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パンに塗るあんこ「あんdeパン」を生み出した「あんフーズ新潟」。

どら焼きやお団子、あんみつ、おはぎ……日本人の甘味に欠かせないのが「あんこ」。でも「あんこ」を作る製餡所は和菓子業界の不振に影響を受け、売り上げが落ちてきているのが現状のようです。そんななか、新しいあんこの可能性を模索しているのが、新潟市江南区にある「株式会社あんフーズ新潟」です。今回は代表の岡田さんに、あんこを使った商品のこだわりについて聞いてきました。

 

 

株式会社あんフーズ新潟

岡田 茂憲 Shigenori Okada

1954年新潟市中央区生まれ。大学を卒業し東京の洗剤メーカーで2年働いた後、新潟に戻って家業の「岡田製餡所」を継ぐ。2008年に「株式会社あんフーズ新潟」を創業。趣味はマラソン。ただし数年前に体調を崩してからは控えている。

 

何の経験もなくあんこ職人になった、二代目の苦労。

——「株式会社あんフーズ新潟」はいつ創業されたんですか?

岡田さん:2008年に創業しました。その前は1953年から営業している本町の「岡田製餡所」という製餡所だったんです。

 

——岡田さんは二代目なんですね。

岡田さん:はい。でも若いときは、いつかは製餡所を継ぐんだろうなと思いながらも、大学で化学を勉強して東京の洗剤メーカーに勤めていました。

 

——新潟に帰ってきたきっかけは?

岡田さん:父が体調を崩したので、帰ってきて製餡所を継ぐことになったんです。でもあんこのことを何も知らずに入ったもんですから、とにかく失敗も多かったんですよね(笑)。卸し先の和菓子屋さんからクレームをいただくことも度々でした。

 

 

——あらら……。それは大変でしたね。

岡田さん:困っていたときに四国にある食品機器メーカーの社長から、あんこ作りを教わることになったんです。そのメーカーの先代社長とうちの父が懇意にしていただいておりまして、新潟に出張で来られたときはうちに泊まっていく程の仲だったんです。二代目の社長が泊まったときにあんこ作りの相談をしてみたら、「うちの釜を使ってこんなあんこを作られちゃ困る。もっと美味しく作れるはずだ」と言われてしまい、四国に行ってあんこ作りの研修を受けることになりました。

 

——ちゃんと教わる機会に恵まれてよかったですね。どんな研修だったんですか?

岡田さん:社長の弟さんとマンツーマンで、朝から晩まで指導を受けました。メーカーなので実際に製品を使った指導も受けましたね。1週間みっちり研修を受けましたが、新潟までの道のりも、そのメーカーが指導している製餡所を何軒か見学しながら帰るように言われました。

 

 

——けっこうハードな研修だったんですね。

岡田さん:でもあの研修があったから、今でもあんこ職人を続けていられると思っています。研修を受けてからは、取引先の和菓子店からのクレームが一切来なくなったんですよ。技術や知識だけではなく、意識も変わったんだと思っています。

 

——それはよかったですね。2008年に「株式会社あんフーズ新潟」を創業されたのは?

岡田さん:洋菓子に押されて和菓子が苦戦するなかで、あんこの売り上げも落ちてきたので、ここらで何か新しいことをはじめようと思って立ち上げました。

 

いろいろな商品として広がる、あんこの可能性。

——「新しいこと」っていうのは、どういうことなんでしょうか?

岡田さん:コロナ禍がはじまる前から冠婚葬祭が簡素化される傾向があって、引出物をつけないことが増えてきたんです。私どものお客様である和菓子屋さんも景気が悪くなってきて。それまでは水ようかんを製造して和菓子屋さんに卸していたんですけど、これからは「あんフーズ新潟」の商品として一般のお客様にも販売していくことにしたんです。

 

——なるほど。ちなみにそれはどんな水ようかんなんですか?

岡田さん:地元の農産物から出る「ハネモノ」と呼ばれる規格外品をペーストにして、あんこと混ぜて作る水ようかんなんです。「黒崎茶豆」「紅はるか」「いちじく」「ル・レクチェ」などの水ようかんがあって、それらをまとめたギフトセットも販売しています。

 

 

——「水ようかん」ってお中元の定番ですよね。他にもオリジナル商品を作っているんでしょうか?

岡田さん:「あんdeパン」という、パンに塗って食べるあんこがあります。「あんこジャム」と言っていますけどね(笑)。現在は「雪室あんこ」「いちごあん」「スイートポテトあん」の3種類があって、ギフトセットもご用意しています。

 

——パンに塗るあんこっていう発想がユニークですよね。

岡田さん:個人であんこを買いに来るお客様は、パンに塗って食べている方が多かったんですよ。おそらく名古屋のあんトースト文化の影響だと思うんですけどね。あとバイヤーさんの意見を聞いていると、最低でも半年間は日持ちする商品じゃなければ売るのが難しいということだったので、あんこを瓶詰めして販売することを考えたんです。

 

 

——なるほど、そういったところからの発想だったわけですね。

岡田さん:パンに塗るだけではなく、スイーツのトッピングにも気軽にお使いいただけます。おかげさまで販路も広がり、新潟空港内の「アカシア」様や「道の駅 新潟ふるさと村」様、「ぽんしゅ館」様、「ナチュレ片山」様、県外では「阪急百貨店」様でお取り扱いいただいております。

 

——県外でも販売されているんですね。今後も商品を増やしていく予定はあるんでしょうか?

岡田さん:現在作っている「あんdeパン」の「雪室あんこ」に続き、雪室で保存した抹茶やコーヒーを使った水ようかんを予定しています。

 

——雪室で保存することで、どのように品質が変わるんですか?

岡田さん:…………美味しいです(笑)

 

 

——ええ〜っ(笑)。ざっくり過ぎでは?

岡田さん:「雪室あんこ」に関しては、渋味やえぐ味が取れてまろやかな味わいになりましたね。

 

——食べやすかったり、飲みやすかったりするようになるってことですね。今後はどんな商品展開をしていきたいと思っていますか?

岡田さん:今までは自分たちだけで商品を作ろうと思っていたんですけど、それだと限界があることに気がついたんです。だから今後は他社とコラボすることで新しい商品を作っていきたいですね。最近では「峰村醸造」さんの味噌を使った味噌餡で「菓子匠」さんにどら焼きを作っていただいたりしています。

 

 

 

株式会社あんフーズ新潟

新潟市江南区曙町4-3-6

025-384-8330

9:00-16:00

不定休

※掲載から期間が空いた店舗は移転、閉店している場合があります。ご了承ください。
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