アロニアベリーを五泉の名産品にしようと取り組む「サンファーム泉」。
ものづくり
2023.12.14
ブルーベリーやラズベリーは有名ですが、「アロニアベリー」という果実をご存知でしょうか。北米が原産のバラ科の植物で、最近ではスーパーフードとして知られることも多いそうです。今回はそのアロニアベリーを五泉の新しい名産品にし、町おこしをしようと取り組む農業法人「株式会社サンファーム泉」と、そこでファームディレクターとして働く桐生さんをご紹介します。


株式会社サンファーム泉
桐生 将文 Masafumi Kiryu
1988年五泉市生まれ。大学卒業後「株式会社サンファーム泉」に就職し、ファームディレクターとしてアロニアベリーの栽培や加工販売を行う。教育への関心が強く五泉に大学や専門学校を誘致したいと考えている。アニメが好きで、お気に入り作品は「機動警察パトレイバー」。
スマート農業に取り組む、ベンチャー企業だと思ったら……。
——まずは桐生さんが「株式会社サンファーム泉」に入社されたいきさつを教えてください。
桐生さん:教育に関わる仕事に興味を持っていたので、新潟市内の大学で事務の仕事をやりたいと思っていました。ところが就職活動が難航して、とりあえず地元の五泉に帰ってきたんです。僕には80歳を越えた祖母がいて子どもの頃から可愛がられてきたので、祖母が生きているうちはそばにいたいと思って、五泉で仕事を見つけることにしました。
——五泉にある企業のなかで「株式会社サンファーム泉」を選んだのはどうしてですか?
桐生さん:求人情報に載っていた「アロニアベリー」という聞き慣れない言葉に興味を持ったんです。調べてみるうちに、その効能のすごさに魅力を感じました。新しいことにチャレンジしようとする「株式会社サンファーム泉」にも興味を持ちました。
——それで入社されたんですね。
桐生さん:僕がイメージしていたのは、脱サラした若手社長がはじめた、スマート農業に取り組む新進気鋭の企業でした。ところが面接に臨んだら働いていたのは、社長をはじめ70歳前後のおじいさんたち4〜5人だったんです。おまけにスマート農業とは真逆の、原始的な農業でした(笑)

——原始的って……(笑)。どんな農業だったんですか?
桐生さん:最初に連れて行かれたのは山奥にある耕作放棄地を利用した畑で、自力で帰るのは不可能な場所でした。畑に撒く水も川からバケツで汲んできて使うんです。勤めていけるかいきなり心配になってしまいました(笑)
——想像との落差がすごかったわけですね(笑)。そういうやり方で農業をされていて、ご苦労があったら教えてください。
桐生さん:農薬や化学肥料を使わない自然栽培にこだわっていて除草剤も使っていないので、年に4〜5回、1.2ヘクタールもの畑を草刈りするのが大変ですね。収穫時期は7月下旬〜8月中旬の真夏なので、炎天下での手摘みもキツい作業になります。でもその苦労が消費者の安心安全な食事につながってくれたら嬉しいですね。

アロニアベリーで五泉を盛り上げ、恩返しをしたい。
——そもそも「株式会社サンファーム泉」ってどんな会社なんですか?
桐生さん:2008年に創業した、アロニアベリーの栽培、加工販売を行う農業法人です。社長の前職は港湾整備に携わる建設業で、全国を転々とする転勤族だったんですよ。長い間帰ることのなかった地元の五泉市が、かつてニット産業で栄えていた頃の面影がなくなっていることにショックを受けて、生まれ育った土地への恩返しにつながるようなことをやりたいと考えたのだそうです。
——それがアロニアベリーの栽培や加工販売だったんですね。
桐生さん:里芋やレンコンに続く新しい名産品を作り出すことで地域活性化につなげたいと思った社長は、当初は梅に目をつけていたそうです。でも、その苗木を探しているなかで「アロニアベリー」という聞いたことのない果実に出会って、興味を持って調べてみたところ、効能の素晴らしさを知って「これだ!」と思ったそうなんですよ。

