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自然を生かした昔ながらの農業を続ける「七谷さとやまふぁーむ」。

加茂市の山あいの七谷地区に、農業を営んでいる海津恵美さんという女性がいます。「七谷(ななたに)さとやまふぁーむ」の名で海津さんが取り組んでいるのは、七谷の土地の自然を生かした昔ながらの農業。カエルの声が響き渡る田植え待ちの田んぼに、海津さんを訪ねました。

 

 

七谷さとやまふぁーむ

海津 恵美 Megumi Kaitsu

1981年長岡市生まれ。生まれて間もなく加茂市の七谷地区に移住して育つ。山形県米沢市の短大卒業後、パソコンメーカーに入社。結婚を機に加茂の七谷へ戻り、実家の農業を手伝いはじめる。農作業のかたわら営業や配達、広報を担当する他、地域活動にも積極的に参加している。

 

パソコンメーカーのOLから農業の道へ。

——今日はよろしくお願いします。

海津さん:こちらこそ。私は本を読むのが好きなインドアな面もあれば、自然が大好きなアウトドアな面もあって、記事にまとめるのが大変だと思いますけど、よろしくお願いします(笑)

 

——おまかせください(笑)。海津さんは読書が趣味なんですね。

海津さん:はい。子どもの頃から本が好きで、よく図書館から借りてきては読んでいました。将来は文章に関わる仕事がしたくて、米沢にある短大で文学の勉強をしたほどなんです。でも結局、就職したのはパソコンメーカーだったんですけどね(笑)。そこで事務の仕事を続けていたんですけど、その間におじいちゃん、おばあちゃんが亡くなって両親が農業を継いだので、私も将来農業を継ぐことを意識するようになっていたんです。

 

 

——農業を継ぐ決意をしたのは、何か理由があるんですか?

海津さん:米沢から七谷の実家へ里帰りするときに車で通る道で、よその田んぼが廃れていくのを目にしていたんです。私は小学生の頃から、田植えや稲刈り、畑仕事を日常生活の一部として当たり前のように手伝ってきたし、おじいちゃんから昔ながらの農業を教え込まれていたので、家の農業をこのまま終わらせてしまうのは寂しいと感じて。それで七谷へ戻って農業の手伝いをはじめたんです。

 

——そうだったんですね。いざ農業をやってみて大変だったことはありますか?

海津さん:最初の頃は子どもが生まれたばかりだったので、家庭と農業の両立が大変でしたね。子どもを背負って山のなかで山菜採りをしたり、畑仕事をしたりしていました。でも時間が経つと田んぼや畑仕事の段取りを忘れていたり、山のなかで道に迷ったりもしましたね(笑)

 

無理なく続ける、自然を生かした農業。

——「七谷さとやまふぁーむ」では、どんな作物を作っているんですか?

海津さん:田んぼでお米を作っている他に、畑では大根、里芋、じゃがいも、トマト、キュウリ、三度豆といった野菜を作っていますし、山のなかできのこを栽培したり、山菜を摘んだりしています。とにかく1年中何かを作っていますね。

 

——変わったものも作ったりするんですか?

海津さん:ロマネスコやハラペーニョ、コリンキーといった野菜も作ります。昨年はじゃがいもを試験的に8種類作ったりもしました。お客様からのリクエストにお応えすることもあれば、自分が食べたいから作ることもあります(笑)。試しに作ってみて、美味しかったり生産性がよかったものはどんどん増やしていきます。

 

——そうした作物はJAに納めるんでしょうか?

海津さん:いえ、JAに納められるほどの量を作っていないので、店頭での委託販売だったり、カフェやベーカリーといった飲食店に納めたり、イベントでの出店販売をしたりしています。納品に回れるのが私ひとりなので、自分が無理なくできる範囲で販売させていただいているんです。

 

 

——じゃあ思っていたよりも小規模なんですね。

海津さん:設備や人数を増やしたりしない、無理のない農業を続けていきたいと思っているんです。あとは自然を生かした昔ながらの農業を目指しています。農薬はできるだけ使わずに、害虫は自分たちの手で駆除するようにしているので、うちの父は「農薬テデトール」と表現していますね(笑)。農業には山から流れてくる水を利用していますし、肥料も落ち葉や雑草を使って作っているんです。山の整備をする際に採ってきた竹は、ハサ木や作物の支柱に使っています。

 

 

——自然のなかにあるものを、無駄なく使いながら農業をすると。

海津さん:そうなんです。あと「コンパニオンプランツ」ってご存知ですか?

 

——はじめて聞きました。どんなものか教えてください。

海津さん:違う種類の作物を一緒に栽培することで、害虫を防いだり、成長を助けたりといった、いい影響を与え合うことなんです。そうした方法も積極的に取り入れながら、自然を生かした農業をおこなうようにしています。「持続可能な農業を目指している」っていえばカッコいいんですかね? まあ、お金がないだけっていうこともあるんですけどね(笑)

 

 

——いえいえ、素晴らしい取り組みだと思います。でも昔ながらの農業って手間が掛かるんじゃないですか?

海津さん:そうかもしれません。でも、それなりに手間をかけてあげれば、自然は必ず応えてくれますからね。私は自然のなかにいることが好きなので、暖かい陽だまりのなかで、土に触れながら働けることが楽しいんです。山のなかのせせらぎを眺めていると、気分転換できてリフレッシュするんですよ。今後も自然を生かした農業を、無理なく続けていけたらと思っています。

 

 

 

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