東京2020オリンピックの正式種目となった「スケートボード」。テレビなどでスケートボードの情報を目にする機会がこれからどんどん増えていくと思いますが、元々は街中(ストリート)で楽しまれていた若者文化。そのストリート文化の象徴こそがスケートボードなのです。その楽しさを伝えたい、もっとたくさんの人たちに滑ってもらいたい。さまざまな思いから長岡にスケートショップ「ROOTS ROCK SKATE」を開いたスケーターの恩田さんに、スケートボードに対する愛をたっぷりと語ってもらいました。
ROOTS ROCK SKATE
恩田直樹 Naoki Onda
1985年生まれ、レゲエと塩ラーメンが大好きなスケーター。スケートショップのオーナーでありながら、RAS ONZYの名で自身のバンド「DUB YOUTH」のヴォーカル&ピアニカを担当。「CREATION TROOPS Sound SYSTEM」というサウンドシステムクルーの面もあわせもつ。
――当たり前だと思いますが、もちもん恩田さんはスケーターですよね?
恩田さん:もちろんスケーターですよ。13歳でスケートボードに出会ってから、かれこれ20年以上は滑っているね。
――13歳というと中学生ですよね。当時はどんな場所で滑っていたのですか?
恩田さん:昔は、今のアオーレ長岡の場所にセントラルパークって場所があって、そこに毎日通っていたね。長岡でスケートするならセントラルパークって感じだった。スケボーしてOKって場所ではなかったけど、暗黙の了解みたいな…唯一怒られないスポットだったね。
――暗黙の了解ですか(笑)。お店ではレゲエが流れていますが、好きなんですか?
恩田さん:好きもなにも、自分で作っちゃっているからね(笑)。「RAS ONZY」って名前でレゲエの音楽活動もしているんだよ。
――レゲエもスケートをはじめた当時から好きだったのですか?
恩田さん:うん、スケートをはじめてからだね。セントラルパークとかで滑っていたら、たくさんローカルな人たちと仲良くなって。同年代もそうだけど、年上の大人とか。その人たちにいろいろなカルチャーを教えてもらったんだ。プロスケーターのプロモーションビデオとかを見て、音楽を知って、15歳でマイクを握ってクラブのステージに立ってね。
――15歳でクラブですか?駄目ですよ(笑)。
恩田さん:当時はOKだったんだよ。たぶん。そんなこんなで、音楽にものめり込んで、ルーツレゲエに出会ったんだ。ルーツロックレゲエをとにかく知りたくて、スケートもしたくてヨーロッパとか海外にも行ったな。
――ショップについていろいろ聞かせてください。どんなアイテムを取り扱っていますか?
恩田さん:スケートショップだから当たり前だけどスケボー全般、スケーターブランドのアパレル、知り合いの作家さんが作ったオリジナルの商品、レゲエが好きだからレコードとかCDも置いてるね。
――特にチカラを入れているブランドってありますか?
恩田さん:スケボー系なら、アメリカ東海岸のブランドが多いかな。TRAFFICとか、POLITICとか、THEORRIESとか。ケネディー暗殺事件をパロったデッキ(スケートボードの板)とかもあるよ。
――カッコイイですね!でもこれ、グラフィックが裏側だから見えないですよね(笑)。
恩田さん:ん~確かにね。どんなにイケてるグラフィックのデッキでも、トリックとかしているとどんどん擦れて消えていくんだよ。でも、その擦れ具合とかがまたカッコいいんだよね。ある意味、擦れて完成するようなさ。
――そういえば、イベントも定期的に開催してますよね?
恩田さん:シルクスクリーンのワークショップとか、投げ銭ライブも開催しているね。ただのショップにしたくないのと、若い奴らにまだまだ大人も楽しんでるぞって、見せてやりたいんだよね。自分がスケートで出会った大人たちに憧れたように、こうなりたいな、こういうことしたいなって気持ちにもなってもらいたいし。
――お店はいつオープンですか?
恩田さん:2018年7月1日。まだオープンしてからそんなに経っていないんだよね。
――最近なんですね。オープン準備とか大変でした?
恩田さん:大変だったね。何せ、自分で作ったからね。
――え?お店を自分で作ったんですか?
恩田さん:そうそう。元々内装とかの職人だったから、ゼロから自分で作ったんだよ。音楽活動もしたかったから防音材とか入れたりさ。
――すごいですね。ちなみに何でショップを開こうと思ったのですか?
恩田さん:昔はスケートショップがたくさんあったのに、最近では少なくなった。だからってのもあるけど、一番は街中にスケートパークを作りたかったからかな。東山の市営駐車場にスケートパークはあるんだけど、立地的に車がないといけないんだよね。そうすると、親に連れてきてもらわないと子どもたちってなかなか行けないじゃん?でも子どもたちにはスケートをもっと身近で楽しんでもらいたくて。
――でも、どうやってスケートパークを作るんですか?
恩田さん:行政と協力するしかないよね。でも話すにしても、事務所だったり、店だったりが格好として必要でさ。だから店をやろうって思ったわけ。
――めちゃくちゃ男気あふれてますね。
恩田さん:アクセスしやすい場所にパークがあったら、きっとスケボー人口も増えると思うんだ。そのためには行政にもアプローチが必要で、誰かが管理しなきゃいけないし、安全に楽しんでももらうためにスクールとかも開催しないとって考えている。あと、一番重要なのが、行政と協力することで、行政が考えただけのパークにさせないこと。
――行政が考えたパークだとダメなんですか?
恩田さん:必ずしもダメってわけではないんだけど、スケボーをしたことのない、パークを知らない人が考えると、仕組みが分からないじゃん? 実際に行政が考えたパークで、素人にはとても滑れない、むしろ俺らでも難しいパークが存在するの。そんなパーク作ったって意味ないし、自分たちが楽しむだけじゃなく、滑りたての子どもたちがしっかり楽しめて、上達できるパーク設計を一緒に考えたいんだ。
――これから「ROOTS ROCK SKATE」をどうしていきたいですか?
恩田さん:オリンピックがはじまれば、もっとスケボーに興味関心が集まる。そうしたら金がある奴らがスケートショップをオープンしていくと思うんだ。でもただショップをやるんじゃなくて、自分から「スケボーしたい」って思った子どもたちにちゃんと教えられる、そんな店が必要だと思う。「ROOTS ROCK SKATE」は、こんな面白いことあるんだ、こんな楽しいことやっているんだ、って思われる店になりたいし、自分もそういう大人になりたいよね。昔憧れてた大人たちみたいにさ。とにかくスケボーを通して、いろいろなカルチャーをつないでいきたいかな。
ROOTS ROCK SKATE
新潟県長岡市南町1-9-6