西区内野にある「petit caprice Daisy(プティ カプリス デイジー)」は、アクセサリーやお洋服、ドライフラワーなどの雑貨をたくさん揃えています。まだ新潟に雑貨店らしい雑貨店がほとんどなかった23年前にお店をはじめたというオーナーの長谷川さんに、いろいろとお話を聞いてきました。
petit caprice Daisy
長谷川 美幸 Miyuki Hasegawa
1968年三重県生まれ。東京の大学を卒業後、地元の不動産会社で1年ほど働く。その後結婚し24歳で旦那さんの地元である新潟に移住。1999年に内野で雑貨店をスタートしてから、松波町や寺尾前通りなどに店舗を移転。5年ほど前、最初にお店をはじめた場所で営業を再開。
——なんだが外国に来たみたいな気持ちになれるお店ですね。
長谷川さん:「フランスの田舎にありそうなお店」をイメージしているんですよ。ここに来たら、外国に来たような感じだとか、ちょっとレトロな雰囲気を感じてもらえると嬉しいです。
——お店にはどんなものを置いているんですか?
長谷川さん:ドライフラワー、アクセサリー、食べ物、インテリア小物など私が好きなもの、「これだな」と思うものを置いています。お洋服は自分で着たいと思ったものもありますし、よく来てくださるお客さまを想像して「あの人に似合いそうだな」と思って仕入れることもあるんですよ。
——長谷川さんの「好き」がつまっているお店なんですね。
長谷川さん:メーカーから仕入れているものだけじゃなくて、県内外の作家さんに頼んで置いてもらっているもの、私が作っているものもありますよ。
——長谷川さんご自身の作品もあるんですか。例えばどんなもの?
長谷川さん:ドライフラワーやプリザーブドフラワー、アクセサリー、ワイヤー小物、タイル小物、木工品などいろいろ作ります。独学で作ったものをお店に置いているうちに、いろんなところから「教えてほしい」と頼まれてレクチャーもするようになりました。
——へ〜、いろいろ作られてるんですね。
長谷川さん:「あるときは洋服、あるときはプリザーブドフラワー」というふうに、自分の中のブームみたいなものがコロコロ変わるんです。アクセサリーをたくさん作っていたときもありました。夢中になって作るもの、お店に置くものは徐々に変わってきているかもしれません。
——そもそも長谷川さんはどうして雑貨屋さんをはじめようと?
長谷川さん:昔から雑貨が大好きだったんです。それで「インテリア関係の仕事ができたら」と地元の不動産会社に就職したんですけど、結婚して、24歳のときに新潟市に引っ越して来たんです。新潟ではプラーカ3にあった「オレンジハウス」という雑貨屋で働いて、その間もずっと「自分で雑貨屋をやりたい」と思っていました。次男が生まれた頃、その気持ちが強くなったんですよ。
——「育児だけでなく、好きなことをやりたい」という気持ちだったんですね。
長谷川さん:夫には反対されたんですが、義母がすごく後押ししてくれたんです。「やりたいことをやりなさい」って応援してくれて。そのおかげでお店を出すことができたんです。
——お店をスタートしたのはいつですか?
長谷川さん:1999年だから、雑貨屋さんをはじめてもう23年になりますね。今の場所からスタートして、松波町、寺尾前通、知り合いのご自宅と転々として、8年くらい前にまた内野に戻って来たんです。それが今のお店の隣です。それから雑貨屋をはじめた場所でもある現在のスペースが空いたというので、5年くらい前に、また同じ場所に戻ってきたんですよ。
——へぇ。きっとこの場所にご縁があったんですね。
長谷川さん:結局ここに戻ってきたなんて不思議ですよね。隣で営業していた頃、ここは歯科技工士さんが使っていたんですけど、その方が仕事を辞められるときに「僕、もう退きますよ」って私に言いにきてくれて。不動産屋さんも「長谷川さん、元いたところ空きますよ」って。
——お店の移転について、もう少し詳しく教えてください。
長谷川さん:最初にここでお店をやっていた頃、雑貨を見ながらちょっとゆっくりしたいというので、お客さまから「コーヒーでも出してくれない?」ってリクエストされることがあったんです。でもここでカフェみたいなことをやるのはちょっと厳しいと思ったので、松波町へ移りました。以前からカフェもやってみたいと思っていましたし、知人から「カフェと雑貨ができる物件がある」と紹介されまして。
——じゃあ、松波町ではカフェを?
長谷川さん:最初はカフェと雑貨のお店だったんですけど、途中から雑貨だけにしちゃいました。というのは、カフェとしてお店を切り盛りするのがものすごく大変だったんですよ。私ひとりで注文を受けて、お水を出して、料理も作って、って落ち着ける時間がまったくなくて。それに皆さんがお友達を連れて来るから、私だけひとりぼっちみたいな疎外感があったんです。「ゆっくりお茶を飲みながらおしゃべりしたい」と想像していたから寂しかったんですよ。松波町には5年間いましたね。
——その次は、寺尾前通の店舗ですね。
長谷川さん:敷地も調理場も十分な広さがあるところでしたけど、今思えば寺尾前通にお店を出したことは失敗でしたね。今はたくさんカフェがありますけど、その頃はカフェブームではなかったし、お客さまが少なくなっちゃって。
——長く商売をされていれば「失敗だった」と思うこともありますよね。
長谷川さん:それから実家の母親の具合が悪くなったのもあって一旦お店を閉めたんですけど、知人の励ましもあって、その方のご自宅で営業していたんです。それが1年くらいでしたかね。その後は心機一転、屋号を「petit caprice Daisy」と変えて、内野に戻ってきました。
——23年前にお店をオープンした頃のことも知りたいです。
長谷川さん:当時は雑貨屋があまりなかったから、こういったお店が珍しかったのかな。雑誌にもけっこう取り上げてもらいました。近所の小学生が学校の帰りに寄り道してくれたこともよく覚えています。今なんて「寄り道禁止」ですもんね。オープン当初からずっと来てくれている、お友達のようなお客さまもいますよ。
——その頃と今とで、変化を感じることってあるんでしょうか?
長谷川さん:インターネットや100均でなんでも手に入るから、雑貨への関心は薄れているかもしれませんね。お店をはじめた頃は、100均なんてなかったですから。あの頃って、お気に入りのものを探し求めていろいろなところに足を運ぶ文化があったと思うんです。
——確かに。そうかもしれません。
長谷川さん:たぶん私が雑貨にハマった理由って、自分が選んだものをお客さまが「いいね」って言ってくれる、そのひとことがあるからだと思うんです。雑貨を見てときめいてくれる人がいると、すごく嬉しくなっちゃいます。だから、今みたいに簡単に欲しいものが手に入る時代でも雑貨屋を続けているんだと思います。
——ずっと続けてこられたのには、そんな思いもあるんですね。
長谷川さん:「やめたい」と思ったことは何回もありますよ。でも、雑貨屋をやっていることが私の生活の一部にもなっていて、どこへ行くにも「これ素敵かも」ってついつい思っちゃうんですよね。だから、これまで雑貨店を続けてこられたのは、お客さまの支えと私の「雑貨への愛」ですね。
petit caprice Daisy
新潟市西区内野山手2-17-1-102
営業時間 11:00〜18:00
営業び:水曜日、土曜日