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お腹いっぱい、たらふく食べられる「お食事処 誠福亭」。

今年8月に村上地方を襲った豪雨災害は、土石流や川の氾濫で多くの被害をもたらしました。今回紹介する「お食事処 誠福亭(たらふくてい)」は被災地のすぐ近くで営業しています。お見舞いを兼ねて店長の時田さんを訪ね、いろいろなお話を聞いてきました。

 

 

お食事処 誠福亭

時田 力 Chikara Tokita

1962年村上市(旧荒川町)生まれ。地元の寿司店で丁稚奉公し、その後和食レストラン、回転寿司店で働く。29歳のときに独立しラーメン店をはじめる。その後、知人に誘われ2016年にオープンした「お食事処 誠福亭」の店長に就任。趣味はクロダイ狙いの磯釣り。

 

寿司店の丁稚奉公、そして独学で始めたラーメン店。

——8月の豪雨災害は大変でしたね。お店に被害はありませんでしたか?

時田さん:幸い被害はなかったんですよ。もう少し村上寄りの地域は大変な被害だったんですけどね。でも道路が通行止になってしまって店までたどり着けないから、2日間お休みをいただきました。

 

——お店が無事で何よりでしたね。

時田さん:私が修業させていただいたお店や、知り合いのお店は被害を受けているところが多くて、まだ復旧作業が続いているので、自分の店だけ営業できていることに心苦しさも感じるんです……。できるだけ早く復旧してほしいですね。

 

 

——本当にそうですよね。それではまずは、時田さんの経歴からうかがいます。最初はどんなところで修業をされてきたんですか?

時田さん:私の家は貧しかったので、幼い頃から「できるだけ早く働きたい」と思っていたんです。だから地元の寿司店で丁稚奉公をはじめました。住みこみの仕事だったので、布団を風呂敷で包んで担いでいったんですよ(笑)

 

——今どき珍しい修業スタイルだったんですね(笑)。仕事はいかがでしたか?

時田さん:最初は下働きや出前持ちからはじまりました。自転車で出前に向かう途中、学校に通っている同世代の子たちと会うと気まずかったですね(笑)。ただ、仕事は厳しく教わりましたけど、仕事が終わったら食事に連れて行ってもらったり、可愛がってもらいました。

 

——丁稚奉公ってことは期限が決まっていたんでしょうか?

時田さん:年季は5年間、礼奉公を合わせると8年間働きましたね。その後は和食レストランや回転寿司店で働いてから、独立してラーメン店をはじめたんです。

 

——え? いきなりラーメン店をはじめたんですか?

時田さん:当時働いていた回転寿司店がラーメン店も経営していたんです。そのお店を閉めることになったので、私が独立して続けさせてもらいました。

 

 

——なるほど。でも、ラーメンの作り方はどこで?

時田さん:独学なんですよ。もともとラーメンが好きでよく食べて回っていたので、いろなお店の味を参考に試行錯誤して作りました。完成するまでに何度も失敗を繰り返して、かなり時間がかかりましたね。ラーメン店は20年以上営業しましたけど、家庭の事情で閉めることになったんです。その後もいろいろな仕事をしましたけど、回転寿司店で一緒に働いていた人が起こした会社が「お食事処 誠福亭」をはじめることになって、それで声をかけていただいたんです。立ち上げから店長として参加させてもらうことになりました。

 

町外れの食堂にお客さんを呼ぶ努力。

——この建物はどういった施設なんでしょうか。

時田さん:「きのと観光物産館」といって、乙(きのと)地区を中心に胎内市の観光スポットを紹介したり、特産物を販売したりする施設なんです。「どっこん水の里」とも呼ばれていて、表に湧いている「どっこん水」には弘法大師にまつわる伝説が残されています。

 

 

——じゃあ、観光で訪れる遠方のお客さんが多いんじゃないですか?

時田さん:夏は市外のお客様が多いですね。特に週末は県外からもたくさんのお客様が来て、満席が続くことも多いんです。でも冬になると地元のお客様ばかりになりますね。それどころか、最初の頃は冬になるとお客様が来なくて売り上げが激減していたんです。

 

——それはどうして?

時田さん:ここは市街地から離れていて乙宝寺以外に何もない場所ですから、冬になるとここまで食事に来る人は少ないんですよ。そこで食事以外に宴会への対応もはじめてみたんです。その甲斐あって、冬の間もお客様が来るようになりました。

 

——他にもお客さんを呼ぶ工夫をしているんでしょうか。

時田さん:店名に「たらふく」という言葉がついているので、「ジャンボカツ丼」「おばかラーメン」といったメガ盛りメニューを用意しました。「おばかラーメン」は3玉〜4玉の麺が入っているんですよ。SNS用に写真を撮影した後でシェアして食べられるお客様が多いですね。

 

 

——シェアして食べられるなんて良心的ですね。

時田さん:最初はシェアして食べることをNGにしていたんですけど、全部食べられるお客様がいなかったので、シェアしていただけるようにしたんです。他にも「チャレンジメニュー」を用意して挑戦者をお待ちしています。

 

——「チャレンジメニュー」って?

時田さん:天ぷらとトンカツが乗った「ミックス丼」に3玉分のラーメンがついたセットメニューです。40分以内に完食していただくと、料金無料+商品券のサービスを贈呈します。もちろんチャレンジに失敗したら料金は頂戴いたします(笑)。今まで達成したお客様はひとりしかいないんですよ。

 

——いろいろと楽しめるメニューも用意しているんですね。

時田さん:人気があるのは「ラーメン半タレカツ丼セット」や「たらふく御膳」なんですけどね(笑)。「たらふく御膳」は地魚のお刺身や煮魚、ミックスフライ、茶碗蒸しがついたお得感のあるセットメニューです。14時まではご飯と味噌汁が無料でおかわりできますし、すべてのお食事にドリンクバーを無料でつけているんです。

 

 

——「誠福亭」という名に恥じない、お腹いっぱい食べられるお店という感じがしますね。他にもこだわっていることってあるんでしょうか?

時田さん:週末は混むことが多いので、お客様をできるだけお待たせしないように、一刻も早く料理をご提供するように心がけています。そのためにも段取りよく調理することが大切ですね。あとは衛生面、特に新型コロナ対策には気をつけています。

 

 

——新型コロナの影響はありましたか?

時田さん:宴会や観光のお客様が減りましたね。コロナ禍に物価高、豪雨被害と厳しい状況が続いていますけど、お客様から喜んでいただけるお店を目指して、ニーズに応えながら続けていきたいですね。

 

 

 

お食事処 誠福亭

胎内市乙1525 乙観光物産館内

0254-20-8917

11:00-20:30

火曜休

 

※掲載から期間が空いた店舗は移転、閉店している場合があります。ご了承ください。
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