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木々に囲まれた開放感あふれるカフェ、秋葉区「お菓子工房 十三夜」。

秋葉公園からすぐ近くの高台にあり、テラス席から新津の街並みを望むことができる「お菓子工房 十三夜」。夏の気配が徐々に薄れて、清々しいこの季節。取材当日は開店直後からお客さんで賑わっていました。今回は店主の坂井さんに、お菓子づくりをはじめたきっかけなどについてお話を聞いてきました。

 

お菓子工房 十三夜

坂井 まり Mari Sakai

1969年新潟市生まれ。高校卒業後、運輸会社やペンションなどに勤務。家族で経営する喫茶店で働きながら、東京のお菓子教室に通う。「お菓子工房 十三夜」としてイベントなどでお菓子の販売をはじめ、2016年に秋葉区に工房兼カフェを構える。

 

10年通ったお菓子教室。

――坂井さんがお菓子作りに興味を持ったきっかけを教えてください。

坂井さん:高校を卒業してからアルバイトを転々としていたので、母が「いつまでフラフラしているの」と東京のお菓子教室を勧めてきたんです。見学した日のレッスンメニューはチョコレートボンボン。「こんげの習っても新潟じゃ売らんないよね」って、ブツブツ言いながら新潟に帰ってきました。だって、今から30年近く前の話ですよ。

 

――チョコレートボンボンなんて見たことも聞いたこともなかったかも。

坂井さん:2月か3月に見学に行ったんじゃなかったかな。お菓子教室が4月から代官山に移転する事情があったからだと思うんですけど、生徒数を集めたかったんでしょうね。すぐに電話がかかってきて。「ぜひ参加されてはいかがでしょう。まだ新潟からはひとりもいらっしゃっていませんよ」って言葉にその気になっちゃったんです(笑)。「参加します」とお返事しました。

 

――でも、まったくの素人だったら東京のお菓子教室に通うなんてハードルが高いように思うんです。誘われる前から手作りお菓子にハマっていたとか?

坂井さん:姉と一緒にお菓子づくりはしていたかな。でもそこまで「好き」ってわけじゃなかったですよ。私は自分のことを「コツコツ作業するのが苦手なタイプ」と感じていたんだけど、母は「そういうことが性に合っているんじゃないか」と思っていたみたいですね。

 

 

――それで勧めてくれたんですね。

坂井さん:私が生まれる前から親が喫茶店を営んでいたんです。ホットサイド、コーヒー、クリームソーダって、そんな感じのメニューを提供する「昔ながらの喫茶店」でした。ナポリタンやグラタンのソース、ドレッシングだって母のお手製。

 

――坂井さんはどこかにお勤めされながら、お菓子教室にも通っていたんですか?

坂井さん:喫茶店を手伝っていたんですよ。だから「ここで働くならお菓子教室に通ってもいいよ」みたいななりゆきですかね。最初に受講した4年間のコースを終えてから、次のクール、次のクールと合計10年間ほど通ったでしょうか。今でも定期的に通っています。

 

見晴らし抜群のテラス席。

――現在はテラス席での飲食とテイクアウト営業をされていますよね。どうして今の営業スタイルにしたんですか?

坂井さん:15年くらい前、雑貨ブームみたいな時期がありましたよね。イベント出店が流行っていたから、そこに参加するためにお菓子の販売をはじめたんです。しばらくは母、姉、私の3人体制で喫茶店も営んでいたんですけど、2016年だったかな。独り立ちして、景色が見渡せるこの場所にテラス席を設けてカフェ営業をスタートしました。

 

――素晴らしい眺望ですね。ゆったりした気持ちになりますね。

坂井さん:このテラス、以前は家族の休憩スペースだったんですよ。「いい景色だね」と言いながら、お昼ご飯を食べたりお茶休憩をしたりして。でもそれだけではもったいないから、カフェとして営業してしまおうと考えたわけです。

 

 

――今でもイベント出店をされているんですよね。お菓子を作って、準備して、めちゃくちゃ忙しいのでは。

坂井さん:もうね、休みなんかないですよ。営業はしていなくても厨房でずっと仕込みをしているわけなので。これから栗、かぼちゃ、さつまいもにイチジクも美味しい時期なのにどうしましょう。

 

――栗とかぼちゃ、確かに仕込みが大変そうです。

坂井さん:だいたい午前中に焼き菓子に取り掛かって、午後からムースとかを作ったりしてね。夜にまた仕込みをするみたいな感じですかね。仕事仲間と「営業しているときの方が案外落ち着いていたりするのよね」なんてよく話すんです。皆さん「そうそう」って(笑)。そうやって共感し合うのも楽しかったりするんですよね。

 

――カフェ営業をはじめて変わったこともあるんじゃないですか?

坂井さん:「これなら今できそうだな」って作業を営業中にちょっとずつ進めるようになりましたかね。ひとりでいるとつまらないから、おしゃべりもしたくなるんですよ。お客さまにお会いできるのは、私の楽しみなんでしょうね。

 

 

 

お菓子工房 十三夜

新潟市秋葉区秋葉3-7-45

TEL/0250-22-5960

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