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地域に愛される、優しくてホッとする「野上製パン店」のパン。

白山駅から徒歩2分ほどのところにある小さなパン屋さん、「野上製パン店」。お店には食パンやあんぱん、カレーパンやコーンパンなど、親しみのあるパンが並びます。店主の野上さんに、白山でお店をはじめるまでの経緯や、作っているパンへのこだわりについて聞いてきました。

 

 

野上製パン店

野上 満 Mitsuru Nogami

1982年新潟市生まれ。大学卒業後、営業職に就く。退職後新潟三越のパン屋さんにアルバイトとして入り、大和新潟店内のパン屋さん、金沢のパン屋さんで経験を積む。31歳のときに病気療養のため新潟に戻る。療養後は1年ほどパン屋さんでアルバイトしたのち、2018年に「野上製パン店」をオープン。

 

店主の野上さんが家族と一緒に営む、町のパン屋さん。

——こちらのお店はご家族でやられているんですか?

野上さん:僕と妻と母の3人でやりくりしています。週に1回、企業さんにパンを販売しに行くんですけど、それは父が手伝ってくれています。家族みんなでやっていますね。

 

——野上さんはここをはじめる前にも、パン屋さんで働かれていたんですか?

野上さん:大学を卒業した後は営業職をやっていたんですけど、そこを辞めてから新潟三越にあったパン屋さんにアルバイトで入れてもらいました。当時は大和に同じ系列のパン屋さんがあって、そこでもお世話になりました。

 

——転職先としてパン屋さんを選んだのはどうしてですか?

野上さん:一生営業をやっていくよりは、手に職をつけたいと思ったんです。それならいちばん好きなパンにしようかなって。

 

 

——大和のパン屋さんで働かれた後も、他のパン屋さんに?

野上さん:金沢のケーキ屋さんが新しくパン屋さんをはじめるっていうので、ご縁があってそっちにお邪魔して、4年くらい働かせてもらいました。

 

——金沢でのお仕事はいかがでしたか?

野上さん:新潟で学んだ技術を使ってパンを作るつもりだったんですけど、ケーキ屋さんの会社がコンサルタントさんをつけることになって、私もその方に教わることになったんです。その方は名古屋の方だったので、都会の華やかなパンを学ぶことができて、本当にラッキーでしたね。今作っているパンも、そのとき学んだことがベースになっていると思います。

 

——順調にパン職人としての経験を積まれていったわけですね。

野上さん:だけどそのとき身体を壊してしまいまして。新潟に戻ってきて、しばらくは病気療養をしていました。それから社会復帰としてパン屋さんで1年くらいアルバイトをした後、36歳のときにここをオープンしました。今は 5年目ですね。

 

身体にいい材料を使って作る、優しいパン。

——この場所でお店をはじめられたのには何か理由が?

野上さん:高校時代からこのエリアに土地勘があったっていうのもあるんですけど、病気のときにがんセンターにお世話になっていたんです。闘病中に時間だけはあったので、独立の準備としてパンのレシピを考えたり、材料の吟味をしたりしていて。

 

——病気と闘いながらパン作りの研究とは……。すごい熱意です。

野上さん:さすがに試作はできないんですけどね(笑)。そうやって独立準備をする中で、材料は身体にいいもの、負担がないものを使うようにしようと思いました。

 

——例えばどんなものを?

野上さん:お砂糖はてんさい糖を使ったり、ショートニングはひまわり油に置き換えたりしています。闘病中にいろんな油を触ったり、試してみたりして決めたんです。ひまわり油がいちばん身体に馴染むんですよね。あとはマーガリンも使っていなくて、国産のバターを使っています。やっぱり身体は食べものベースなので、いろいろ調べながら気をつけるようにしています。

 

——病気を経験されたからこそ、身体にいいものをより意識されるようになったんですね。

野上さん:子どもに安心して食べさせられるパンにしよう、と思ったのもありますね。ご近所の年配の方とか、病院通いの方とか、がんセンターの患者さんとかが買いに来てくれると「ここでお店をはじめてよかったな」って思います。

 

 

——並んでいるパンを見ると、ホッとするというか、誰でも馴染みのあるようなパンが多いですよね。

野上さん:あんぱんとか食パンとか、カレーパンとかレーズンパンとか……。いつ食べてもいいなって思ってもらえるようなものを置いています。

 

——特に人気なのはどのパンですか?

