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気心知れた友達の家にいるように過ごせるお店「Happy maru」。

今年の春、西区小針にオープンした「Happy maru(ハッピー マル)」。お店の入り口を見つけられずにまごまごしていると、ビルの2階から「分かりにくくてごめんなさい。ここは隠れ家なんです」と店主の髙橋さんが迎えに来てくれました。その言葉の通り、隠れ家らしい知る人ぞ知る居心地の良さが魅力のお店です。今回は髙橋さんにオープンのきっかけやどんなメニューがあるのかなど、いろいろとお話を聞いてきました。

 

Happy maru

髙橋 千尋 Chihiro Takahashi

1988年上越市生まれ。新潟大学卒業後、上越市役所に入庁。ご主人の異動に伴い佐渡市、東京都へ転居しフリーライターとして活動。その後、新潟市でホームページ制作会社のパート社員となる。ふたり目のお子さんが誕生したのを機に退職し、農家のサポートをはじめる。2022年、農家さんの支援や「Happy maru」の運営管理をする「株式会社abos」を立ち上げる。2023年「Happy maru」オープン。

 

農家から届く新鮮野菜を、余らせることなく美味しくいただく。

——まずは「Happy maru」さんがどんなお店なのか教えてください。

髙橋さん:私とママ友の松長さん、ふたりで営業しているお店です。ランチやスイーツの他にデリのテイクアウトも好評いただいています。店内にレンタルスペースがあるので、最近そちらを使われる方も増えてきました。エステだとかの施術に商談、オンライン会議、ママ同士の集まり、ケーキを持ち込まれてお誕生日会をするお客さまがいらっしゃいます。

 

——お店をはじめたきっかけを教えてください。

髙橋さん:主人の実家が農家ですし、以前からいくつかの農家さんを手伝っているので、そのつながりで自宅にたくさんお野菜が届くんです。すべて自宅で美味しく食べ切りたいところなんですが、仕事が忙しくてなかなか料理に手をかけられなくて。せっかくのお野菜を腐らせてしまうことにイライラしてしまう、そんな自分の機嫌を良くするためにはじめたお店です。

 

——お家にたくさんお野菜があるなんてうらやましい。でも確かに大量にあると困ってしまうかも……。

髙橋さん:お肉やお魚は、そのまま焼くなり煮るなりして食べられますけど、お野菜はどうしても下準備がいりますよね。「人参をたくさんもらっちゃった」「水菜は土がついたままだ」って、子育てしながらお野菜の処理をどうしようって考えるのが大変で。自宅だと料理に身が入らないけど、それが仕事となると話は別です。美味しいお野菜がたっぷり食べられるお店をはじめたら、私も幸せになれるし、お客さまにも喜んでもらえるかなって思ったんです。

 

 

——お店で使っているお野菜はどちらのものを?

髙橋さん:主人の実家の野菜、「ここのやさい」さんの地元野菜、あとは知り合いの農家さんから購入 したものを中心に使っています。

 

——メニューはどういったものがありますか?

髙橋さん:そのときにどんなお野菜があるのかによってメニューを決めています。だいたい週替わりですね。ランチプレートはご飯かパンのセット。それにスープがついています。お持ち帰りできる弁当やデリもあるので、店内で食事を済まされてから、帰りにおかずをテイクアウトされる方もいらっしゃいます。

 

——今の時期はどんなお野菜を使っていますか?

髙橋さん:9月はお義父さんが育てたシャインマスカットをパフェにしてお出ししました。風味が逃げないように、ひと粒ずつ房から外して保管して、調理する直前に果梗(ぶどうのヘタ部分)を取り除いています。みずみずしくて美味しいですよ。10月上旬はさつまいもを使ったメニューを用意しました。メニューはSNSでご覧いただけるので、来店前にチェックしてみてください。

 

帰宅したときこそ、ご機嫌でいよう。1日をマルにするお店。

——今は、髙橋さんのモヤモヤした気持ちは解消されましたか?

