長い時間を経たものが持つ良さをつないでいく「コザイシツ」。
その他
2023.06.07
今年4月、新潟市秋葉区の「株式会社馬場工務所/にいつ住宅研究所」が自社の事務所に併設するかたちで、古材や古道具を専門で扱うお店「コザイシツ」をはじめました。住宅を新築したり、リノベーションする際にお客さんから引き取った、年代を重ねた味のある家具や食器などが店内に並びます。今回は「株式会社馬場工務所」の代表取締役である馬場さんと、「コザイシツ」を担当する土田さんにお話を聞いてきました。


コザイシツ
土田 美紀子 Mikiko Tsuchida
1983年新潟市秋葉区生まれ。「馬場工務所」の社員として営業などを担当。2022年の秋より「コザイシツ」の担当になる。
家に眠っていた古いものに、再び価値を与える。
——早速ですが、「コザイシツ」はどういう経緯ではじめられたお店なんですか?
土田さん:お客さんのお宅を直させていただいたり新築させていただいたりするときに、昔の荷物や眠っていたものが出てくるんですね。思いのこもったものであっても、処分しなければいけなくなることが多くって。そこで、せっかくならそういったものを引き取らせていただいて次の方につないでいけたらと思って、「コザイシツ」をはじめることになりました。
馬場さん:捨ててしまえば環境に負荷がかかってしまいますし、ゴミになってしまいます。だけどそういうものをもう一度使ってみたいという方にお渡しすることができれば、ものとしての価値がまた生まれるのではないかと思ったんです。

——お店に置いてあるものを見ていると、古さは感じても綺麗な状態のものが多いですが、価格はとても安いですよね。
馬場さん:お客様から買い取りしたものを再販しているわけではないので、そんなに高く売ることはしていません。ただ、店舗として場所を取ってやっていれば経費はかかってくるので、値段をつけさせていただいています。
——古材を生かした活動をはじめることは、住宅に関わる仕事をするなかでずっと考えていたことなんでしょうか。
馬場さん:古いものでも新築の材料として生かせるかもしれないし、リノベーションならさらに相性はいいですし、使えるんじゃないかとは考えていました。今回タイミングがあったので、事務所に併設してはじめることができました。

古材や古道具との出会いは、一期一会。
——「コザイシツ」を担当する土田さんが思う古材の良さってどんなところですか?
土田さん:持ち主の方が丁寧に保管されていたものだと、ひとつひとつ新聞紙に包まれていて、品名の書かれた箱に入れられているんですよね。それを私たちがほどかせてもらっていると、新聞に書かれていることから年代とか当時の出来事が分かるので、その頃はどんな生活を送っていたのかなって考えるんです。今も素敵なものはいっぱいありますけど、当時のものはもう出てこないので、一期一会というか。そういうところが面白いなって感じます。

——古物とか古材って、デザインやかたちもそうですけど、年代を重ねたからこそ出る味わいがありますよね。
土田さん:買われる方も「こういうものってもう他にはないし、この素敵さは古物にしかないよね」っておっしゃるので、それは最近感じている魅力ですね。

——建具なども扱っているようですが、これからお家を建てる方が「家の一部に古材を取り入れたい」と相談することもできるんですよね?
土田さん:はい、そういう方はぜひ「コザイシツ」を活用していただきたいと思っています。古い建具を活用してリノベーションしたり、新築に組み込んだりとか、そういったご相談も受けています。
馬場さん:例えば、今座っていただいているこの場所の床材には「足場板」という工事現場などで足場として敷いていたものを張っているんです。当然ペンキがついていたり、傷や踏み跡がついていたりするんですけど、それはそれで味としていいですよね。住宅だとちょっと無骨かもしれないですけど、店舗などに使うには悪くないかなと思いますね。
——新しい建物でも、そこに古材を組み合わせるだけで雰囲気がグッと変わりそうですね。
馬場さん:ものの価値って本当に人それぞれで、人が使ったものは嫌だという方もいますし、長年使われてきて味が出たものを「良い」という方もいます。うちが運営している「八帖二間」には築70年以上の建物をリノベーションした価値がありますし、もちろん新築の真新しさだって価値があります。それはその人の価値観によるところが大きいですよね。

——「コザイシツ」をはじめられたことで、もともとのお仕事の中で提案できることの幅が広がったんですね。お店に置く古材は、どういう視点で選んでいるんでしょう?
土田さん:骨董品を引き取って販売しているわけではないので、珍しいものというよりは、私たちの目で見て「素敵だな」というものを引き取らせてもらっているところが大きいですね。引き取ってみたらたまたま価値が高いものだった、ということはありますけど、そこが入り口ではないですね。
馬場さん:古いものでも若い方からすると一周回って新しく見えることもありますし、そういうふうに自分たちが「いいな」と思うものを置けばいいのかなって思います。あとはお客様からのご要望があれば、引き取ったタンスを書棚にリメイクしたり、保護塗装やペンキを塗ったりもします。そうするともっと使いやすくなったり、新しく見えたり、空間に合うものになったりします。そういうリメイクやワークショップもこの場所を使ってできたらいいなと思っています。

——実際に、お店のオープン時にはワークショップを開催されたそうですね。
土田さん:オープニングイベントのときに、捨てられてしまうフローリングのハギレを使って時計にするというワークショップを開きました。古材や古道具が好きでお店に来るというより、ワークショップで時計を作りたくて来るとか、そういう違う層の方が来てくれたらいいなと思って。古材って全員に受けるものではないと思うんですけど、まずは触れていただきたいですね。

コザイシツ
新潟市秋葉区新津本町2-1-28 株式会社馬場工務所内
TEL 0250-22-0010
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