職人の修業。

——「かつぼ屋」さんの創業は古いんですか?

山崎さん:明治初期から120年以上続いていると聞いています。はじめは飴や駄菓子を作って売ったり、和菓子の材料を卸していたそうです。和菓子の製造をはじめたのは4代目からで、主に結婚式や法事に使う式菓子を作っていたんですが、僕の代になってからはお客様と直接関わることのできる店舗販売に切り替えました。

 

——山崎さんは最初からお店を継ぐつもりだったんでしょうか?

山崎さん:幼稚園の頃から漠然と継ぐつもりでいました(笑)。だから高校を卒業してすぐに、横浜と東京の和菓子店で修業をしたんです。

 

 

——和菓子職人の修業って、厳しそうですね。

山崎さん:厳しかったといえば東京のお店でしたね。「仕事は見ておぼえる」を徹底しているお店だったから、一切教えてくれないんですよ。まったく教えないまま、いきなり仕事をやらされるんです。当然できるわけないじゃないですか。「できません」っていうと「お前は仕事に興味がないんだな。興味がないなら新潟へ帰れ」って叱られるんです。

 

——全然教えてもらえないんですか……ガチで厳しいですね(笑)

山崎さん:それ以来、旦那の仕事を見ながら自分の頭の中で繰り返しイメージトレーニングして、仕事が終わってから自主練をするようになりました。その経験のおかげで集中力がかなり鍛えられましたね。長い間やっていなくて忘れていてる作業でも、作りはじめると自然に思い出せるんです。

 

 

——それだけ集中しておぼえたということですね。

山崎さん:旦那からは「うちで2年間我慢して修業したら、新潟で一番の和菓子職人にしてやる。和菓子職人がダメでも人間として一人前にしてやる」と言われました。その言葉を信じて頑張りましたね。

 

——そんな厳しい修業のなかで、楽しい思い出や嬉しかったことはあったんでしょうか?

山崎さん:僕が本気でお菓子作りに取り組むきっかけになったのが、旦那から叱られたときに言われた「お前はやればできるんだから、ちゃんとやれよ」という言葉でした。実は認めてもらえていたことがわかって、涙が出るほど嬉しかったですね。

 

——修業はどれくらい続けたんですか?

山崎さん:横浜と東京で2年ずつです。御礼奉公を終えて東京のお店を辞めるとき、「もう少しいてもいいんだぞ」って言われましたけど「今までありがとうございました!」と言って新潟に帰ってきました(笑)

 

季節感を大切にしながら作る、和菓子のオススメ。

——洋菓子も作っているんですね。どんないきさつで作りはじめたんですか?

山崎さん:2012年に店舗を新築してリニューアルオープンしたんです。そのときにオーブンを入れてもらった福岡のメーカーから、オススメの洋菓子店を何軒か教えていただいたんですよ。食べ歩きしてみて一番美味しいと思ったお店に「給料はいらないので、シュークリーム、プリン、ロールケーキの作り方を教えてもらえませんか」という内容の手紙を送ったら快諾していただけて、ひと月だけ研修させてもらったんです。

 

——すごい熱意ですね。もしかして、洋菓子にも力を入れていこうと思っているんですか?

山崎さん:あくまでも和菓子店としてやっていくつもりなんですけど、和菓子店って若い人からは敷居が高いイメージを持たれているように感じるんですよ。だから親しみやすいシュークリームやプリンを置くことで、少しでもお店に足を運んでいただけたらと思っているんです。もちろん、洋菓子も美味しいので自信があります(笑)

 

 

——洋菓子を置いているのは、敷居を低くするための工夫だったんですね。では和菓子のオススメ商品を教えてください。

山崎さん:うちの人気商品は「いちご大福」なんですよ。甘みと酸味のバランスがいい「とちおとめ」を使っているので、ジューシーな果汁と豊潤な香りをお楽しみいただけます。白あんを使っていることで、いちごの風味を邪魔することなく引き立てているんです。いちごを求肥で完全に包まずに半開きにしているのは、自然発生する酵素で大福が膨らむのを防ぐためなんです。

 

——なるほど。あれ? でも「いちご大福」は売っていませんよね。

山崎さん:11月中旬から5月中旬の期間限定商品なので、販売をはじめるのは来月からなんですよ。その代わりにはじめたのが「若桃大福」や「マスカット大福」なんです。「若桃大福」は東日本大震災で被害に遭った福島の復興支援をきっかけにはじめた商品で、福島の桃農家で間引きされた桃を蜜漬けして使っているんです。

 

 

——「若桃大福」や「マスカット大福」は、色も味も爽やかですね。他にも力を入れている商品ってあるんでしょうか?

山崎さん:11月中旬までの販売になっちゃいますけど、秋は「栗蒸し羊羹」がオススメです。寒天じゃなくて小麦粉で作る羊羹なのでもっちりしていて、ふわふわな松風との相性も抜群なんです。こだわって作っている自家製のこしあんを使っているので、美味しい蒸し羊羹ができるんですよ。

 

——あんこにもこだわっているんですね。

山崎さん:時間も手間もかけてこだわっていますね。しっかりした甘みがありながら、しつこくなく、すっきりした味わいのあんこに仕上げてあって、作るお菓子ごとにあんこを使い分けているんです。

 

 

——お菓子作りの上で特に心がけていることってありますか?

山崎さん:旬の素材を活かしながら、四季の喜びが感じられるようなお菓子作りを心がけるようにしています。

 

——そんな思いが「いちご大福」や「マスカット大福」にも込められているんですね。上生菓子の見た目にも四季が感じられますね。

山崎さん:ありがとうございます。上生菓子はお茶請けとして作られているので、ぜひお茶と合わせてお楽しみいただきたいですね。上生菓子はお茶の味を補償するものなので、お茶の邪魔をしないで引き立てるような味わいにしてあります。「美味しいお菓子だった」じゃなくって「美味しいお茶だった」と言われなければダメなんですよ。

 

——なるほどー。見た目でも味でもお茶を引き立てるものなんですね。今後やってみたいことがあったら教えてください。

山崎さん:自家製のお餅を使ったお菓子を作りたいですね。近所にいい餅米を作っている農家さんがあるので、そこの餅米を使ってお餅を作りたいんです。時代の流れもあって元気のある和菓子店が少なくなっているように思えるので、うちが和菓子店の可能性を示していけたら嬉しいですね。

 

 

 

かつぼ屋

三条市林町1-1-13

0256-33-1005

9:00-18:00

月曜休

※掲載から期間が空いた店舗は移転、閉店している場合があります。ご了承ください。
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