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三条グルメ・カレーラーメンの味を守り続ける「大黒亭 松屋小路店」。

新潟五大ラーメンのひとつに数えられ、県内外のラーメン好きに人気がある三条市の「カレーラーメン」。80年以上にわたって愛され続けてきた三条カレーラーメンのなかで、最も古い提供店として有名なのが「大黒亭」です。本店をはじめ、暖簾分けをした居島店、松屋小路店の2店舗があり、それぞれでカレーラーメンの味を守り続けています。今回は「大黒亭 松屋小路店」にお邪魔して、2代目店主の八木さんからお話を聞いてきました。

 

 

大黒亭 松屋小路店

八木 硬介 Kosuke Yagi

1958年三条市生まれ。長岡の調理師専門学校で料理を学び、東京の中華料理店で修業する。三条に戻ってからは家業の「大黒亭 松屋小路店」で働きはじめ、2代目店主として店を継ぐ。レコードのコレクションと鑑賞が趣味。

 

三条カレーラーメンと「大黒亭 松屋小路店」の歴史。

——「大黒亭 本店」さんが、三条で最初にカレーラーメンを提供したお店だと聞きました。

八木さん:本店の創業者が、東京の洋食店で修業していたときにカレールーの製法を学んだんだそうです。それを生かして作ったのが「カレー中華」で、80年以上にわたって三条の人たちから親しまれてきました。

 

——カレーラーメンが三条で長い間親しまれてきたのって、どうしてなんでしょうね。

八木さん:三条は金属産業が盛んで昔から多くの工場があったので、汗をかく職人たちの出前にカレーラーメンはぴったりの食べ物だったんじゃないでしょうか。

 

 

——なるほど。まさに地域と共に歩んできた「ソウルフード」なんですね。「大黒亭 松屋小路店」さんは本店から暖簾分けしたお店なんですよね。

八木さん:はい。私の父は本店創業者の次男だったんです。当然、長男がお店を継ぐ予定だったんですけど、戦争に行ったきりなかなか帰ってこなかったので、次男だった父がラーメン作りを教わったそうです。そしたら長男がひょっこり帰ってきたので、父は「大黒亭」を暖簾分けしてもらって、昭和32年に「松屋小路店」を開店しました。ちなみに「居島店」は創業者の弟が暖簾分けしてもらったお店です。

 

——へ〜。それじゃあ今では3つの家系で創業者の味を守り続けているんですね。八木さんは最初から「大黒亭 松屋小路店」を継ごうと思っていたんですか?

八木さん:そのために長岡の調理師専門学校で勉強して、東京の中華料理店で1年半修業してきました。若かったので東京暮らしへの憧れもあったんですよね。仕事はきつかったけど、休みの日は東京の街で遊べると思って頑張っていましたね(笑)

 

 

——三条に帰ってからはすぐに「大黒亭 松屋小路店」で働きはじめたんですか?

八木さん:そうです。私の父は職人気質だったので、最初の頃はまったくラーメン作りを教えてくれませんでした。私が27歳になった頃に、父が製麺に専念したいという理由からやっとスープ作りを教わることができたんです。カレー作りも父の体力が落ちてきて、カレーをかき混ぜ続けるのがキツくなってきたということで、やっと教わることができました。

 

——それでようやくラーメンが作れるようになったわけですね。

八木さん:ところが自家製麺の作り方を教えてもらわないうちに、父が他界してしまったんです。しばらくは麺が作れなくて製麺所から仕入れていましたけど、母がうろ覚えながら作り方を覚えていたので、一緒に試行錯誤しながら自家製麺を作りました。

 

代々受け継がれていく老舗のカレーラーメン。

——「カレーそば」に使っているカレーは自家製なんですよね。

八木さん:そうです。カレーが焦げつかないよう、火加減に気をつけながら1時間半かき混ぜ続けて作っています。長く使っているしゃもじはすり減って、小さくなってしまうんですよ。

 

——それはかなりの重労働ですね。作り方はずっと変わらないんでしょうか。

八木さん:作り方はまったく変わっていません。ただ、材料に使っている塩は私の代で変えました。創業当時には塩の種類がなかったんですけど、今はいろいろな塩があるじゃないですか。常々塩味が強過ぎると思っていたので、ミネラル塩を使うようにしてみたんです。そしたら思った通り、角が取れてまろやかな味わいのカレーになりました。

 

 

——長い歴史の中で、それだけしかアレンジせずに続いてきているんですね。変わらない味を求めてやって来る常連のお客さんも多いんじゃないですか?

八木さん:本当にありがたいことですよね。常連のお客様がいなければ、コロナ禍を乗り切れなかったんじゃないかな。いちばんお客様から助けられたのは「7.13水害」のときです。住んでいた家は堤防のすぐそばに建っていたから、完全に水没しちゃったんですよ。家の復旧のためにお店をしばらく休み続けていたんですけど、炊き出し会場で会う地元の方々から「お店が再開する日を待ってるよ」「再開したらすぐに食べに行くから」と声を掛けていただき励まされましたね。そのおかげでお店再開に向けてのモチベーションも上がったんです。

 

——大変なときにも常連のお客さんから支えられてきたんですね。やはり地元のお客さんが多いんでしょうか。

八木さん:テレビや雑誌、インターネットといった媒体から取材を受けることが多いおかげで、県外からもカレーラーメンを食べに来てくれるお客様が増えましたね。あと一緒にお店をやっている私の息子が、SNSを担当して情報発信してくれているので、それを見てきてくれるお客様も増えました。

 

 

——息子さんは3代目として「大黒亭 松屋小路店」を受け継いでいくんですね。

八木さん:私も体力が落ちてきているので、体力を使う仕事は息子にやってもらっています。最近人気が出てきた「麻辣湯麺」というピリ辛ラーメンも息子がはじめたんです。私も若い頃は色々新しいことをやろうとしましたが、3代目には流行を追うだけではなく、代々受け継がれてきた大黒亭の「カレーそば」を守り続けていってもらいたいですね。

 

 

 

大黒亭 松屋小路店

三条市本町3-7-14

0256-32-2728

11:30-20:00(19:45 L.O.)

水曜休

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