親世代でも気軽に入れる、居心地のいい食堂「shokudo MORISHIGE」。

現代にある、ちょっと昔懐かしい食堂。でも、新しいお店なんだって。

家の近所にあって家族でよく行く食堂。お昼時になると会社の同僚と毎度お世話になっている食堂。そんな、昔からあっていつでも笑顔で迎えてくれる食堂という存在は、ちょっとした心のよりどころでもあります。JR新潟駅南口・けやき通のはしっこに最近オープンした「shokudo MORISHIGE」は、なんだか無性に落ち着く食堂。店主である森重さんに、どうして食堂をはじめたのか、どんな食堂を目指しているのかなど、食堂に対する思いをうかがいました。

 

shokudo MORISHIGE

森重匠 Takumi Morishige

1981年、山口県生まれ。広島県内の大学に進学後、東京にて飲食経験を積み、最後に新潟へと移住。古いモノが好きで、今まで収集した雑貨などを使い2019年4月に「shokudo MORISHIGE」をオープン。植物が好きな2児の父。

 

「shokudo MORISHIGE」って、どんな食堂?

――どうして2019年の今、食堂をはじめようと思われたのですか?

森重さん:いろいろな飲食店のスタイルがあると思います。そのなかでも食堂を選んだのは、自分たちの親世代にも使ってもらえるお店にしたかったからです。僕は山口県出身で、両親はもちろん山口県に住んでいます。離れて暮らしているので、何かのタイミングで両親がふらっと新潟へ来たときに、気軽に入れるようなお店にしたかったんです。ちょっと敷居が高いイタリアンレストランとか、若者が多く集まっているお洒落なカフェだと、さすがに入りづらいじゃないですか(笑)。

 

――確かに食堂だと、どの年代でも気軽に入れますよね。でも、よくある定番の食堂(何十年も営んでいる、カウンターがあって暖簾が下がっているような)とは、イメージが離れているようにも感じますが。

森重さん:店の作りは、こってこてのTHE食堂ではないですね。さすがに初めてのお店なので(笑)。古いモノが好きで、家具、雑貨などを昔から収集していました。それらを使いたかったのと、植物が好きなのでたくさん置きたかったんですよね。町の食堂ってイメージじゃないかもしれませんが、食堂です(笑)。

 

――ちなみにメニューは、かつ丼、ラーメン、日替わり定食のようなTHE食堂的なメニューですか?

森重さん:そこは違いますね(笑)。イタリアンレストランでの経験があるので、イタリア料理がベースになっています。あとは家族ぐるみで仲良くさせてもらっている魚屋さんから届く鮮魚を使ったり。自分が年を重ねて、野菜をいっぱい食べたくなったので肉料理には、野菜がたくさん入っていたりもします。「家族」「家」をコンセプトに考えたので、全体的に家族に食べさせたい料理を考えて、提供するように心がけていますね。って、食堂じゃないイメージですよね。でも、安心してください。ランチタイムに食堂の定番メニューでもあるオムライスを提供していますから。

 

山口県の出身の店主。新潟で食堂をはじめたキッカケ。

――森重さんが料理をはじめたキッカケって、イタリア料理だったんですか?

森重さん:山口県で生まれ、大学時代は広島で暮らしていました。その時に、高熱でウィルスにやられてしまって、1ヶ月前後、記憶喪失になったんです。当時は就職先も決まっていなかったし、身体のこともあったのでどうにか卒業はして。それから働いていたカフェレストランが料理のスタートですね。3年くらい働いて、東京に出て…。

 

――記憶喪失ですか?…大変だったんですね。って、山口から広島。さらには東京っていろいろアクティブに動いてますね。

森重さん:そうなんですよね。東京では縁があって「LIFE(ライフ)」というイタリアンレストランでお世話になりました。その後には、「LIFE」のオーナーから紹介してもらい、三重のイタリアンレストランにも行きました。料理が上手くなりたくて頼んだんですよ。

 

 

――まるで旅でもしているかのような。新潟にはどうして?