髙橋さん:傷んだお野菜が目に入ることはなくなったし、皆さんに美味しくお野菜を食べてもらえるので、お店をはじめてよかったですね。改めて農家の皆さんに感謝する気持ちが強くなりました。

 

——それはよかったです(笑)

髙橋さん:以前はフリーランスとして働いていて、自分の中では「順調に軌道に乗っている」と感じていました。でも忙しくなればなるほど、野菜を腐らせちゃって。それがすごく苦しかったんですね。仕事を終えてからご飯を作らなくちゃいけないって、やっぱり大変です。私は「ただいま」と帰宅した玄関先では、ご機嫌でいたいんです。だから「Happy maru」のコンセプトは、「今日という一日をまるっとマル○に思える」なんですよ。

 

 

——仕事に育児に家事と、めまぐるしい毎日を送っている方には頭が下がります。

髙橋さん:お子さんと一緒に一日めいっぱい遊んだ日こそ、家に帰ってからやらなくちゃいけないことが多くなる、楽しんだだけ大変になるって「あるある」ですよね。お客さまには「Happy maru」に来た日、ちょっとでも楽をして欲しくて。野菜をたくさん摂れるから夜はポテチでもいいし、家族分のおかずをテイクアウトして、帰ってからは「ご飯だけ炊けばOK」みたいなのもいいじゃないですか。

 

——たまには手抜きしたいですよね。毎日の夕飯作りって大変ですもん。

髙橋さん:そう思ってもらえているからか、「Happy maru」には毎週欠かさず来てくださる方や月初に1ヶ月分の予約をされる方、週4日の営業のうち3日も足を運んでくださる方と、常連さんが多いんですよ。

 

お店にいる全員が自然体。友達の家でワイワイ楽しむような時間が流れる。

——キッズスペースがあるし、オムツやおしりふきのご用意もあるそうですね。お子さん連れのお客さんのためにサービスを充実させたいというお考えですか?

髙橋さん:「サービスとして」とか「お子さんのために」って考えているわけじゃないかな。もし自分の家に赤ちゃん連れの友達が遊びに来たら、「オムツ使っていいよ」「おしりふきあるよ」って、自然にそう言うと思うんです。それと同じ感覚です。

 

——実際にお子さん連れのお客さんが多いですか?

髙橋さん:最近はお子さんと一緒じゃない方も増えてきましたね。Wi-Fiがあるので、アポイントの合間にここで仕事をする方もいます。あとはマダムにもお越しいただいています。お客さまには気遣い上手な方が多くて。混み合ってくるとキッズスペースに移動してテーブル席を空けてくれるんです。「次の方どうぞ」って。

 

 

——ビジネスパーソンにもマダムにも人気があるんですね。

髙橋さん:キッチン前のカウンターは、リクエストを受けて作ったスペースなんですけど、大人の相席っていうか、昼間なのにスナックみたいな雰囲気を醸し出す人気席になりました。私たちの普段のおしゃべりが物珍しいのか、気がついたらお客さん全員、私たちが見える場所に椅子を移動させていたこともあるんですよ。営業中はすごく賑やかですね。

 

——「スナックみたい」っておもしろいですね(笑)

髙橋さん:「私と松長さんのやりとりが楽しみ」とよく言ってもらうんですけど、いったい何がおもしろいのか分かりません(笑)。普通にしゃべっているだけなんですけどね。ふたりでたまに話すんです。今は私たち育児中だから営業時間に限りがあるけど、子どもが大きくなったら、ここはもうスナックだろうねって。

 

——これからはどんなお店にしたいですか?

髙橋さん:先のことはわからないかな。目的や目標があったわけでもないですし。考えがあるとすると「目の前のお野菜を美味しく食べたい」「自分の機嫌を良くしたい」ってことだけです。「こうしなくちゃっ」てこだわりがあるお店じゃないから、皆さん好きなように過ごしてくださるのかもしれませんね。

 

 

 

Happy maru

新潟市西区小針3-26-19 大堀ビル201

火〜金 11:00〜16:00

土日月祝日はお休み

※掲載から期間が空いた店舗は移転、閉店している場合があります。ご了承ください。
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