上古町商店街をつなぐ門前宿。
古さと新しさが融合した「ODO」

その他

2026.01.14

text by Ayaka Honma

毎年、初詣に白山神社を訪れる方は多いと思います。その白山神社から歩いてすぐ、上古町商店街に「上古町の門前宿 ODO」がオープンしました。ここは同じ商店街にある「上古町の百年長屋SAN(以下:SAN)」の副館長を務める金澤さんがはじめた宿泊施設です。この場所をつくったきっかけや、宿のこと、商店街のことなど、いろいろお話を聞いてきました。

Interview

金澤 李花子

Rikako Kanazawa(上古町の門前宿 ODO)

1993年2月26日生まれ。大学進学で上京し、卒業後、雑誌編集を6年間、広告制作のプロデュース業を2年間務める。2021年、上古町で「複合施設SAN」の立ち上げに携わる。2026年に「上古町の門前宿 ODO」をオープン。最近ハマっているのは韓ドラ鑑賞で、『39歳』を観て心打たれるものがあったんだとか。

商店街をもっと良くしたい、
金澤さんの、新しい挑戦。

――オープン、おめでとうございます!まずは、この場所ができるまでのことを教えてください。金澤さんは編集のお仕事をされていたんですよね?

金澤さん:東京で出版などのお仕事を10年くらいして、それから地元の新潟に戻ってきて、「hickory03travelers」の迫さんと一緒に「SAN」を立ち上げました。高校生のとき、すごくお世話になった上古町で、自分の面白いと感じたものを見出して光を当てる仕事がしたかったんです。それから4年が経って、地域の外からも中からも人が来てくれるようになって、当初やりたいと思っていた場づくりを、なんとか続けることができました。そんなときに、上古町の商店街の理事をすることになったんです。古町一番町から四番町まで90組くらいの組合員がのびのびとされていて、すごくいいなと思ったんですけど、横の回遊ができるともっと良くなるんじゃないかと思いはじめて。

 

――お店同士のつながり、ということでしょうか。

金澤さん:毎年商店街のイベントはやっていて、空き店舗もなく、お店同士のつながりもあるんです。ただ、先々を考えると、現状維持で良いのだろうかと。この先の上古町をもっと楽しむために、と思って、いろんなところに街歩きに行ったり、地域の勉強をはじめたりしたんです。

 

――理事になったことで、上古町全体をより意識するようになったんですね。

金澤さん:改めて上古町というエリアをみたときに、やっぱり古町一番町の価値を特に実感したんです。白山神社が目の前にあって、昔は古町芸妓さんが列をつくってお参りに行った場所でもあります。一方で、どの地域でもあることですが、いつかは価値のあるエリアにも空き店舗や更地が増えて、駐車場などに変わっていく可能性もあります。私は普段、三番町で活動していますけど、それぞれではなく「商店街として」連携したい、と思ったんです。

 

――それがこの場所につながっていくと。

金澤さん:そのときに、高校の同級生が「上古町で古着屋さんをやりたい」って言ってくれたんです。一緒に物件を探していたときに、この物件を見せてもらいました。床屋さんだった1階のフロアは、緑色のタイルがすごく可愛くて、状態もいいし、古着屋さんをするのにはぴったりで。彼女もすごく気に入っていたんですけど、問題がひとつあって……。

 

――いったい、どんな問題が?

金澤さん:床屋さんだったフロアを借りるには、2階の住居スペースも一緒に借りる必要があったんです。そうなると家賃はもちろん上がるし、2階の活用方法も考えなきゃいけなくて。でも、友人はここでお店をやるイメージができていたし、私も一番町で何かチャレンジしたいときだったので、ここで商店街に還元できるような事業をはじめることにしました。

 

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上古町をとことん楽しめる、
街全体を使った、門前宿。

――2階を活用するべくはじめたのが、宿泊業だったんですね。

金澤さん:このあたりに地域に根づいた宿があったらいいな、とは前から思っていたんです。新潟に来て泊まる場所って、ビジネスホテルやゲストハウスが多いんですが、宿の選択肢が多いほうが楽しめるかなって。

 

――「ODO」は「まちやど」スタイルの宿と聞きました。

金澤さん:このスタイルの宿は全国的にあって、街全体を使って宿泊を楽しみましょうっていうイメージなんです。一般的な旅館は、ご飯もお風呂もその旅館の中で完結しますよね。でもうちはそうじゃなくて、お客さんにどんな過ごし方をしたいかを聞いて、近くの銭湯や飲食店、お買い物ができるお店を紹介しているんです。「どう楽しんだらいいか、わからない」という方も多い地方都市には、向いている宿泊形態だと思っています。

 

――なるほど、その街の中で完結するのが「まちやど」スタイルなんですね。ちなみに、宿の名前の由来は?