森重さん:新潟のセレクトショップ「JAMES(ジェームス)」が暖簾分けみたいな形態で、新潟市の古町に「LIFE」を出すからと、立ち上げに声をかけてもらったんです。まぁ、地理感もなければ、誰も知らない土地ですから、はじめは不安しかなくて…でも、いろいろなヒトがお店や料理人の方を紹介してくれて、新潟って優しい街なんだなと思いました。

 

――いろいろな県に行かれた経験があって、どうしてお店を開く場所として新潟という場所を選んだのですか?

森重さん:「shokudo MORISHIGE」をオープンする前は長岡で暮らしていました。でも、「新潟でもう一回働きたいな」という思いがずっとどこかにあって。子どもが産まれた場所であり、たくさんのヒトに出会った大切な場所でもあります。それと、子どもが小学校に上がるタイミングもあり、新潟に戻ってでお店をはじめるのは、このタイミングしかない。そう思ったんです。

 

広島ではじめて作ったオムライス。「shokudo MORISHIGE」のオムライス。

――食堂メニューとして、オムライスを選んだのはなぜですか?

森重さん:広島のカフェレストランで働いていたとき、はじめてお客さんに自分で作った料理を提供したのがオムライスだったんです。オーダーしてくれたのは老夫婦で。そのお店のオムライスって、ちょっと大きかったので食べられるかなと心配していたんですが…全部食べてくれて。お客さんからしたら、別に何でもない一日の昼食なんですけど、その光景に感動をして。

 

――その感動があってのオムライスなんですね。

森重さん:食堂という名前だけで、お店の中身がイタリアンレストランだとしたら、そもそも入りにくくなってしまうと思い、食堂メニューもちゃんと食べてもらえるようにしようと思ったことも、オムライスを選んだ理由のひとつです。

 

――どんなオムライスなんですか?

森重さん:昔ながらの中がトロトロのオムレツが乗ったオムライスです。ソースは3種類あって、「ビーフシチューのせ」「デミソース」「ケチャップ」。イタリア料理で学んだことを生かして赤ワイン、トマトをソースに使い、あっさり食べやすく仕上げています。ガツンとお腹に来ないので、優しい感じですね。

 

 

――あっさりしていると、親世代の方も気軽に食べられますね。

森重さん:そうなんですよね。近所に83歳のおじいさんが住んでいて、週に1~2回も夫婦でオムライスを食べに来てくれるんです。オムライスを食べながら、ちょっとだけワインも飲んで。その光景を見たときは、食堂にして良かったなと思いましたね。好きなヒト、大切なヒトを家に招いて食べてもらう。そんな雰囲気の店づくりがしたかったので、こうやって地域の方が新しくできたばかりの「shokudo MORISHIGE」に通い始めてくれて嬉しい限りです。

 

食堂だから相席も。幅広い世代が集う「shokudo MORISHIGE」。

新しくできたお店なのに、どこか昔懐かしく、ずっと通っているような雰囲気が感じられる空間。どうしてだろうと疑問に思って、その思いをぶつけてみると。「この場所はもともと、とんかつ屋さんでした。30年以上もやられていて地域のヒトにとても愛されていたお店なんです。その歴史を少しでも残さないとって思い、カウンターなど、使えるものは全て使いました。そこに今まで集めてきた古物雑貨などが合わさったので、オープンしたての感じがないのかも。」その言葉を聞いてしっくり。食堂だから、相席をお願いすることもあるのだとか。「相席って知らないヒト同士が食卓を囲んでいて微笑ましい瞬間がたくさんあるんです」と、そんな話もしてくれた森重さん。かつ丼、ラーメンはないけれども、空間そのものが食堂。そんなほっこりする「shokudo MORISHIGE」でした。

 

 

shokudo MORISHIGE

新潟県新潟市中央区米山2-9-9

025-385-7965


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