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ラムを日本のテーブルミートに。羊肉の普及を目指す「阿久津龍平」。

近頃スーパーでも見かけるようになったラム肉ですが、「独特のクセがあってちょっと苦手」という方もいらっしゃるのでは。かく言う私は、Thingsで取材をした「生ラムジンギスカン 吉祐栄門」さんのジンギスカンを食べて羊肉の美味しさを知りました。今回は羊肉に興味を持ち、「羊の肉を普及したい」と活動をはじめた阿久津さんにいろいろとお話を聞いてきました。

 

阿久津 龍平 Ryuhei Akutsu

1988年三条市生まれ。JAPANサッカーカレッジを卒業後、営業職に就く。その後「Sea Point Niigata」「居酒屋ぼんど」「ラム焼肉 隠れが笑平」で飲食の経験を積む。2022年、羊肉の普及を目指して「羊を扱う料理人」として活動をはじめる。

 

世界中で高い需要がある羊の肉。日本であまり消費されない理由とは。

——まずは、阿久津さんの活動について教えてください。

阿久津さん:「羊を扱う料理人」として、羊肉を普及させる取り組みをしています。羊のお肉って宗教上の制限もないし、実は世界中で好んで食べられているんです。でも日本では羊肉を食べる習慣がほとんどないんですよね。牛肉や豚肉は年間ひとり当たり10キロ以上消費されているのに、羊肉は200グラムほどしか食べられていないというデータもあるくらい。こんなに羊のお肉を食べない国って、珍しいんですよ。

 

——どうして日本では羊を食べる習慣がないんでしょう?

阿久津さん:「もともと日本に生息していなかった動物だから」という説もありますし、社会的な背景もあるんです。2000年代にBSE問題が起きて、牛肉の代わりに羊肉を仕入れるお店が増えました。焼肉屋からジンギスカンのお店に改装したところも多かったんですよ。でも当時は、羊肉の適切な扱い方があまり知られていなかったんでしょうね。美味しい羊料理を楽しめるお店がほとんどなかったんです。それで「羊のお肉は固くて臭い」ってイメージが広まったんです。

 

——そんなことも関係しているんですね。

阿久津さん:あれから20年以上経ちましたよね。その間に品種改良が進んで、羊肉の質はどんどん高くなっています。それなのに今でも「ラムは臭い」って思われているんですよね。そんなマイナスイメージをどうにかして払拭したいんです。

 

 

——そのための具体的な取り組みについても知りたいです。

阿久津さん:イベントに出店して美味しい羊料理を提供したり、SNSなどで羊の文化や歴史を発信したりしています。

 

——料理をする際にはどんな羊肉を選んでいるんですか?

阿久津さん:ニュージーランドとオーストラリアの羊肉を使うことが多いですね。ニュージーランド産の羊肉は生まれて4ヶ月〜6ヶ月の子羊の肉で、柔らかいしクセがほとんどないんです。

 

羊のストーリーは面白い! 魅力を伝えて、羊肉をテーブルミートに。

——ところで阿久津さんは、専門学校を卒業してからは営業職に就いていたんですよね。どうして飲食の仕事をしようと?

阿久津さん:営業の仕事をしていた頃、関屋浜の海の家「Sea Point Niigata」でボランティアをしたんです。そのとき、高校時代にも飲食店でアルバイトをしてすごく楽しかったことを思い出して、「やっぱり人と接する飲食の仕事が自分には合っている」って思ったんです。それでサラリーマンを辞めて、「Sea Point Niigata」で働くことにしました。たくさんの料理人さんや仲間と出会えたし、いい経験をさせてもらったと思っています。

 

——「羊の肉を広めたい」と思ったのはどうして?

阿久津さん:新潟駅前にある「ラム焼肉 隠れが笑平」で羊の肉を扱うようになって、そのバックボーンを知りたくなったんです。調べてみたらめちゃくちゃ面白くて。国家の政策や社会情勢とも関係しているし、衣服素材として重宝されていた羊が食用としても欠かせないものになるというストーリーにもそそられました。こんなに奥深いストーリーがある羊文化をもっと広めたいと思ったんです。

 

 

——阿久津さんが考える、理想の羊肉文化ってどんなものですか?

阿久津さん:スーパーで牛や豚、鳥肉と同じようにラムが置いてあって、飲食店でもご家庭でも当たり前に羊料理が食べられる。そんなふうに羊の肉が日本のテーブルミートになったらいいですよね。羊料理ってまだあまり知られていないと思うので、僕のSNSでラムを使ったレシピを発信するつもりです。

 

——さて最後に、阿久津さんの今後の目標を教えてください。

阿久津さん: 今目指していることは、オーストラリアのラムの魅力を発信する「ラムバサダー」になること。僕は羊を育てることはできないけど、魅力を伝えることはできます。発信力を高めるためにも、「ラムバサダー」になって活動の幅を広げたいです。

 

 

 

阿久津 龍平

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