新潟で活動するミュージシャンを紹介する[Things Music]。今回は、女の子二人組のバンド「periwinkles(ペリーウィンクルス)」の登場です。彼女たちは“キラキラローファイポップデュオ”という、おじさんには聞き馴染みのないスタイルのバンドですが、懐かしく歪んだ音を奏でるせいもあって、音楽は逆におじさん心をくすぐってくれます。どんなふうに音づくりをしているのか知りたくて、rihoさんとikumiさんに会いに行ってきました!
periwinkles
riho
胎内市生まれ。ギター歴8年。大学を卒業してから、働きながら音楽活動を続けるギター&ボーカル。好きなアーティストはArctic Monkeys。水族館や動物園に行くのが好き。
periwinkles
ikumi
関川村生まれ。現在、国際トータルファッション専門学校在学中。卒業後は加茂市にあるニット会社でパタンナーとして働く予定。ドラム担当だけどギターも弾ける。レコードを聴く時間が好き。
――まずは、「periwinkles」の結成当時の話を聞かせてください。どっちから声をかけたんですか?
Ikumiさん:高校生のとき、古町にある「WOODY(ウッディー)」というライブハウスによく行っていたんです。そこで、たまたまrihoさんがライブをしていて、共通の知り合いに紹介してもらったのが出会いです。
Rihoさん:そのとき私は県外から5年ぶりに新潟に戻ったばかりで、ソロ活動をしていたんです。でも「バンドをしたい」という思いはあったから、ikumiを紹介してもらったときに「一緒にやらない?」ってすぐ声をかけてみたんです。
――じゃあ、rihoさんから誘って「periwinkles」は結成したんですね。
Rihoさん:それが「あ、えっ……いや~……」って、やんわりと断られたんですよ(笑)
Ikumiさん:そうらしいです。そんなつもりはなかったんですけどね。記憶にないんですよ(笑)。でもTwitterは交換して、ちょこちょことやり取りがはじまりましたね。
――ん~何ともいえない距離感だったんですね(笑)
Rihoさん:そうなんです。だから私たちは、友達でも、知り合いでも、何でもないような、そういう関係から結成した、ちょっと珍しいバンドなんですよね。
――その出会いから結成に至る、明確な理由っていうか、きっかけって何だったんですか?
Ikumiさん:私がバイトをしていた居酒屋で定期的に音楽イベントをしていたんです。そのイベントを私が任されたときがあって、rihoさんに出演して欲しいと頼んだんです。そのとき初めて一緒に飲みに行ってみたら、好きな音楽の系統が同じで、スタジオに入ってみたらフィーリングもピッタリで。それで「じゃ、やってみようか」となりました。
――一気に距離がなくなった感じですね(笑)。結成してどのくらいですか?
Ikumiさん:2018年の3月に結成したから、来年で2年になります。まだまだ結成したてなんですよ。
――好きな音楽の系統が同じだと、バンドの方向性を決めるのもスムーズでした?
Rihoさん:「こういう音楽がしたい」「いやいや、もっとこうでしょ?」みたいな話し合いはなかったですね。ふたりともビートルズとかKISS、Queenとか、昔の洋楽が好きだったから、リバイバルじゃないけど、同じ音楽観で進んでいけました。
Ikumiさん:古めかしい音楽が根底にあるせいか、「periwinkles」の音楽はおじさん達にウケがいいんですよね。
――おじさんウケ(笑)。ちなみに「どんなバンドですか?」って聞かれたら、どう答えます?
Rihoさん:キラキラフォーファイポップデュオです!
――えっと……おじさんでもわかるように具体的に(笑)
Ikumiさん:すべて英語の歌詞ってこともあって、洋楽っぽさが全体的にあります。あとは、どこか懐かしいサウンドで、駆け出し感やローファイ感も。昔のバンドブーム時代の音に近いけど、ガールズバンドだから女性に向けた歌詞で、けっこう中性的な要素もありますね。
――へ〜、英語の歌詞なんですね。それはあえてですか?
Rihoさん:はい。日本語で伝えればいいかもしれないけれど、「男には負けない」「ふたりでもできるんだ」といった強さをガールズバンドとして出したいから、あえてスラングの汚いワードを使っています。
――そのスタイルも、昔の洋楽バンドを彷彿とさせてくれますね。「periwinkles」らしさが一番伝わる曲は何ですか?
Ikumiさん:それなら「screw driver」という曲ですね。
――それってカクテルの?
Ikumiさん:そう、オレンジとウォッカを合わせたカクテルのことです。スタジオで練習していたときにパッと完成した曲で、切ない恋愛を歌いながら強いサウンドを組み合わせた「periwinkles」らしい一曲だと思います。
Rihoさん:オレンジとウォッカを混ぜると、とても飲みやすくなって酔わせる危険なお酒になるように、恋愛の純粋さと歪んだ強いサウンドが合わさって、お酒に酔っているような、人にも酔っているような、そんな曲が誕生しました。
――なるほど。おじさんウケがいい理由がちょっとわかった気がします。では最後に、これから「periwinkles」はどんな道を歩んでいきたいですか?
Ikumiさん:「periwinkles」は、ふたりしかいないから、たくさんの人達に助けてもらいながらここまで来ました。来年は長野で開催される「りんご音楽祭」の出演が決まったり、リリースの動きもあったり、いろんなことが進んでいるんですけど、自分たちの後ろには助けてくれる人がたくさんいると感じながら、自分たちのまま、楽しく音楽をやっていければと思っています。
「periwinkles」から放たれた「おじさんウケ」というワード。NIRVANAの時代のグランジ好きな自分にとっては、ふたりが奏でるサウンドがスッと耳に馴染みます。とはいえ、やはりガールズバンドというだけあって、女性らしい柔らかさを感じながら心地良く聴くこともできます。とても気に入って……ん? つまり気に入ったということは……頭に浮かぶ「おじさんウケ」の5文字。「おじさん」の分岐点って、どこなんだろう?
periwinkles