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古民家を再生し、まちづくりに取り組む「にいつ住宅研究所」。

JR新津駅近くの新津本町中央公園の周辺エリアには、駄菓子屋、イタリアンレストラン、美容室、ラーメン店など、個性豊かなお店が集まっています。その中でもひと際目立つのが、お洒落な日本建築風の建物。看板には「八帖二間(はちじょうふたま)」と書かれています。いったいどんな建物なのか、リノベーションした「にいつ住宅研究所」の馬場さんにお話を聞いてきました。

 

 

にいつ住宅研究所(株式会社馬場工務所)

馬場 一也 Kazuya Baba

1974年新潟市秋葉区生まれ。「株式会社馬場工務所」4代目社長。法政大学で経営、専門学校で建築を学ぶ。新潟に戻ってからハウスメーカーで設計の仕事につき、2001年「株式会社馬場工務所」に就職。5年前に社長に就任。「にいつ住宅研究所」を立ち上げる。趣味は落語鑑賞と、野球をやっている子どもたちの試合観戦。

 

100周年を迎えた工務所から誕生した、「にいつ住宅研究所」。

——馬場さんは「株式会社馬場工務所」の4代目社長なんですね。……ということは歴史も古いんでしょうね。

馬場さん:おかげさまで、今年の4月1日で創業100周年を迎えました。

 

——おお、100周年。おめでとうございます。ところで「株式会社馬場工務所」はどんな会社なんですか?

馬場さん:元々は国鉄関係の仕事のために人材を集めたりする、今でいう人材派遣業のようなことをやっていたんです。そのうち建設関係の仕事に方向を定めるようになって、主に管工事を中心に、学校や役所といった公共施設の工事に携わるようになりました。

 

——なるほど。じゃあどちらかというと公共施設に関わってきた会社だったんですね。馬場さんは最初から「株式会社馬場工務所」を継ぐつもりだったんですか?

馬場さん:いいえ、あんまりそういう気持ちはなかったです(笑)。3代目社長の父親からも、跡を継いでほしいという話をされたことはなかったですね。

 

——目指していた職業があったんでしょうか?

馬場さん:高校を卒業してからは、経済や経営の勉強をするために東京の大学に入ったんです。経営が傾きかけた飲食店とか旅館とかを立て直すお手伝いをする、経営コンサルタントのような仕事をやってみたいと思っていたんです。今でもその気持ちが、自分の活動の原点になっているような気がしますね。

 

 

——でも最終的には、家業を継ぐことを選んだんですね。

馬場さん:せっかく継ぐべき場所があるんだったら、継がせてもらおうと思ったんですよね。だから大学卒業後に専門学校で建築を学んで、新潟に戻ってからはハウスメーカーに就職しました。そこで2年間くらい設計の仕事をしてから「株式会社馬場工務所」に就職したんです。

 

——「にいつ住宅研究所」は馬場さんが立ち上げたんですよね。

馬場さん:はい、代表になったタイミングではじめました。この先、公共事業はどんどん少なくなっていくのが目に見えていたので、今まで培ってきた技術やノウハウを、民間の建物に生かしていきたいとい考えたんです。

 

——例えばどんな建物に?

馬場さん:新築はもちろん、住宅や中古物件のリノベーションに生かしています。特に古民家を使ったリノベーションには力を入れていて、一般住宅の他、カフェや食堂も手がけてきました。

 

——古民家リノベーションのどんなところに興味を持ったんでしょうか?

馬場さん:壊さずに使えるところは残したまま進めていくので、環境への負荷が少ないんですよ。そうした点も広く伝えていきたいと思いました。

 

ランドマークとして生まれ変わった「八帖二間」。

——この「八帖二間」も古民家をリノベーションした建物だったんですよね。

馬場さん:実は僕の生家なんです(笑)。空き家になってから数年経っていたので、今後この家をどうしようかと考えていたんですけど、まずは自分の家を使ってリノベーションの見本を示したいという考えがひらめいたんですよね。

 

 

——「八帖二間」として開放したのはどうしてなんですか?