野上さん:食パンはご予約いただくこともありますし、よく出ますね。あと、びっくりするんですけど、若い方もあんぱんを購入されるんですね。リピーターの方も多いんです。

 

 

——他のお店のあんぱんとはちょっと違うんですか?

野上さん:最初に働いていたパン屋さんで教えてもらった仕込み方をしているんですけど、柔らかさが持続するというか。お客様からも「次の日になっても柔らかい」っていうお声をいただきますね。

 

——野上さん自身がお気に入りのパンはありますか?

野上さん:ヨーグルトブロートですね。名古屋のコンサルさんと一緒に作ったパンで、金沢の店でも出していました。ライ麦を配合しているハード系のパンで、仕込みにヨーグルトを使っているんです。ライ麦のパン独特の酸味も少ないですし、ハード系といっても固くないので、フランスパンみたいな使い方もできるし、食パンみたいな使いた方もできる。そのまま食べても、焼いて食べてもOKっていう、便利なパンなんです。ぜひ食べていただきたいですね。

 

変わらず来てくれるお客さんが、喜んでくれるお店作りを続けたい。

——奥さんとは開店時から一緒に働かれているんですか?

野上さん:開店したとき妻は別の仕事をしていて、その仕事の任期がまだ3年くらいあったので、それを終えた昨年の4月から一緒にやるようになりました。もうちょっとで1年です。

 

——奥さんはこの1年、店頭に立たれてみていかがでした?

奥さん:ここはパン屋じゃなくて地域の茶の間かなって思うほど、お客さんとのコミュニケーションが多いんですよ(笑)。皆さん嬉しいことがあったときとか、誰かと話したくなったときに寄ってくれているのかな。

 

——見ていて思いましたが、楽しそうにお話しながらパンを買って帰るお客さんが多いですよね。パン屋さんでこういう光景、なかなか見ないです(笑)

野上さん:この辺りの土地柄なのか、ありがたいことに話しかけてくださるお客様が本当に多いんですよ。作れるパンの数も限られているので、ご迷惑をおかけすることもあるんですけど、お客様からの反応があるとすごく嬉しいですね。

 

 

——野上さんにとって、お店を続けるやりがいになっているのはどんなことですか?

野上さん:やっぱりお客さま以外ないのかなって思います。お店をはじめて2年目からはコロナ禍になってしまって、それに加えて原材料の高騰とかもあって……。それでもうち、オープン当初から値上げをしていないんです。

 

——私も、安いなって思いました。お客さんからしたら嬉しいことですけど……。

野上さん:お客様の方から「この値段で大丈夫なの? 値上げしたら?」って言われることもあるんです(笑)。親戚くらいの感じで、親身になってくださる方も多くて。状況が変わってもお客様がそうやって変わらずに来てくれるっていうのは、何よりも励みになっています。

 

——お店を続けていく上で、これからも大切にしたいことがあれば教えてください。

野上さん:この店をオープンしたとき、身体のこともあって不安もあったんですけど、自分の目の届く範囲、手の届く範囲を守ってやっていこうって決めていて。そのことを忘れずに、確実にお客さんに喜んでいただけるようなお店作りをしていきたいですね。

 

 

 

野上製パン店

新潟市中央区白山浦2丁目192

9:00-18:00(パンが売り切れ次第終了)

日月定休

※掲載から期間が空いた店舗は移転、閉店している場合があります。ご了承ください。
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