映画やドラマに登場する50年代のアメリカは、カラフルな色彩に溢れています。そんな世界に憧れを持った人も多かったのではないでしょうか。今回紹介する杉山さんもそのひとり。長年憧れていた念願のダイナー「THE US BURGER(ザ・ユーエス・バーガー)」を、今年の8月に新潟市でオープンしたんです。自慢のハンバーガーをいただきながら、杉山さんのお話を聞いてきました。
THE US BURGER
杉山 智之 Tomoyuki Sugiyama
1967年佐渡市生まれ。東京のアパレル店で働いた後、新潟に戻り様々な仕事を経験。2022年8月に「THE US BURGER」をオープン。子どもの頃からアメリカへの憧れがあり、アメ車やハーレーが好き。
——オープンおめでとうございます。杉山さんが「THE US BURGER」をオープンしたいきさつを教えてください。
杉山さん:小学生のときに「HAPPY DAYS」というアメリカの青春ドラマを観て、50年代のアメリカに憧れを持ったのがきっかけです。ドラマのなかに登場するアイビーファッション、アメ車、ハーレー、ガレージがある家、靴を履いたままの生活、3シーターのソファ……すべてに憧れました。なかでもハンバーガーを提供するダイナーに特に憧れて、いつか自分で経営してみたいと思うようになりました。
——じゃあ、子どもの頃の夢を実現させたわけですね。
杉山さん:ずっと頭のどこかにぼんやりとあった夢なんですけどね。今まではアパレル業界、ベーカリー、ハンバーガーチェーン、ステーキハウス、パブ、カフェ、自動車業界と、いろいろなところで働いてきました。そのほとんどは、いつかダイナーをはじめるための勉強だったんです。ベーカリーではバンズに使うパンの知識がついたし、ステーキハウスでは肉の仕込み方を学ぶことができました。
——なるほど。そう考えると、満を持してのオープンだったんですね。
杉山さん:そうなんです。「THE US BURGER」をはじめる前は創作居酒屋をやっていたんですけど、そのときからデリバリーやイベント出店という形でハンバーガーをテスト的に販売していました。だからメニュー面での問題はまったくなかったんですが、店舗の内装工事が遅れてオープン前日まで準備していました(笑)
——あらら、ギリギリまでかかっちゃったんですね。
杉山さん:工期の遅れもあったし予算もなかったしで、できるところは自分たちでやりました。何とかオープンしたものの、インテリアはまだまだ未完成なんです。来店した知り合いからも「白一色のお洒落な雰囲気が杉山さんらしくない」と言われてしまいました(笑)。これから少しずつ自分のカラーが出していけるんじゃないかな。
——オープンしてみて、お客さんの反応はいかがですか?
杉山さん:アメリカやバイクが好きな若い世代のお客様を予想していたんですが、ご近所に住む年配のお客様やご家族連れのお客様が多かったのは意外でしたね。こういうスタイルのダイナーが、予想以上に受け入れられはじめているのかもしれないと思いました。
——じゃあ、オープンするまでは不安もあったんですね。
杉山さん:ファストフード店のハンバーガーだったら500円前後で食べられるのに、1,000円以上のハンバーガーが受け入れてもらえるのかは心配でした。
——確かに、そういう感じ方をする人も多そうですね。
杉山さん:ステーキハウスと同じクオリティのハンバーグを使っていますし、何ならステーキをミンチにしたものと言っても過言ではないんです。1,000円以上のハンバーグやステーキは当たり前に食べているのに、1,000円以上のハンバーガーは食べたくないというのはおかしい気がするんですよね。
——それだけクオリティには自信があるんですね。どんなハンバーガーなんでしょうか。
杉山さん:ひとことで言うと本場アメリカンテイストのハンバーガーです。そういう意味では、日本人に合わせた最近の流行には逆らったものかもしれないですね。素材の牛肉を味わってもらいたいので、つなぎは一切使わず塩コショウ以外の余計な味付けもしていません。パチンコ玉くらいある粗めのひき肉にして、あえて肉々しい食感を残すようにしているんです。
——なるほど。パティに対するこだわりが感じられますね。バンズにもこだわりはあるんでしょうか。
杉山さん:当店オリジナルのレシピで作ってもらっていて、柔らくて甘みのあるものになっています。握ったときにふにゃっと潰れやすいように、バンズの上は焼かないようにしているんです。これは僕の好みが大きいのかな。
——確かに食べやすいかも。ちなみに一番人気があるのは、どのハンバーガーなんですか?
杉山さん:「アボカドチーズバーガー」ですね。アボカドって使うのが難しい食材なんですよ。食べ頃がわかりにくいから、切ってみたらまだ早過ぎることもあるんです。でも時期的には今が食べ頃のシーズンなので、おすすめですね。
——オープンしたから半年経って、今後はどんなお店にしていきたいですか?
杉山さん:昼はお客様のご来店が多いんですけど、夜はまだまだ少ないんですよ。ディナーにハンバーガーを食べるという習慣があまりないのかもしれないですね。仕事帰りに立ち寄っていただいて、バドワイザーでも飲みながらハンバーガーを味わってほしいです。そのためにも、ビールに合うサイドメニューを考えているところですよ。
——ディナーにアルコールとハンバーガーっていうのもカッコいいですよね。ずっと気になっていたんですけど、お店の奥は何かの工事中なんでしょうか?
杉山さん:僕は以前から「THE UNION SHOP(ザ・ユニオン・ショップ)」というカーパーツやカーアクセサリーのショップをやっていたんです。それをこの機会に「THE US BURGER」の奥でオープンする予定なんですよ。ちなみに「THE US BURGER」の「US」は「ユナイテッドステイツ」の他に「UNION SHOP」の略でもあるんです。
——ハンバーガーにアメ車という子どもの頃に憧れていたものを、仕事にしているのは羨ましいです。
杉山さん:はじめることは誰でもできるけど、続けることが難しいんですよね。これからだと思っています。
THE US BURGER
新潟市中央区幸西2-3-7
090-8683-5072
11:30-22:00
火曜休