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いい材料をふんだんに使う「生鮮市場ベアーズ」のフルーツサンドやお弁当

大手チェーンのスーパーマーケットが勢力を広げるなか、個人経営のスーパーは苦戦を強いられていますが、五泉市にある「生鮮市場ベアーズ」は独自の商品を展開することで地元のお客さんからの支持を得ています。働いているお母さんたちの方言が飛び交う店内で、代表の熊倉さんからお話を聞いてきました。

 

 

株式会社 高松屋

熊倉 大 Masaru Kumakura

1975年五泉市(旧村松町)生まれ。東京の大学を卒業し、都内の大手寿司チェーンで8年間修業。新潟へ戻って家業の「高松屋(たかまつや)」に就業し、2007年に「生鮮市場ベアーズ」をオープンをする。魚釣りが趣味。

 

寿司や玉子焼が充実しているのはどうして?

——まず「生鮮市場ベアーズ」のはじまりを教えてください。

熊倉さん:僕のひいおじいさんがリヤカーを引っ張って、乾物の行商をしていたのがはじまりだったようです。その後、おじいさんが旧村松町の商店街で「高松屋」という商店をはじめて、父の代にはミニスーパーへと変わりました。

 

——どうして五泉市街へ移転することになったんですか?

熊倉さん:時代の流れとともに駐車場のない商店街での経営は難しくなって、店を畳もうかというところまできていたんです。でも取引先にも申し訳ないし、なんとか続けようと考えました。そこで、広い駐車場のあるこの場所へ移転して「生鮮市場ベアーズ」をオープンすることになったんです。

 

 

——「ベアーズ」っていう名前は、おそらく熊倉さんの苗字に由来しているんですよね。

熊倉さん:そうです。家族経営のスーパーなので熊倉家へのエールをこめて、映画の「がんばれ! ベアーズ」をイメージして名付けました。

 

——まさか野球映画をイメージした店名だったとは(笑)。熊倉さんは昔からスーパーを継ぐつもりだったんですか?

熊倉さん:スーパーは継がずに寿司屋をやりたかったんです(笑)

 

——えっ、それはどうして?

熊倉さん:僕は魚釣りが趣味だったのでプロの釣り師になるか、寿司屋をはじめるかで迷っていたんですが、寿司屋を選んで、大手の寿司チェーンで修業させてもらいました。

 

——そうだったんですね。でも、どうして寿司屋をはじめないでスーパーを継いだんですか?

熊倉さん:身体を壊して新潟へ帰ってくることになったので、家業の「高松屋」で働くことになったんですよ。でも、当時勉強したことは店の寿司や玉子焼に生かされています。玉子焼は僕が実演して作っているんですけど、3個の玉子焼を同時に焼くことができる人間はなかなかいないと思うので。「世界で3人しかいない」と豪語しているんです(笑)

 

方針を変えるきっかけになったフルーツサンド。

——「生鮮市場ベアーズ」は、どんなスーパーとしてスタートしたんでしょうか?

熊倉さん:最初はよくある「青果や精肉を安く売るスーパー」としてはじめました。でもインスタグラムをはじめたとき、そこに載せられるような「映える」商品がないことに気づいたんです。そこで、「映える」商品を探しているうちに名古屋のスーパーでヒットしていたフルーツサンドに出会いました。

 

——なるほど。

熊倉さん:「うちはスーパーだから、材料のパンやフルーツもあるしクリームもあるじゃん!」ということで、新潟でいち早くフルーツサンドをはじめることになったんです。インスタグラムにフルーツサンドの開発過程を投稿していたら、それを見ていた方々の期待が発売前からどんどん高まっていったようで、発売日には開店前から大行列ができたんですよ(笑)

 

 

——それはすごいですね。

熊倉さん:フルーツサンドは日曜限定で販売しています。季節ごとに旬のフルーツを使って、これからはシャインマスカットがおすすめになりますね。フルーツサンドで儲けようとは思っていないので、いいフルーツを使っていてもこの価格で提供できているんです。「五泉の萌え断第一人者」を目指しています(笑)

 

——(笑)。他にも「映え」を意識した商品ってあるんでしょうか?

熊倉さん:お弁当も彩りを意識していて、メインのハンバーグやトンカツの他に、新鮮な野菜をふんだんに使っているので、「八百屋の本気のお弁当」という名で販売しています。

 

 

——フルーツサンドやお弁当は、パッケージもお洒落ですよね。見た目もきれいで美味しそうです。

熊倉さん:ありがとうございます。フルーツサンドやお弁当の経験から「安売りをしなくても良い商品は売れる」と確信することができたんです。それまでは寿司も小さなネタを使って安く売っていたんですけど、大きなネタをふんだんに使って作るようになりました。安いものを売るのではなくて、価値のあるものをお買い得な価格でご提供することを心掛けています。

 

——でも、質の良いものを安く提供するのは難しいんじゃないですか?

熊倉さん:確かに価格との折り合いをつけることは難しいんですけど、お客様のことを考えて商売をしていれば結果は後から必ずついてくると信じています。

 

お客様との仲がいい、お母さんスタッフたち。

——「お母さんのおかず」というコーナーも品揃えが豊富ですね。

熊倉さん:フルーツサンドやお弁当とは違って、家庭で作られたような料理を並べています。五泉の家庭料理は甘めの味付けが主流なので、うちの惣菜も甘めなものが多いんですよ。家庭の食卓でおふくろの味だと思って食べていたら、実は「ベアーズ」の惣菜だったというオチを目指しています(笑)

 

 

——本物のお母さんたちが作っているんですね。

熊倉さん:「ベアーズ」をはじめた頃はみんなもう少し若かったんだけど、誰も辞めないからお母さんが多い店になりました(笑)。年の功というわけじゃないけど、みんなクレーム対応は上手いですよ。「そんなこともあるわよ」なんていって解決しちゃいますから(笑)

 

——それも人柄があればこそなんでしょうね。

熊倉さん:地域とのコミュニケーションが上手く取れていて、お客様とスタッフの仲がいいんですよ。これからは小さなスーパーの経営をしていくのも難しいと思いますが、時代の変化に対応しながら地域の皆様に愛される店を目指していきたいですね。

 

 

 

生鮮市場ベアーズ

五泉市郷屋川2-150-1

0250-47-6440

10:00-19:00(日曜は9:00-19:00)

不定休(8月14日-16日、1月1日-4日)

※掲載から期間が空いた店舗は移転、閉店している場合があります。ご了承ください。
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