選りすぐりの素材を手頃な値段で味わえる「和らぎ亭 しまや」。
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2023.09.03
新潟駅南口から徒歩10分のところにある「和らぎ亭 しまや」。繁華街から離れているにも関わらず、満席になる日が多いのだそう。取材に伺った日は100食以上のお弁当を仕込んでいる最中で、厨房も店内もフル稼働。お客さんの話し声と従業員の方同士の息の合った仕事ぶりで賑わっていました。今回は代表の島倉さんに、独立するまでのエピソードや料理人としての心得など、いろいろとお話を聞いてきました。

和らぎ亭 しまや
島倉 大亮 Daisuke Shimakura
1978年新潟市生まれ。高校生の頃に飲食店のアルバイトを経験。20歳から10年間、新潟市内の割烹料理店で修業をする。2009年「和らぎ亭 しまや 駅南本店」を、2014年には2号店となる「和らぎ亭 しまや別邸 東大通店」をオープン。
15歳からはじめたアルバイトが、将来を決めるきっかけに。
——島倉さんが独立されるまでのことからお聞きしますね。料理人を目指したのはどうして?
島倉さん:高校生の頃に中華料理店でアルバイトをし、卒業後は通っていた大学を辞めてフリーターをするなど2年間プラプラしていました。でも20歳になるまでに「自分が何をするのか」を決めておきたくて。それで同世代より長く飲食店で働いている経験があるんだから、板前を目指そうと思いました。当時はまだ景気が良くて未経験者を雇ってくれるところは限られていたんですけど、市内の割烹料理店に勤めることができて、結局、10年間そこで働きました。
——未経験から10年間もお勤めになられたと。
島倉さん:最終的には料理長を任されました。下積み5年間、料理長5年間でした。

——安直な質問ですが、やっぱり現場は厳しかったですか?
島倉さん:厳しさはありましたけど、テレビを見ても「板前はシビアな世界」って分かっていましたし、それが当たり前だと思っていました。大変だけど、毎日毎日「こんなこともできるようになった」っていう面白さがすごくありました。何もできない人間がだし巻き卵を覚える、唐揚げを覚えるって、すごく手応えを感じられることなんですよ。
——日々「できる喜び」が職場にあったわけですね。
島倉さん:でも1度だけ辞めようとしたことがありましたね。疲れていて2日連続で遅刻をしてしまって。2日目に「これでは俺はダメだ。辞めるしかない」と辞職を申し出たんです。結局引き止められて、職場に戻りましたけども。
——「遅刻して叱られた」じゃなくて「遅刻した責任を取って仕事を辞めよう」なんて、島倉さん、ご自分に厳しいんですね。
島倉さん:そう思ったことはないです(笑)。これが当たり前。そうじゃないとこの仕事はできないと思いますよ。

目指したのは「毎日満席の店」。高級食材がリーズナブルに味わえると評判に。
——お勤めだった頃から独立を目指していたんですか?
島倉さん:当時の板前はそれなりの月給がもらえたんです。お給料だけで満足していたんですけど、若い頃にお世話になった親方たちは気前が良くてね。飲みに行ってドンとお金を使う、そんな姿に憧れて「自分も経営者になろう」と独立を目指しました。
——「しまや」さんがオープンしたのは2009年でしたね。
島倉さん:「毎日満席になるお店にしたい」と意気込んでいたのに、オープン当初は電話すら鳴りませんでした。駅周辺の飲食街からちょっと離れた場所にあるし、はじめから賑わうとは思っていませんでしたけど「こんなに誰も来ないなんておかしい」って、ただただ悔しかったですね。当時は広告をまったく出していなくて。広告の反響は自分の力じゃないから、それに頼るんだったら店を閉めた方がマシだと思っていたから。
——そのときはどんなテコ入れをしたんですか?
島倉さん:特に何もしません。ただ真面目にやるだけ。オープンから半年で「『しまや』はもう潰れるかも」と思いましたけど、半年過ぎてから良い兆しが見えてきました。コロナ禍は例外ですが、毎年来店数も売り上げも伸びています。当初掲げた「毎日満席の店」という目標は達成できたと思っているので、そろそろ次のステップを考え中です。

——順調にファンを増やしていかれたんですね。どんなところが人気の理由だとお考えですか?
島倉さん:味と値段が魅力なんじゃないでしょうか。今どきの言い方をすると「コスパが良い」。オープン当初からずっと、繁華街のお店よりも圧倒的に良いものをリーズナブルにお出ししているつもりです。
——看板メニューはなんでしょう?
島倉さん:皆さん喜ばれるのは親子丼です。細かいところまではお伝えできませんが、ハイグレードの卵と鶏肉を使っているし、醤油や砂糖などの調味料も厳選しています。
——新潟の素材も多く使われているそうですね。
島倉さん:新潟に限らず全国の美味しいものを独自のルートで仕入れています。これまで何度かテレビの全国放送に出演したことがあって、それで知名度が上がったのか「越後本ズワイガニを食べるなら『しまや』がいい」と県外から来られる方もいらっしゃいます。

本当の意味で「最強の店」とは。
——ところで今、仕込まれているお弁当のあまりの多さにびっくりしています。平日でもこれだけの数の注文があるんですね。
島倉さん:明日のご注文は114個でしたかね。お客さまから「取引先に弁当を持参しないといけないから『しまや』で作れない?」と言われたのがきっかけで、オープンした年からお弁当をはじめました。最初は月に30個くらいだったのが、今は多い月だと2,000個ほどご注文が入ります。
——そんなに盛況とはすごい。島倉さんの向上心が評判を呼ぶんでしょうね。
島倉さん:いや〜、面倒臭がりなので向上心はないです(笑)。僕にあるのはハングリー精神じゃないかな。お客さまが来なくて「悔しい、悔しい」って寝る前にブツブツ言うような反骨精神っていうか。自分で作った壁を越えるには、悔しい思いをしなくちゃいけないのかもしれませんね。

——先ほど、「毎日満席」の目標も叶えたし「次のステップを考え中」とのことでしたね。その計画をちょっとだけでも教えてもらえませんか?
島倉さん:「しまや 駅南本店」と「しまや別邸 東大通店」を頼れる弟子たちに任せて、「原価100%のお店」を出そうと考え中です。もう完全に趣味の店ですね(笑)
——その根底にはどんな思いがあるんでしょう? 新潟の味を伝えたいとか、味にこだわりたいとか?
島倉さん:商売を成り立たせるには、収益を出す必要がありますよね。今ももちろん美味しいお料理をお出しているんだけど「最強」じゃないっていうか。店が損をしないと「最強」にはならないと思うんです。本当の意味で「最強」の店を出したい。とんでもない店を作って、「『しまや』で修業しました」というだけでそこが盛況になるくらい全国的に有名なお店にしたいですね。

和らぎ亭 しまや 駅南本店
新潟市中央区南笹口1-567-22
025-288-6761
和らぎ亭 しまや別邸 東大通店
新潟市中央区東大通2-11-12
025-278-7786
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