夏休み期間ということもあって多くの家族連れで賑わう、柏崎市の人気複合施設「ハコニワ」。そのなかに「米と餡あやこや」というカフェを併設した和洋菓子のお店があります。いったいどんな店なのか、店長の髙橋さんに時間のないなか対応してもらい、お菓子へのこだわりや柏崎に対する思いを語っていただきました。
有限会社綾子舞本舗タカハシ
髙橋 裕子 Yuko Takahashi
1964年富山県生まれ。大手旅行会社勤務時代にご主人と知り合い、家業の「綾子舞本舗(あやこまいほんぽ)タカハシ」を継ぐことになったご主人とともに柏崎へ移住する。2020年「ハコニワ」内に「米と餡あやこや」をオープン。長男は日本文理高等学校、次男は仙台育英学園高等学校の野球部で甲子園に出場している。
——まずは髙橋さんとご主人との出会いからお聞きしていいですか?
髙橋さん:私が旅行会社に勤めていたときに、テレビ番組の制作会社で働いていた夫と知り合って結婚しました。夫が家業の「有限会社綾子舞本舗タカハシ」を二代目として継ぐことになったので、それで一緒に柏崎へ移り住むことになったんです。「有限会社綾子舞本舗タカハシ」は和洋菓子店「綾子舞本舗タカハシ」をはじめ、「ぱん工房満天」や「米と餡あやこや」を経営しています。
——店名にもなっている「綾子舞」って、柏崎の伝統芸能でしたっけ?
髙橋さん:柏崎市の女谷(おなだに)地区に伝わる、約500年の歴史を持つ伝統芸能です。女性が舞う「小唄踊(こうたおどり)」は、赤を基調にした特徴的な衣装で、扇を振りながら小唄に合わせて踊ります。昨年11月にユネスコ無形文化遺産に登録されました。
——それを店名に使ったのは?
髙橋さん:女谷地区出身の先代が、踊り手不足で存続の危機にある「綾子舞」の名を後世に残したいという思いで、看板商品のお菓子にその名前を使ったんです。その看板商品の名をそのまま店名に使っています。
——なるほど。柏崎を代表する伝統文化を商品名や店名に使っていることで、地元愛の強いお店だと窺い知ることができますね。
髙橋さん:おかげさまで柏崎市のブランディング事業に選んでいただきましたし、新潟伊勢丹様で開催された「NIIGATA越品」を機に「綾子舞」をはじめとした7種類のパッケージもリデザインしたんです。
——「ハコニワ」で「米と餡あやこや」をオープンしたいきさつを教えてください。
髙橋さん:2020年に「ハコニワ」がオープンする前の準備段階から関わってきました。テナントに入るとなるとお店の広さはあらかじめ決まってしまうんですけど、それとは違って相談しながら広さや間取りを決めることができたのはありがたかったですね。
——お店の雰囲気でこだわったところはありますか?
髙橋さん:柏崎産の杉と市内高柳町の和紙を使って綾子舞をイメージした和モダンなデザインを、建築家の東海林健さんと「フレーム」の石川竜太さんに手掛けていただきました。
——和モダンな雰囲気が素敵ですね。「米と餡あやこや」は、どんなお店としてオープンしたんでしょうか。
髙橋さん:うちの会社では和洋菓子店やベーカリーを経営しているので、その両方を生かせるようなカフェとしてはじめました。その上で、和菓子を代表する材料の餡子と、新潟を代表するお米を使った商品を提供したいと思ったんです。餡子は自家製にこだわっていますし、お米も柏崎の菓子組合で栽培しているスイーツ専用米「菓心米(かしんまい)」を使っているんです。
——スイーツ専用米なんてあるんですね。そのお米を使ったお菓子には、どんなものがあるんですか?
髙橋さん:バウムクーヘン、クッキー、バターカステラ、シフォンケーキに使っています。なかでもシフォンケーキはお米だけで作っているんです。
——他にも「米と餡あやこや」の特色ってあるんですか?
髙橋さん:モンブランの生搾り機を県内でいち早く導入しました。これによって、より線の細いモンブランを作ることができるようになったんです。ケーキはもちろん、かき氷にも応用しています。
——このかき氷、めちゃめちゃ美味しそうですね。最後に今後やっていこうと思っていることがあったら教えてください。
髙橋さん:「ハコニワ」という施設を通じて、柏崎の食を発信していきたいですね。常設されているキッチンスタジオを使った本格的なお菓子づくり教室や、料理店とコラボしてコース料理をご提供する「あやこやダイニング」というイベントを考えています。
——今日はお時間のないなか、取材に応じていただきありがとうございました。
米と餡あやこや
柏崎市横山440-1 ハコニワ内
0257-47-7747
10:00-17:00
火曜休