子どもが安心して食べられるパンを作り続ける「マフィンベル」。
食べる
2020.11.18
多くの人はどんなパンでも食べることができますが、添加物を使ったパンを食べると胸焼けを起こしたりして、パンが食べられない人もいます。そんな人たちのために、添加物を使わずに美味しいパンを作っているのが、新潟市秋葉区にある「マフィンベル」の目黒さん。今回はこだわりのパン作りについてお話を聞いてきました。


マフィンベル
目黒 久雄 Hisao Meguro
1951年新潟市秋葉区(旧新津市)生まれ。大阪の調理師学校で学んだ後、レストランで調理師を経験。その後は東京の「タカラホテル」やフランスの「LENOTRE(ルノートル)」でパティシエとして経験を積む。「ホテルオークラ新潟」オープンのタイミングで新潟に帰ってパティシエとして働き、途中からパン作りを任されるようになる。1991年に旧新津市で「マフィンベル」をオープン。趣味は一人旅。海外ではイタリア、国内では鳥取が特に印象に残っているとか。
一流ホテルやフランスの有名店でパティシエをつとめる。
——目黒さんってパン屋さんとしてのキャリアは長いんですか?
目黒さん: 最初はねぇ……パティシエだったんですよ。まずは大阪の調理師学校に行きました。そこを卒業してすぐにパティシエをやりたかったんですけど、当時アルバイトしていた店の親方から「お菓子作りはいつでもできるから、若いうちに料理の経験も積んでおいた方がいい」というアドバイスをもらったので、それに従ってレストランに勤めて料理を作ってたんです。
——じゃあ、最初は料理人だったんですね。
目黒さん: そうなんですよ。その後知人の紹介で、東京にあった「タカラホテル」のパティシエとして働き始めたんです。そのホテルでは結婚式なんかもやってましたから、ウエディングケーキや引き出物のお菓子なんかも作ってました。そこでひと通りお菓子作りの基本を学ばせてもらった後、フランスに渡ったんです。
——おお、海外修行ですか?
目黒さん: はい。当時「西武デパート」の中に、フランスの有名な菓子店「LENOTRE」の店を出すことになったんです。私もそこで働く予定だったので、フランスの店で作り方を学ぶために1年間働いてきました。フランス語での会話はなんとかなったんですが、仕事のやり方が日本とまったく違うので戸惑うことが多かったですね。ただ、途中で家庭の事情もあって新潟に帰ることになったんですよ。
——それは残念でしたね。新潟に帰ってからもお菓子作りを続けたんですか?
目黒さん: ちょうどその頃「ホテルオークラ新潟」がオープンすることになって、私はそこでパティシエとして働くことになりました。でも途中からパン作りをやらなければならなくなってしまって。それで講習会や研修を受けたりして、本格的にパン作りの勉強をしました。

子どもたちが安心して食べられるパン屋さん。
——どうして「マフィンベル」を始めたんですか?
目黒さん:いつか独立したいっていう気持ちはずっと持っていたんですよ。でも一番の理由は、子どもに安心して食べさせられるパンを作りたかったからなんです。当時のパンって乳化剤とかイーストフードとかの添加物を使って、発酵させずに簡略化して作っていたんです。私はそういうパンを食べると胸焼けがしてしまうので、実はパンが食べられなかったんですよ。だから、そういった添加物を使わず自然に発酵させたパンを作って、子どもたちに食べてほしいって思って「マフィンベル」を始めたんです。
——最初は新潟市中央区の県庁前にオープンしたんでしたっけ?
目黒さん:いいえ、最初は秋葉区で15年くらい営業したんです。でも駐車場が少ない上に家賃も高かったので、思いきって中央区に移転することにしたんです。中央区では13年くらい営業していましたね。
——また秋葉区に戻ったのはどうしてなんですか?
目黒さん:ちょっと体調を崩して秋葉区から中央区への通勤がむずかしくなったんです。とくに冬なんて雪が積もったら早朝に店に行くまでの間、道路が除雪されたないなんてことも多かったりして大変だったんですよ。
——秋葉区に戻ってからは店舗営業はしばらくやってなかったんですよね。
目黒さん:そうなんです。最初は「いくとぴあ」にある農産物直売所「キラキラマーケット」に卸売したり、保育園のおやつを作ったりしてたんです。でも直接買いにきてくださるお客様が増えてきて、お店をやってほしいっていうリクエストも多かったので、プレハブを買ってお店を始めることにしました。

添加物は使わず、長時間熟成することで風味のあるパンを作る。
——「マフィンベル」のパンって、どんなパンがありますか?
目黒さん:そうですね。まずは「新潟食パン」ですかね。秋葉区産小麦の「ゆきちから」をベースに、北海道産小麦「ゆめちから」をブレンドしたものを使ってます。乳化剤を使ってないのに柔らかくて、歯切れや香りもいいのが自慢ですね。

——ほかにもオススメはありますか?
目黒さん:「ライ麦のパン」もオススメです。粉のうち30%がライ麦っていう食べやすい比率の配合になってるんですよ。ライ麦の天然酵母を使って作るドイツのパンなんですが、新潟ではあんまり作ってるとこないんじゃないかな。

——見た目が「アルプスの少女ハイジ」に出てきたパンみたいで美味しそうですね。
目黒さん:あとこちらは「シュトーレン」っていうドイツのクリスマス菓子です。ドイツではクリスマスまでの間にこのお菓子を少しずつ食べる風習があるんですよ。熟成が進むので作ってから3週間めが一番美味しいんです。私はホテルオークラにいた頃から作っているので、けっこう長い間作り続けてますね。

——どのパンやお菓子にも添加物は使ってないんでしょうか?
目黒さん:はい。イーストフード、乳化剤、保存料は一切使ってません。パンやお菓子の中には食物アレルギーに配慮して、卵や乳を使っていないものもあります。あとクリームや料理は全部自家製ですね。熟成に時間をかけて風味のあるパンを作るようにしています。

——長い間パン作りをしてきて、嬉しいことってどんなことですか?
目黒さん:私と同じように添加物を使ったパンが食べられなかった子どもが、うちのパンは食べることができたっていう話を聞いたときは、嬉しくなりますよね。これからも、そういう子どもたちが美味しく食べることができるように、安心して食べられるパンを作っていきたいって思っています。
大通りに面している場所ではなく、閑静な住宅街の中の小さなプレハブのお店なのにも関わらず、取材中、様々な人がお店を訪れてはパンを買っていきました。それだけ多くの人たちから慕われている「マフィンベル」のパン。目黒さんの「体に優しいパンを作る」という信念がぎゅっと込められています。これからはパン以外に、伝統的なケーキも作っていきたいという目黒さん。「マフィンベル」はまだまだ進化していきそうです。
マフィンベル
〒956-0831 新潟県秋葉区中沢町16-32
0250-22-3351
9:00-14:00(売り切れ次第終了)
月曜休(祝日の場合は翌日)
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