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総合格闘技や柔術を学んで、新しい自分と出会う。「総合格闘技場 SAI-GYM」。

女性格闘家のちびさいKYOKA選手を紹介したばかりですが、今回はその先生である「総合格闘技場 SAI-GYM(サイ-ジム)」の代表・横山さんを訪ね、選手時代やジムのお話を通して、格闘技への思いを語っていただきました。

 

 

総合格闘技場 SAI-GYM

横山 朋彦 Tomohiko Yokoyama

1978年燕市(旧吉田町)生まれ。北海道の短大を卒業し、地元に戻って建設会社に就職するが3年で退職。2002年「ピロクテテス新潟」に入会して格闘技を学び、初試合を開始1分のKO勝ちで飾る。2006年に「全日本アマチュア修斗選手権」ライト級で優勝しプロデビュー。2023年に総合格闘技を引退。その後も柔術の大会で優秀な成績を残している。2010年に燕市で「総合格闘技場 SAI-GYM」をオープンし、2023年には見附市で2号店をオープン。

行政書士を目指していたはずが、プロの格闘家に。

——こちらはどういう道場なんでしょう?

横山さん:総合格闘技とブラジリアン柔術の道場です。「日本修斗協会」のオフィシャルジムで、多くのプロ選手を輩出しています。

 

——それはすごい。横山さんもプロの選手だったんですよね。まず格闘技をはじめたいきさつを教えてください。

横山さん:建設会社に勤めて現場監督をやっていたんですが、元々やりたい仕事ではなかったので3年で退職したんです。その後は行政書士の資格を取るために勉強をはじめて、でも半年後に受けた試験の結果は残念ながら不合格でした。失業保険の受給期間も終わって貯金も底をついたので、アルバイトをしながら再挑戦のために勉強していたんですけど……。

 

——行政書士を目指して勉強していたのに、どうして格闘技の道へ?

横山さん:ある日たまたま書店で立ち読みした雑誌に、お笑い芸人が格闘技に挑戦した記事が載っていたんです。「俺も運動不足だしやってみようかな」と思って、新潟市にある「ピロクテテス新潟」というジムへ行って練習を見学していたら、自分にもできるような気がしたので入会することにしたんです。

 

 

——わりと軽い気持ちではじめたんですね。入会してみていかがでした?

横山さん:初日の縄跳びを3分2ラウンドするメニューの最中に、気持ちが悪くなって外に飛び出して吐いちゃったんです(笑)。その頃はタバコをガンガン吸いながら勉強ばかりしていて、1日1食だけの不規則な生活を送っていたので、178cmの身長に対して体重が57kgしかありませんでした。

 

——それでも頑張ってジムに通い続けたんですね。

横山さん:練習はキツかったけど楽しかったんですよ。だんだん勉強やアルバイトよりも練習のウエイトが大きくなっていって、昼は体育館でトレーニングして、夜はジムで練習するのが日課になっていきました。アラサーで貯金もないフリーターだったけど、将来への不安はまったく感じてませんでしたね(笑)

 

——ちなみに練習はどんなふうにキツかったんですか?

横山さん:毎日通っていたから先生には目をかけてもらっていて、現役選手だった先生の練習パートナーも務めていたんです。実戦さながらの練習でボコボコにやられて、マットの端から吹っ飛ばされたり、机に突っ込んだりしたこともあって、血まみれでボロボロになっていました(笑)

 

 

——あわわわ……。それでも辞めようと思わなかったんでしょうか?

横山さん:当時のジムはそれが当たり前だったんですよ。高校時代の野球部でもそんなしごきを受けていたから、免疫があったのかもしれません。辛さよりも格闘技が好きな気持ちが大きかったし、何よりも自分が強くなっていくのがわかったのでモチベーションが上がりました。あ、もちろん今の時代はそんなことないですよ(笑)

 

——それを聞いて安心しました(笑)。でも、そんなに厳しいと続く人の方が少ないんじゃないですか?

横山さん:そうなんですよ。だから後輩たちに寄り添いながら、愚痴を聞いたり相談に乗ったりしていました。それから自分が先頭に立って、辛いことに挑戦する背中を見せるようにしていたんです。その経験が「総合格闘技場 SAI-GYM」をやる上で役に立っているような気がしますね。

 

——プロの選手になったのは?

横山さん:先生に勧められて出場した格闘技のイベントで、相手選手を開始1分でKOしたんですよ。それがきっかけで格闘技を仕事にしたいと思う気持ちが強くなって、4年後には「全日本アマチュア修斗選手権」ライト級で優勝してプロデビューしました。

 

生徒に寄り添い、一緒に夢を叶えていきたい。

——「総合格闘技場 SAI-GYM」を立ち上げたのはどうしてなんでしょう?

横山さん:プロ選手になったものの、なかなか思うような成績を残せなかったんです。先生からも試合は無理なんじゃないかと言われるようになりました。でも格闘技をやっていくと覚悟を決めていたので、自分でジムを開くことにしたんです。

 

——こんなうってつけの場所をよく見つけましたね。

横山さん:うちは祖父の代から建築会社をやっていて、ここは作業場だったんですよ。祖父に頼んで2階をジムに使わせてもらうことにしたんですが、最初は作業場にマットを敷いただけだったので、夏は暑いし冬は寒い環境でした(笑)。そのうち祖父が働けなくなって建築会社を閉めることになったので、1階も使わせてもらうことにしたんです。

 

 

——黒と赤が基調になっていて、かっこいい道場ですね。

横山さん:ありがとうございます。僕はDIYが趣味なので、3年かけてほとんど自分でつくったんですよ。ケージスタイルの練習場をはじめたのは、全国でも早い方だったんじゃないかな。広さや充実した設備は都市部のジムに負けないと自信を持っていました(笑)

 

——のびのび練習ができていいですね。格闘技を教えるときに心掛けていることってありますか?

横山さん:いいところを見つけて、褒めてあげるようにしていますね。反面、ダメなところは厳しく指摘することもあります。できるだけ相手の声に耳を傾けて、ひとりひとりと向き合いたいと思っているんですが、最近はなかなか……。

 

——どうしたんですか?

横山さん:有難いことに生徒が増えたことで、全員と向き合うことが難しくなってきたんです。そこでコーチを人に任せて、自分は経営に専念しようと思ったんですよ。そしたら選手たちの成績が下がっただけじゃなく、ジムのムードもあんまり良くなくなっちゃったので、今年に入ってから方針を見直すことにしました。

 

 

——どのように見直すことにしたんでしょうか?

横山さん:僕自身が生徒に寄り添いながら、一緒に夢を叶えていくことにしたんです。それが自分にとっても、意義ある人生を送ることになるんじゃないかと思っています。

 

——なるほど。では最後に、読んでいる方へ伝えたいことがあったらお願いします。

横山さん:僕は格闘技に出会ったことで人生を救われました。皆さんにとっても格闘技が生活に張り合いを与えるものになったり、人生を変わるきっかけになったりしてくれたら嬉しいです。

 

 

 

総合格闘技場 SAI-GYM

燕市吉田東町9-1

090-6628-4350

19:00-22:00(水曜は18:00-22:00、土曜は9:30-12:00)

日曜休

※掲載から期間が空いた店舗は移転、閉店している場合があります。ご了承ください。
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