——アロニアベリーって、そんなにすごい果実なんですか?
桐生さん:北アメリカ東部原産のバラ科にあたる植物なんです。英名では「チョークベリー」。「ブラックベリー」や「チョコレートベリー」と呼ばれることもあります。ポリフェノールがブルーベリーの3倍以上、βカロチン、βクリプトキサンチン、ビタミンB6・Kが含まれている健康果実なんです。
——ポリフェノールって美肌に効果があるんでしたっけ?
桐生さん:そうですね。それ以外にもアンチエイジング、脂肪燃焼、血圧降下といった効果があって、動脈硬化や高血圧の予防に有効とされています。
——歳を重ねるほど必要になる栄養素ですね(笑)。ところで、アロニアベリーを栽培する畑はどのように確保したんですか?
桐生さん:五泉の田畑や里山の豊かな自然を蘇らせたいという思いから、空き地となった耕作放棄地を使って栽培をしています。それも五泉への恩返しと考えているんです。

ジャムからそうめんまで……アロニア製品の数々。
——アロニアベリーってどんな味がするんですか?
桐生さん:「チョークベリー」という英名があるんですけど、「チョーク」っていうのは「首を絞める」っていう意味なんですよ(笑)。それほど渋みが強いので、生食はオススメできません。ですからジャムやジュースに加工して販売しています。
——どんな製品があるのか教えてください。
桐生さん:最初に手がけたのが、アロニアベリーと梅をミックスしたジャムなんです。アロニアベリーの渋みを緩和するために、梅と合わせたんですよね。それはそれで美味しいんですけど、アロニアベリー本来の味を生かした製品を作るべきなんじゃないかと思いはじめ、きび糖だけを使ったアロニアベリージャムを新たに作りました。

——ジャムやジュースは王道ですよね。加工するときにこだわっていることがあったら教えてください。
桐生さん:できるだけ自分達で責任を持って、加工を行うようにしています。その際には材料ひとつひとつを厳選して、無添加にこだわった製品づくりを心掛けているんです。
——あくまでも自然な製品づくりを心掛けているわけですね。ひとつ気になる製品があるんですけど、そうめんって……。
桐生さん:地元にエゴマ入りそうめんを作っているエゴマ農家さんがいるんですよ。その農家さんがうちのアロニアにも興味を持ってくれて、そうめんを作ってくださったんです。普通のそうめんとは違って紫色の麺なので、サラダ麺の華やかな彩りにぴったりなんですよ。

——そうした地元店とのコラボって、他にもあるんですか?
桐生さん:老舗菓子店で「アロニア羊羹」を作っていただいているのをはじめ、まちの駅で提供されているジェラートにも使っていただいています。少しでも地元に貢献できているように感じられて嬉しいですね。
——五泉への恩返しにもつながりはじめているんですね。
桐生さん:コロナ禍に、小学校で修学旅行代わりに地元をめぐる行事があって、うちにも小学生が見学に来たんです。そのときアロニアベリーに興味を持った子たちが給食の管理栄養士さんに相談して、アロニアソースのとんかつが給食メニューに実現しちゃったんですよ。
——給食にまで使われたんですか。
桐生さん:もっとすごいのは、この給食が全国の給食グランプリでファイナリストに選ばれたことなんです。それが五泉市内に広がってから、年に一度そのとんかつメニューが給食で食べられるようになりました。学校から認めていただけたことが、安心安全な食材を信用する証に感じられて嬉しいです。
——今後もアロニアベリーが五泉名物として広まっていくといいですね。
桐生さん:これからはオーガニック商品に力を入れている販売店で取り扱っていただいたり、飲食店のメニューや商品に使っていただいたりしていただけるよう、働きかけていきたいと思っています。

株式会社サンファーム泉
五泉市赤海1-14-56
0250-47-8808
9:00-17:00
水土日曜祝日休
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