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英会話を通してコミュニケーションの取り方を伝える「Coro English」。

  • その他 | 2022.07.08

翻訳アプリを使えば、他の国の人とも簡単に会話ができる便利な世の中になりました。でも、それで自分の感情や思いまできちんと伝えられているかは少し疑問ですよね。今回紹介する出張英会話講師「Coro English(コロ イングリッシュ)」のフォスターリング 恵子さんは、ただ用件を伝えるだけではなく、コミュニケーションを大切にした英会話にこだわって教えています。英会話について、ご自身のこれまでについて、いろいろとお話を聞いてきました。

 

 

Coro English

フォスターリング 恵子 Keiko Fosterling

1986年新潟市中央区生まれ。東京の留学系専門学校を卒業。アルバイトで貯めたお金でサンフランシスコへ留学する。新潟に帰ってからは和食店で働き、2014年より「Coro English」を立ち上げ、出張英会話講師をはじめる。ジャズから演歌までジャンルを問わず音楽を聴くことが好き。

 

留学を通してコミュニケーションの意味や価値観の違いを学ぶ。

——恵子さんは英会話の講師をやっているんですよね。どんなスタイルでやっているのか教えてください。

恵子さん:私は出張型の英会話講師をやっているんです。ご自宅にも伺いますし、カフェでレッスンをすることもあります。ちなみに今日取材に使っていただいているこの場所は、私が英語コンテンツを担当している「イロトリドリ こどもおとな基地」っていうフリースクールなんです。

 

——なんだか落ち着く場所ですね。さて、恵子さんはいつから英会話に興味を持ったんでしょうか?

恵子さん:小学6年生の頃、少女漫画を読んでいたら「私、留学するの」というセリフがあったんです。そのときは「留学」の意味がわからなかったので、お母さんに聞いて「外国に行って勉強すること」だと知り、自分も留学してみたいと思うようになりました。洋楽を聴いたり、海外ドラマをよく観たりするようになってからは、ますます海外への憧れも強くなっていきましたね。

 

 

——実際に「留学」の夢は叶ったんですか?

恵子さん:高校1年生の春にカナダのバンクーバーに留学して、2週間ホームステイしました。まったく英語がわからないのに行ったので、いろいろと大変でしたね。マクドナルドのドライブスルーを利用しても、メニューに何があるのかわからないから毎回ナゲットを食べていました(笑)

 

——言葉がわからないと、ホームステイも大変だったんじゃ……。

恵子さん:そうですね。でも、言葉がわからないながら、お互いにコミュニケーションを取ろうとする気持ちは通じるんですよ。ホストファミリーのお母さんは昔、日本語を少しだけ勉強したことがあったようで、急にその言葉を思い出して「バンクーバーに来たことがありますか?」って言ったんです。ふたりとも思わず笑ってしまって、笑い合うことで心が通じた気がしました。

 

 

——なるほど。コミュニケーションにはやっぱり気持ちが大切ですよね。その後も海外に行く機会はあったんですか?

恵子さん:東京にある専門学校でアメリカの学問を学んだ後、アルバイトで貯めたお金でサンフランシスコに語学留学しました。最初は学生寮に入っていたんですけど、せっかくだからできるだけ現地の人と同じように暮らしたかったんです。そこで寮を出て40代のヒッピーのおばさんとルームシェアして暮らしていました。

 

——その生活で得たことはありました?

恵子さん:サンフランシスコってヒッピー発祥の地なので、自由でぶっ飛んでいる人が多いんですよ。自分の言いたいことを言うし、着たい服を着ているような感じで。バスの運転手はお客さんを乗せている最中でも、バスを停めてトイレに行っちゃうような土地でした(笑)。そこで暮らしてみることで、自分が当たり前だと思っていたことが当たり前じゃなくて、いかに狭い枠に入っていたのか気づいて、箱の中から外に飛び出した気がしました。

 

英会話を通じて伝えていきたいもの。

——留学から帰国してからは、どんな仕事をしていたんですか?

