上古町の屋根の下、イタリア料理店「FOCACCIA e VINO TETTO」。

古材を使ったカウンターメインの落ち着いたお店。

上古町の一角にセレクトショップと隣り合わせで営業しているイタリアンレストランがあります。その名も「FOCACCIA e VINO TETTO(フォカッチャ エヴィーノテット)」。テーブル席は1席だけで、他はカウンターという店内は、古材を使った落ち着きのある雰囲気。今回は人気メニューのフォカッチャサンドをいただきながら、店主の丸山さんにお話を聞いてきました。

 

FOCACCIA e VINO TETTO

丸山 美希 Miki Maruyama

1979年新発田市生まれ。東京のフッションビジネス専門学校を卒業後、アパレル企業で3年働いたが調理師を目指すため夜間の調理師学校に入学。東京のイタリア料理店を経て、新潟のイタリア料理店へ。その後2013年からイタリア各地で本場イタリア料理の修業をし、2015年にFOCACCIA e VINO TETTO(フォカッチャ エ ヴィーノ テット)を上古町にオープン。趣味は登山で、今まで登った山の中では11時間かけて登った槍ヶ岳が最長登山時間記録。

 

「TETTO」の語源は「屋根」。雨宿りや日向ぼっこのように気軽に立ち寄って。

——今日はよろしくお願いします。隣のお店とは完全に仕切られてなくて、繋がってるような作りになってるんですね。

丸山さん:お隣は「Flagran(フラグラン)」っていう、ファッション、インテリア雑貨、書籍、植物のセレクトショップなんです。この場所で「TETTO」を始めることになったのも、お隣から店舗スペースをシェアしないかという相談があったからなんですよ。お隣で買い物したお客様がうちでランチしたり、うちでランチしたお客様がお隣で買い物して帰ったり、一緒にイベントを企画したりして、いい感じに共存させてもらってます。

 

——お店の中も落ち着ける雰囲気ですね。

丸山さん:店名の「TETTO」っていう言葉はイタリア語で「屋根」っていう意味なんです。その言葉には、軒先で雨宿りするように気軽に立ち寄ってほしいとか、おばあちゃん家の縁側で日向ぼっこするみたいにのんびり過ごしてほしいとか、そういう思いを込めてあるんです。堅苦しくない気楽な雰囲気を出したくて、店舗の内装には古材を使ってもらいました。

 

——カウンターメインの作りっていうのにも理由があるんでしょうか?

丸山さん:私一人でお店を回すことも考えて、こういったカウンタースタイルにしたんです。これだったら厨房から接客することができるし、お客さんすべてに目が届きますからね。

 

アパレル業界から心機一転、調理師の道へ。

——丸山さんはずっとイタリア料理に関わってきたんですか?

丸山さん:いいえ。高校卒業後は東京のファッションビジネス専門学校で勉強して、そのまま東京のアパレル企業で働いていたんです。広報やプレス関係の仕事をしていたので表に出ることが多かったんですが、私は表に出るのが苦手だったんです。それで、アパレル業界に向いてないんじゃないかって思い始めたんですよ。その頃からいつかは小さな飲食店をやってみたいっていう思いが漠然とありました。すぐやるわけじゃなくて、ずっと先にやってみたいなって感じで。

 

——それで転職することにしたんですか?

丸山さん:アパレル企業で働いている時、仕事柄スタイリストの方と出会う機会が多かったんです。そのほとんどが別な業種から転職した人たちで、すごく刺激と影響を受けたんです。飲食店をやるのはずっと先のことだと考えていたけど、今から方向転換して始めてみてもいいんじゃないかって思い始めたんです。それでアパレル企業を退職して、昼はカフェで働きながら夜間の調理師学校に通って料理の勉強を始めました。

 

——調理師の学校を出た後はどちらの店でイタリア料理の修業をしたんですか?

丸山さん:何軒かのイタリアンレストランで働きましたが、当時の調理師の世界って女性が厨房に立つことができなかったんです。最低条件として、3年間ホールスタッフをやったら厨房で下働きからやらせてもらえるというものでした。がんばって、やっと前菜を任せてもらえるようにはなったけど、メイン料理はやらせてもらえなかったんです。そのお店を辞めた後は、劣等感やジレンマで就職する気になれずに、アルバイトをやってみたりもしましたが物足さを感じてしまい、再度イタリアンレストランに就職したんです。

 

——やりたくてもやれないっていうのは辛いですよね。新潟へは自分のお店を始めるために帰ってきたんですか?

丸山さん:いいえ。東京にあったイタリアンレストランが新潟に出店するということで、その店を立ち上げるためのオープニングスタッフとして誘われたんです。でも、自分のお店をやりたいと思い始めていたので、3年間だけという約束で働くことにしました。

 

言葉がわからないのにイタリアで料理の修業?

——新潟のイタリアンレストランで3年勤めた後に「TETTO」をオープンしたんですか?

丸山さん:いいえ。その後に1年ほどイタリアに行って料理の修業をして来たんです。ローマ、シチリア、トスカーナのお店を転々と回って、住み込みで本場イタリア料理の修業をしました。

 

——失礼ですけどイタリア語は使えたんですか?