金澤さん:私が4年前に立ち上げた「合同会社踊り場」が関わっています。上古町のお店は個人店が多く、個性を表現する場になっていて、私もそんな表現の場をもっとつくりたいと思ったんです。それで、表現を踊りとして捉えて「踊り場」と名付けました。この宿も、ここを訪ねる人の「踊り場」になってほしいっていうのと、商店街の中にあるいろんなお店を回って新しい楽しみ方を発見して、いい意味で驚いてほしいという思いを込めています。

 

――「踊り場」と「驚き」を掛けて、「ODO」ということですね。この場所をつくるとき、どんなことを意識したのでしょう。

金澤さん:この建物の個性を活かしつつ、古さの新しさのバランスをとることを意識しました。いろんな地域の同じような場所に泊まってみて、上古町らしさについて、すごく考えました。古いものと新しいもののバランスがちょうどいいのが上古町なのかな、と思い、お部屋もあまり手を加えず、もともとあったものを活かしました。

 

――お部屋を出て、階段を降りると1台のピアノがあります。

金澤さん:これも個性のひとつですね。このストリートピアノはお隣の「Dr.可児」さんがずっと管理してくれているんです。このピアノがあるフロアには階段がなかったんですが、友人のお店をつくる中で、階段を宿につなげました。今でも1階は出入りが自由なので、気軽にピアノを弾きに来てくれたら嬉しいですね。

 

お部屋の中には『新潟古町100選』が。上古町の新たな発見のお手伝いをしてくれます。
可愛いオブジェと思いきや、実はワインオープナー。

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点をつなげて、面にする。
商店街の、次の一歩。

――「ODO」ができたことで上古町にどんな変化が生まれるのか、今から楽しみです。金澤さんとしては、いかがでしょう。

金澤さん:「SAN」をやってきて、新潟駅から古町エリアまでの「新潟2km」の範囲から上古町のことを意識するようになったんです。今回「ODO」という場所をつくってみて、今度はこの上古町という場所を言語化するフェーズにきているのかなって思っています。個々のお店の特徴は言えるけど、上古町全体としてはぼんやりしているところがあって。それがいいところでもあるんですが、ちょっと言語化できるようにしていきたいですね。

 

――それはきっと、金澤さんの言っていた「横のつながり」にもつながるものかもしれません。

金澤さん:上古町に関していえば、もうすでに個々のお店がすごく頑張っているので、商店街としての楽しさをより伝えられたらと改めて思いますね。それぞれの点がつながって、ひとつの面になっていくような。今年、上古町商店街振興組合としては設立20周年になるので、今までのお祭りとは別に、なにか新しいことをみんなでできたらな、なんて考えています。

 

――素敵です。「ODO」として、これからの目標はありますか?

金澤さん:まずは、とにかく頑張るということと、地域の方と上古町との新しい関わり方をつくっていけたら良いなと思っています。宿って、すごく働き方が柔軟だと思っていて、お昼の2,3時間だけ働くみたいなのができるんですよ。短時間だけど上古町で働きたい人にすごく良いと思うし、上古町が働く場所になるっていうのは、よりこの場所に根ざすことができて面白いかなって。この街との新しい関わり方も、ここから提案していきたいですね。

 

「TULIP EN MENSEN」のベッドスロー。亀田縞に「ODO」のロゴが刺繍されています。

 

上古町の門前宿 ODO

新潟市中央区一番堀通町685-3

※最新の情報や正確な位置情報等は公式のHPやSNS等からご確認ください。なお掲載から期間が空いた店舗等は移転・閉店の場合があります。また記事は諸事情により予告なく掲載を終了する場合もございます。予めご了承ください。

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