恵子さん:なかなか英語を生かせるような仕事が見つからない上に、アメリカでの生活や価値観とのギャップを感じて歯がゆい思いをしていました。そんなとき「古事記」と出会ったんです。日本の成り立ちが書かれている最古の歴史書なんですけど、いろいろ知ることでより日本のことが好きになった気がします。それまでは日本に住んでいる自分が花瓶に生けられた花だったんだけど、しっかりと地面に根を張ったような感じがしましたね。

 

——アメリカの価値観の次は日本の価値観を知ったんですね。

恵子さん:留学後に働いた和食店でも、日本の素晴らしさに気づく機会があったんです。そのお店では日本の伝統を重んじた「おもてなし」の心を大切にしていたので、それまで知らなかった「日本の心」を学ぶことができました。箸の向きや魚の置き方にも、ひとつひとつ意味があることを知りましたね。

 

 

——和食のお店でお仕事をされていたんですね。英会話教室はいつはじめたんですか?

恵子さん: 2014年から「Coro English」として出張型の英会話教室をはじめました。直前まで働いていた和食店のオーナーが最初の生徒になってくれたんです。その方はジャズが好きだったので、レコードジャケットに書かれている文章を一緒に読み解いたりしてレッスンを重ねました。講師としての自信がなかったのでレッスン料を安く設定していたら「これじゃ安すぎるからもっと値上げしろ」って叱られちゃいました。応援してくれる気持ちが嬉しかったですね。

 

——嬉しい心遣いですね。それからはどのように生徒を増やしていったんですか?

恵子さん:手書きの名刺を作って、知り合いに片っ端から配ってました。最初の頃はママ友の集まりを兼ねて「子どもとママの英語あそび」っていうイベントを開催していましたね。ママと一緒に英語の歌を歌ったり、英語のゲームをしたりするんです。楽しい思い出が子どもの心に残ることで、英語を好きになってほしかったんですよ。

 

 

——今はどんなふうに英会話を教えているんですか?

恵子さん:ノートに絵を描いたり、カードを使って遊んだりしながらレッスンしています。そのときに使うノートや絵の具、カードはできるだけ海外製のものを使うようにしているんです。

 

——それはどうして?

恵子さん:海外製品って材質が国産製品と違うので、触感や匂いが違うんです。だから製品から海外を体験して、国によっていろいろな違いがあることを知ってほしい。自分たちにとって当たり前のものが、じつは当たり前じゃないということをわかってもらいたいんです。

 

——それって、グローバルな視点を持ってほしいっていうことですか?

恵子さん:というよりも、人とコミュニケーションをとる上で大事にしてほしい部分というか。「人それぞれ、みんな違ってみんないい」っていう考え方を身につけてほしいんです。自分はそのままでいいんだから、そのまま生きてごらんという思いを伝えたいんです。

 

——英会話を通して、ものの考え方も伝えようとしているわけですね。英会話上達のコツがあったら教えてください。

恵子さん:好きなことに絡めて覚えるのが一番近道だと思います。私自身、学校で教わる英語は苦手だったけど、好きな洋楽の歌詞を訳すのはとても楽しくて夢中になれたんです。可能なら体験を絡めると、より覚えが早くなると思いますよ。

 

——今後はどんなふうに英会話講師を続けていきたいですか?

恵子さん:英会話を通じて、日本の魅力を伝えていきたいですね。日本人の思想って、世界各国のなかでもちょっと珍しいんです。欧米人は黒か白かという2択になってしまうんですけど、日本人って曖昧なグレーで終わらせることが多いんですよ。それって争いが起きにくい思想だと思うし、お互いを尊重し合える民族だと思うんですよね。それを多くの人に伝えていくことで、世界平和につながっていってくれたら嬉しいです。

 

 

 

Coro English

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