馬場さん:僕がプロジェクトリーダーを務めている「新津本町中央公園パッチワークプロジェクト」のランドマークになったらいいなと思ったからです。

 

——「新津本町中央公園パッチワークプロジェクト」というのは?

馬場さん:目の前にある新津本町中央公園はかつて新津市役所が建っていた場所なんです。その頃は旧新津市の中心地として地域の人たちが集まるエリアだったんですよ。このエリアを「もう一度人が集まる場所にしよう」とはじめたのが「新津本町中央公園パッチワークプロジェクト」なんです。公園周辺の空き家や空き店舗を「パッチワーク」するみたいに少しずつリノベーションしていって、このエリアに活気を取り戻すことを目的にした活動のことなんですよ。

 

 

——へ〜、まるで街のリノベーションみたいですね。

馬場さん:まさしくその通りで「エリアリノベーション」とも呼ばれています。最初は小さな点でもつながれば線になって、それが面になっていったらいいなと考えています。この「八帖二間」が、街の盛り上げに役立ったらいいなと思っています。

 

——現在は「八帖二間」をどんなふうに利用しているんでしょうか?

馬場さん:ここを拠点に人が集まってくれたらと思ったので、お菓子屋さんとコラボさせていただきました。もともと仲良くしていただいていた「サンカントピュール」というお菓子屋さんのオーナーに相談したところ、快諾していただいて、「八帖二間」の中で「あきは日和」というお菓子屋さんをオープンしていただけたんです。今ではそこで販売しているジェラートを買うために多くの人が集まり、イートインスペースや公園で食べたりしていますね。

 

 

——じゃあこの場所は「あきは日和」さんのイートインスペースになっているんですね。

馬場さん:はい、でもその他にもフリースペースやレンタルスペースとして開放しています。どなたでもお休みいただいて構わないんですが、飲食物の持ち込みは「あきは日和」で購入したもののみとさせていただいているんですよ。できるだけ周辺エリアの飲食店を利用してほしいから。

 

 

——あくまでエリアの活性化が目的なんですね。レンタルスペースとしてはどんなふうに利用できるんですか?

馬場さん:1階にはシンクがあるので料理教室にご利用いただけます。あと窓を開け放つと公園が間の前に見えるので、こちらをステージにしてジャズコンサートを開催したこともあります。2階には名前の由来にもなっている「八帖二間」の広いお座敷スペースがあって、いずれも1時間500円でレンタルしているんですよ。

 

——500円って、めちゃめちゃ安いじゃないですか。

馬場さん:「八帖二間」に人が集まってくれたらいいので、管理料だけをいただいているんですよね。

 

みんなが「わざわざ目指して来るような場所」を作りたい。

——今後はどんなことに取り組んでいく予定ですか?

馬場さん:「ダブルバンク」という、古材と古民家を取り扱う銀行みたいな事業を考えています。不動産業は今までやっていなかったんですけど、空き家や空き店舗の相談が増えてきたので、古民家とか取り壊した建物の古材とかをキープしておいて、相談に応じて販売していきたいと思っているんです。

 

——街づくりに関してはいかがでしょう。

馬場さん: 13人の有志で出資した「株式会社パッチワークAKIHA」という街づくりの会社を立ち上げたんです。今後は行政にもご協力いただきながら、ビジネスとして街づくりに関わっていけたらと思っています。レジャースポットにもなっている秋葉山周辺には宿泊施設がないので、まずはゲストハウスを作ってみたいと思っています。

 

——いろいろな予定があるんですね。最後に町おこしについての考えを教えてください。

馬場さん:小さな商店街が大型店と張り合うのは難しいので、同じ土俵に立っても勝負にはならないと思うんです。それなら大型店にはできないことを考えた方がいいですよね。「これはこのお店にしかない」とか「この人に会いたい」とか、そんな魅力のあるお店を集めて、人びとががわざわざ目指して来てくれるような場所を作っていきたいです。

 

 

 

八帖二間

新潟市秋葉区新津本町2-1-28

0250-22-0010

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