丸山さん:東京で働いていたイタリアンレストランは、スタッフ間でイタリア語を使うお店だったんです。だからイタリア語の単語だけは知っていました。それから曜日や数字の呼び方だけは勉強したので、なんとかなるだろうと思ってイタリアに行ったんです。ところが実際は全く聞き取れなかったんです(笑)それでイタリア語の語学学校へ通いました。

 

——じゃあ、料理だけじゃなくてイタリア語もマスターしたんですね。

丸山さん:ところがその語学学校っていうのは、イタリア人の先生がイタリア語で授業をするイタリア語の学校だったんです。言ってみれば、日本の学校で外国人が国語の授業を受けるようなもんですよね。そりゃあ、わかるわけないですよね(笑)

 

——そんな状況でも修業をしたんですよね(笑)。やっぱり大変でしたか?

丸山さん:大変でしたよぉ(笑)。イタリア人って言葉が乱暴なところがあったりするんですよね。私は言葉がわからない時があるから、その言葉をメモして帰って辞書で調べていたんです。そしたら、かなり汚い言葉を使われてたことがわかって時間差でショックを受けてましたね。でも、当時の日本とは違って女性でも男性と同じように厨房で調理することができたし、いろいろ教えてもらいましたね。

 

——後でわかるのって嫌ですね(笑)。他に辛かったことってありますか?

丸山さん:イタリアで暮らしていると日本料理が恋しくなるんですよ。週に一度の休日には現地で知り合った日本人の友人達と集まって、日本料理を作って食べながらバカ騒ぎしてストレス発散してましたね。それから、最後に住んだトスカーナは山の上のトタン小屋だったんです。冬だったのでとても寒かった上に、シャワーが少ししか出なくて過酷な生活でしたね。もう少し修業をする予定だったんですが、厳しい生活環境に耐えられず帰国しました(笑)

 

旬の新潟県産食材を使いながら、様々なイタリア料理を伝えたい。

——丸山さんの料理に対するこだわりを教えてください。

丸山さん:旬の食材を使うことですね。旬っていうのはその食材が一番美味しい季節なわけですから、美味しくないはずがないんですよ。それから新潟県産の食材をできるだけ使うようにしています。東京やイタリアで暮らしてみて、つくづく新潟の食べ物の美味しさを知りました。せっかく地元に美味しいものがあるんだから、使わない手はないですよね。

 

——そんな食材を使ったメニューの中でフォカッチャって人気があるんですか?

丸山さん:フォカッチャってイタリアンレストランではどこの店でも食べられるし、特に珍しい料理じゃないんです。ただ、メニューを考えた時に、お隣がお洋服も扱うお店だから、煙が出たりして匂いがつくような調理はできないなと思いました。それで考えたのがフォカッチャサンドなんです。イタリアのフォカッチャはゴワっとした固めの食感なんですが、うちのは水分量や粉の配合を変えて、日本人向けにしっとりふわっとした食感にアレンジしてあります。それで人気があるのかもしれないですね。

 

——なるほど。その他に人気のあるメニューはありますか?

丸山さん:ラザニアは人気がありますね。季節ごとに旬の野菜を使うようにしているので、その時々で違った食感や風味を味わうことができるんです。イタリア風ソーセージのサルシッチャも人気です。粗びき肉にニンニクと数種類のハーブを加えてあって、そのまま食べても美味しいし、煮込むことでソースも美味しくなるんです。ワインにも合うのでおつまみにもピッタリですね。

 

——料理を作る上でやりがいを感じることってありますか?

丸山さん:うーん…。月並み過ぎて言うのが恥ずかしいなぁ(笑)。お会計のときに「美味しかったです」って声をかけていただけると、本当に励みになりますね。

 

——月並みでも大事なことですよね。では、今後やってみたいこととかありますか?

丸山さん:とりあえずお店のスタッフを連れてイタリア研修に行きたいですね。本場のイタリアの食や空気に触れてほしいんです。それから、新潟の人たちにもっとたくさんのイタリア料理を伝えられたらと思っています。日本でもいろんなイタリア料理が食べられてますけど、もっともっとイタリアには美味しい料理がたくさんあるんです。そういう料理を気軽に味わえる店として続けていきたいですね。

 

 

アパレル業界から調理師に転身し、イタリアンレストランオープンを目指して来た丸山さん。言葉の壁を乗り越えて本場のイタリアで料理を学びました。そんな経験の末にオープンした「FOCACCIA e VINO TETTO」では、新鮮な旬の新潟県産食材を使ったイタリア料理を提供しています。そんな「TETTO」という屋根の下で気軽にランチやディナーを味わってみてはいかがでしょうか?

 

 

FOCACCIA e VINO TETTO

〒951-8063 新潟県新潟市中央区古町通4-647 富士ビル1F

025-378-1320

11:00-21:00(ランチはL.o.15:00/日曜は11:00-15:00)

木曜・第3金曜休


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