チョコ好きにはたまらないお店が、新潟市西区にある「パティスリー グレヌ」です。30種類を超えるボンボンショコラをはじめ、チョコレートを使ったケーキやドリンクが豊富に揃っています。今回はオーナーでショコラティエの星野さんから、お菓子やお店へのこだわりについて聞いてきました。
パティスリー グレヌ
星野 貴弘 Takahiro Hoshino
1975年新潟市西蒲区生まれ。ステンレス加工の仕事を経て、県内外の人気洋菓子店で修業をした後、新潟市西区で「パティスリー グレヌ」をオープンする。趣味はスキーやジョギングなど身体を動かすこと。
——まずは星野さんが洋菓子職人になったいきさつを教えてください。
星野さん:もともと機械いじりに興味があったので、工業高校を卒業した後にステンレス加工の会社で働いていたんですよ。その一方で、夜はレストランバーの手伝いもやっていて、そのうちだんだんと飲食業が面白く感じるようになってきたんです。
——それはどうしてなんですか?
星野さん:工場の仕事ってお客様と接する機会がないんだけど、飲食店はお客様の反応が伝わってくるところが面白かったんです。
——なるほど。でも料理人じゃなくて、お菓子職人になったのはどうしてなんでしょう?
星野さん:そのレストランバーの料理人から洋菓子の仕事を勧められたので、地元の人気洋菓子店で修業をはじめることにしました。そこは僕がはじめて本格的な洋菓子を食べて感動したお店だったんです。それまでは工場で作られたようなケーキやお菓子しか食べたことがなかったですから(笑)
——職人が作る洋菓子に感動したわけですね。修業をはじめてみて、いかがでしたか?
星野さん:ケーキといえばショートケーキやミルフィーユくらいしか知らなかったんですよ(笑)。洋菓子の専門学校で勉強したわけじゃないから、用語も知らないし素材の知識もなかったのでコンプレックスを抱えながら修業に励みました(笑)。でも丁寧に教えていただいたおかげで、お菓子作りの基礎を身に付けることができましたね。
——チョコレートもそのお店で勉強したんですか?
星野さん:そこでも勉強しましたが、水戸にあるフランス菓子店で学んだことが大きかったですね。独立を考えるようになった頃で、いろいろな洋菓子店で勉強してみたいと思うようになっていて、地元だけじゃなく県外のお店も見てみたいと思ったので、そのお店で修業させてもらうことにしました。
——そのお店ではどんなことを学んだんでしょうか?
星野さん:アーモンドを挽いたり、いちごをピューレにしたり、素材の加工からやっているお店だったので、そこを学べたのがいちばん大きかったですね。手間はかかるんですけど、できあがりの風味はまるで違ってくるんですよ。
——このあたりは、のんびりしていていい場所ですね。
星野さん:店を建てた頃は畑しかなくって、少しずつ住宅が建ちはじめていました。子どもが多い地域で車でも来やすい場所だったので、ここでオープンすることにしたんです。店舗はフランスの田舎に多い建物をイメージして作りました。
——チョコレートをメインにしたのはどうしてなんですか?
星野さん:チョコレートを一年中扱っている店が少なかったからです。何より僕自身が好きだったんですよ(笑)
——なかでもボンボンショコラは、とんでもない数の種類がありますね。
星野さん:今は32種類くらいあるのかな。以前は半分くらいだったんですけど、思いつくたびに作っていったら増えちゃって、減らすに減らせなくなってしまったんです(笑)
——おすすめのボンボンショコラはありますか?
星野さん:どれもおすすめなんだけど、珍しいのは「羊羹」や「カレー」でしょうか。
——カレーをチョコと組み合わせる発想がすごいですね(笑)
星野さん:カカオもスパイスだから合うんじゃないかと思ったんです。でもバランスがなかなか難しくて試行錯誤しましたね。最後は何軒ものカレー店を回ってアドバイスをいただくことでようやく完成したんです。そのおかげで意外と人気があるんですよ。
——ボンボンショコラ以外ではどんな商品がおすすめですか?
星野さん:ホワイトチョコやミルクチョコって苦手な方が多いんですけど、みんなが美味しいと思うものを目指して作った商品ですので、ぜひ一度食べてみてほしいですね。これを目当てに通ってくれるお客様も多いんですよ。
——他のお店と比べてジャムも多いような気がします。
星野さん:新潟って米どころのわりにパン食の家庭が多いんですよ(笑)。地場をはじめ旬のフルーツを使った自家製ジャムで、糖分を少なくすることで素材の持ち味を出すようにしています。でも人気があるのはチョコレートや塩キャラメルなんですけどね(笑)
——お店を経営する上で心掛けていることをお聞きします。まずはお菓子作りから……。
星野さん:いちばん大切にしているのはお菓子の鮮度ですね。売れ残ったものは次の日に持ち越しません。焼菓子もこまめに焼いてベストコンディションを保つようにしています。他のお店がやらないようなことをやりたいというのもこだわりかな。
——例えばどういったことでしょう?
星野さん:フランスのチョコレートメーカーで作ったオリジナルチョコレートが、この間やっと届いたので近々売り出す予定なんです。楽しみにしていていただきたいですね。
——へぇ〜、どんなチョコレートなのか楽しみですね。では、商品以外で心掛けていることも教えてください。
星野さん:お菓子の味と同じくらいお店の雰囲気作りにも力を入れています。いくらケーキが美味しくても、接客態度が悪くて店が汚かったら美味しくは感じられないと思うんです。心を込めた接客を心掛けていればクレームも来ないんですよ。スタッフもそこを理解して、しっかり対応してくれているので助かっています。
——なるほど。最後に、これからやってみたいことがあったら教えてください。
星野さん:温暖化の影響もあって夏が暑過ぎるので、洋菓子店への来客が減ってきているんですよ。そこでケーキ店だからこそできるような ソフトクリームの販売を来年の夏からはじめたいと思っています。自家製ジャムを使ったり、シュークリームの中身をソフトクリームにしたり……。当店ならではのソフトクリームを作ってみたいですね。
——それは楽しみですね。ちなみに店名の「グレム」ってどんな意味があるんですか?
星野さん:フランス語で「種」という意味の言葉です。当店のお菓子が種のように皆さまのもとに飛んでいって、笑顔の花が咲いてくれたらいいなという思いを込めました。
パティスリー グレヌ
新潟市西区新通南2-17-10
025-260-7025
12:00-18:00
火水曜休