夜間も障がい者の働く場を。村上のカフェバー「ピクニックロースターズ」
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2022.09.17
村上市中心街の通り沿いにこのほど、「ピクニックロースターズ」というカフェバーがオープンしました。一見いたって普通のカジュアルなカフェバーのようですが、聞くところによるとこのお店、障がい者の就労支援として、障がいを持つ人たちが夜間も働くことができる全国的にも珍しい飲食店とのこと。お店を立ち上げた運営会社「ばーず」の鈴木さんと鳥山さんに、詳しくお話を伺ってきました。


CAFÉ & BAR ピクニックロースターズ
鈴木 敏明 Toshiaki Suzuki
1965年村上市生まれ。同店の運営会社「ばーず」代表取締役。同市内の総合建設業・山木組を社長として経営する傍ら、福祉分野への関心も高く、このほど高校時代の同級生4人で同店を立ち上げた。

CAFÉ & BAR ピクニックロースターズ
鳥山 潤子 Junko Toriyama
1965年村上市生まれ。「ばーず」取締役。同市内で放課後等デイサービスや就労支援など障がい者支援事業に取り組む合同会社リリックの副代表で、同店はリリックの就労継続支援B型事業所「オリーブの樹」利用者の就労先のひとつでもある。
バー営業で福祉を実現? 活躍の場は日中だけじゃない。
――オープンおめでとうございます。さっそくですが、お店の特徴を教えてください。
鈴木さん:ありがとうございます。こちらはハンドドリップのコーヒーやこだわりのお酒、手作りパンなどが楽しめるカフェバーです。と同時に、お隣にある就労継続支援B型事業所「オリーブの樹」の施設外就労先として、同施設を利用している障がいを持つ方にスタッフとして働いてもらっています。お店で出しているパンやコーヒーも同施設の利用者さんが手作り・選別したものを使用しています。とっても美味しいですよ。
――お店はバータイムの夜も営業していますが、障がいを持つ方々はその時間も働かれているんですか?
鈴木さん:そうですよ。というか、障がいを持つ方が日中だけでなく夜間も働ける選択肢を提供するのがこのお店の主眼のひとつなんです。確かに開業前に相談に行った行政の担当者にも怪訝な顔をされましたが(苦笑)、考えてみれば、健常な人は普通に夜も働いているのに、障がいを持っている人が夜に働いてはいけないなんて、おかしいじゃないですか。選択肢は多い方がいいですからね。
――確かに……言われてみれば無意識に「障がい者は日中に働くのが健全な姿」と思っていたかもしれません。
鳥山さん:むしろ障がいの特性によっては投薬の影響などがある場合も含め、日中よりも夜の方が働きやすい方もいますから。そういった方に就労の場を提供するのがこのお店の大きな役割のひとつなんです。現在はカフェタイムとバータイムにそれぞれ3名の方が働いてくれています。

本人の自己実現が、人材不足解消の地域貢献に。
――それでは、そもそものオープンまでの経緯を教えてください。
鈴木さん:私はこの地域で建設業を営んでいますが、地方における人手不足は本当に深刻で、長年の悩みの種の一つです。それを周囲に相談したりしていたところ、障がいのある方はむしろ「働きたくても働く機会がない」という話を聞いたんです。鳥山は高校時代の同級生なのですが、この分野で長年がんばっている彼女にも話を詳しく聞き、であればぜひ彼ら彼女らに働く機会を提供し、収入を得て自立し社会の一員として羽ばたいていく手助けができれば、また自社や自業界というよりも地域社会全体の人手不足解消に少しでも貢献できれば、と考え、問題意識を共有する高校時代の同級生4人でこのお店の運営会社を立ち上げたんです。
鳥山さん:私は発達特性や障がいのある小中高校生向けの放課後等デイサービス事業をやっていますが、せっかくそこで社会性を養った子どもたちが、高校を卒業した後に他の人たちと同じようにそれまで学んできたことを活かして活躍できる職場がなかなかないことにずっと問題意識を持っていました。それで隣にある「オリーブの樹」のような就労継続支援にも取り組んできていたんですが、他にももっと就労・活躍の場を作りたいと、鈴木たちといっしょにこのお店を開くことにしたんです。
――スタッフの方は具体的にどんな業務を?
鳥山さん:普通の飲食店と同様、接客やドリンク・料理づくり、配膳、食器洗い、店内の飾り付け、掃除、PCデータ入力、情報発信……などなど、本人の特性に応じて様々な業務を担ってもらいます。働くことで本人が社会経験を積むことはもとより、工賃(収入)の面でもやりがいや自立心を持ってもらえると思います。
――普通に働いている障がいを持つ方と接することで、お客さん側、地域の障がいに対する理解も深まるのでは。
鳥山さん:それも期待していることの一つです。一口に障がいと言ってもイチかゼロかでなく、人によって千差万別です。それぞれ弱さを抱えながら、自分の強みを見出して社会で働いていくのは、障がいを持っていようがいまいが誰しも同じだと思います。このお店を通じて、お互いの意識の中にある人を区別する境界みたいなものが融けていけばいいなぁなんて考えています。

肩肘張らないお店で、ゆくゆくは別分野にも羽ばたく人材を。
――まだオープンしたばかりですが、どんなお店を目指していますか。
鳥山さん:夜に女性ひとりでもフラリと立ち寄ってもらえるような、地域の方々に気軽に利用してもらえるお店になっていけばいいな、と思っています。それこそコーヒー1杯だけでも。コーヒーについては、店名に「ロースターズ」とある通り、ゆくゆくは自家焙煎もやっていくつもりです。
鈴木さん:社会の一員としてがんばる彼ら彼女らを応援してもらいたいのはもちろんですが、鳥山の言う通り、お客さんにはあまり福祉だ社会貢献だと肩肘張らずに寛いでもらえればと思いますし、そういったお店づくりをしていければ。ライターさんも今度、仕事じゃなくプライベートでぜひ飲みに来てくださいね(笑)
――あ、ぜひ。率直に申し上げると、価格的にもこういったお店に割とありがちな割高感がないですね。
鳥山さん:そう言っていただけると嬉しいです(笑)。飲食店として、まずはお客様に選んでいただかなければなりませんからね。パンもコーヒーも、美味しいだけではなくて、できるだけ体にも良いもの、オーガニックなものを採り入れています。福祉って根源的には「相手を思いやること、気遣うこと」ですから、そういった気持ちがメニューや接客を通してお客様に伝わるようなお店になればいいなと思います。
鈴木さん:将来的には、このお店で社会経験を積んだ方が、ほかの飲食店や、または全く別の業界で活躍する姿が見られるようになるといいなぁ、なんて気持ちもあります。私の経営者仲間でも人材を探しているところは本当に多いので、本人の意欲や強みと会社のニーズを上手くマッチングできれば、様々な分野で活躍できると思います。なんならうちのような建設業でもいいですし(笑)。それも含め、本人も会社も社会も幸せになるきっかけづくりができればと思っています。
――三方良しのお店にしていきたいということですね。本日はオープン直後のお忙しいところ、ありがとうございました!


ピクニックロースターズ
〒958-0842 村上市大町1-17
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