アメリカを舞台にした映画で目にする機会の多い、ダイナー。アメリカでは古くから多くの人たちに愛されてきたスタイルのお店です。そんなダイナーが三条市にあることをご存知でしょうか。その名も「TOYS DINER(トイズダイナー)」。お店の前にはPOPなネオンサインが灯り、店内はアメリカンレトロな雰囲気でまとめられています。今回はオーナーのツボヤさんに、いろいろとお話を聞いてきました。
TOYS DINER
ツボヤ ユウキ Yuki Tsuboya
1987年加茂市生まれ。調理師専門学校を卒業後、イタリアンレストランやパン屋で修行を積み、洋食店の料理長を3年間務めてから、2019年に「TOYS DINER」をオープン。B級映画が好きで、おすすめは「アメリカン・パイ」シリーズとのこと。
——映画の中のワンシーンみたいで、テンションの上がるお店ですね!
ツボヤさん:ありがとうございます。僕の大好きな、アメリカB級映画に出てくるようなダイナーをイメージした店なんですよ。
——どうして、ダイナースタイルの店をやろうと思ったんでしょうか?
ツボヤさん:三条市にはないスタイルのお店だったし、どうせやるなら自分のやりたい店、人とは違った店をやろうと思ったんです。僕は外食もエンターテイメントのひとつだと考えているんですよ。美味しい料理やお酒を味わうことはもちろんだけど、非日常的な空間も楽しんでほしいと思っているんです。
——「MARVEL」のキャラクターをはじめ、いろいろな映画やアメコミのフィギュアが並んでいますね。
ツボヤさん:これは全部僕のコレクションです。もともと収集癖があるんですよね(笑)。最初は馬鹿にしていた「アイアンマン」の映画を観てハマってしまって、フィギュアを集め出したのがきっかけなんです。
——オープンしてから1年半くらい経ちますよね。手応えはいかがですか?
ツボヤさん:うーん…。「TOYS DINER」ではしっかりと料理した本格的なハンバーガーを提供しているんですけど、ファストフードのハンバーガーと同じ感覚で来られるお客様も多くて、戸惑われてしまうこともありますね。メニューを見て想像していた価格との違いに驚いて、そのまま帰ってしまうお客様もいました。だから、もっと店の認知度を上げていかなければと思っているんです。ちなみにランチタイムはハンバーガーメインですが、ディナータイムは肉料理とお酒をメインにしているんです。
——たしかに、しっかりした値段のハンバーガーですね。どんなハンバーガーなんですか?
ツボヤさん:パティには2種類の牛肉をブレンドしています。ひとつは「クロッド」という腕肉。運動量が多い腕肉なのでうま味が強いんです。もうひとつは短角牛のステーキ用肉で、筋肉質な牛なので食感が強いんです。このふたつを、クロッド7、短角牛3の割合で使って、うま味と食感をバランスよく配合しています。これは私が今まで経験してきた、洋食のノウハウを生かした使い方なんです。
——ハンバーガーのパティってあんまりいい肉を使っていないみたいな偏見がありましたけど、かなりいい肉をこだわって使っているんですね。
ツボヤさん:お客様には美味しいハンバーガーを食べて、満足してもらいたいんですよね。バンズにもこだわっています。ハンバーガーのバンズってふかふかした食感が多いんですけど、うちのはカリッとした食感なんです。小麦の香りや食感を楽しんでもらえるようなバンズを、パン屋時代の先輩に特注で作ってもらっているんです。
——なるほど。ハンバーガーはハンバーガーでも、ファストフードとしてではなく、しっかり素材にもこだわった「料理」として作っているんですね。
ツボヤさん:そうなんですよ。だからファストフードのハンバーガーとは、当然値段が変わってきちゃうんです。でもボリュームも味も、値段以上に満足していただけるハンバーガーだと自信を持っています。
——メニューを見ているとハンバーガー以外のメニューも色々あるんですね。
ツボヤさん:かたまり肉を使った料理も売りなんです。美味しい肉をシンプルにたくさん食べていただきたいので、できるだけリーズナブルに提供させていただいています。できるだけ素材の味を楽しめるように、シンプルな味付けを心がけています。お客様には豪快に召し上がっていただきたいですね。
——おすすめはどんな肉料理なんですか?
ツボヤさん:骨つき肉のメニューが充実しています。肉はやっぱり骨のまわりが美味しいんですよ。ワイルドに召し上がっていただきたいので、そういう肉料理をバーベキュースタイルで提供しています。うちの肉料理は他の店と比べるとめちゃめちゃ安いと思うんですよね……。
——ツボヤさんはハンバーガーの作り方をどこで覚えたんですか?
ツボヤさん:実はハンバーガーの作り方を教わったことはないんです。
——えっ……それじゃあ独学なんですか?
ツボヤさん:はい。今までハンバーガーショップで働いたことはないんですけど、そのかわりイタリアンレストランやパン屋では働いてきたんです。
——じゃあ、そのときの経験が生かされているんでしょうか?
ツボヤさん:そうですね。高校生の頃から料理人のかっこいい姿に憧れるようになって、調理師専門学校で料理を勉強したんです。卒業後は小さなイタリアンレストランに勤めて接客や調理、デザートやパン作りまでやっていました。肉料理の知識もそのときについたんですよ。
——なるほど!。それじゃあ、パンについての知識もパン屋さんで身につけたんですね。
ツボヤさん:はい。パンの作り方を勉強できたおかげで、そのときの知識をバンズに応用することができています。パティにはイタリアンレストラン、バンズにはパン屋の知識が生かされています。
——これからやってみたいと思うことはありますか?
ツボヤさん:ソーセージのような食肉加工品の販売をやっていきたいと思っています。まずは新発田市にある産直市場「やお家」さんで売らせていただいて、少しずつ販路を広げていきたいと思っています。イベントにも出店して「TOYS DINER」の知名度アップも狙っていきたいですね。
お店の雰囲気にも、ハンバーガーのボリュームにも、とにかくびっくりさせられる取材でした。ハンバーガーはどうやって食べたらいいのかわからないくらいの迫力! 日本ではちょっと珍しいアメリカンレトロな雰囲気のダイナーで、皆さんも本格的なハンバーガーやワイルドな肉料理を味わいながら、映画のワンシーンのような非日常の雰囲気を楽しんでみてはいかがでしょうか。
TOYS DINER
新潟県三条市興野2-2-58 リトルタウン内
050-1102-8985
11:30-14:00/17:30-22:00(金土曜は23:00まで、日曜は昼営業のみ)
月曜休