Things

イタリアンレストランがはじめた和食料理店「魚と地酒とワイン りべら」。

イタリアのトスカーナ州で修行した古関さんが営むイタリアンレストラン「LA CUCINA LIBERA(ラ クチーナ リベラ)」の姉妹店がオープンしたとの噂を聞きつけ、さっそく取材に行ってきました。イタリアンレストランの姉妹店だから、きっと同じイタリアンかちょっと路線を変えて洋食かと思いきや、なんと古町に和食料理店を開いていたから驚きです。今回は「魚と地酒とワイン りべら」のオーナー・古関さんに、イタリアンとは真逆の和食の道を選んだ理由を聞いてきました。

 

魚と地酒とワイン りべら

古関 悠 Yu Koseki

1986年佐渡市生まれ。高校卒業後は埼玉の大学へと進学し、野球に燃えていた。新潟市内のラジオ局に就職し、とあるキッカケで料理の道へ。「LA CUCINA LIBERA」「魚と地酒とワイン りべら」のオーナーとして日々奮闘。

 

ワインを扱ってきたからこそ、日本酒の素晴らしさも伝えたい。

――「魚と地酒とワイン りべら」のオープン、おめでとうございます。イタリアンレストランの次が和食料理店と知って驚きました(笑)

古関さん:ですよね、友人からも「え? 次は和食なの?」って驚かれました(笑)

 

――どうして和食料理店にチャレンジしようと思ったんですか?

古関さん:雑誌やTV番組で「イタリア料理×日本酒」みたいな、新潟らしい企画がたまにあって、シェフとして依頼をちょこちょこもらっていました。そうなると、新潟県内のいろんな日本酒を飲む機会があって、改めて酒蔵の多さや日本酒の美味しさに気づかされたんです。

 

 

――新潟らしい辛口でキレのいい「越淡麗」だけじゃなくて、フルーティーで甘口、酸も感じられる日本酒が増えてきているから、いろんな可能性も感じられたのでは?

古関さん:そうですね。若者でも飲みやすい味わいに加えて、低アルコールの日本酒も増えてきて、今までよりも気軽に楽しんでもらえると感じました。でもそのことを知らない人たちも意外と多いとも感じたんですよね。だから新潟の飲食店として、何か日本酒を楽しむ機会を作れないかと思って「魚と地酒とワイン りべら」を開きました。

 

――そういう経緯だったんですね。ワイングラスで日本酒を楽しむ文化も広まっているから、イタリア料理に通ずる部分もあるんでしょうね。

古関さん:ワインみたいに酸のバランスを考えていたり、瓶内発酵による微発泡が楽しめたり、最近の日本酒はワインに近い存在になっていると、イタリアンシェフの立場からしても感じています。

 

和食と日本酒。時々ワインでマリアージュ。

――それでは「魚と地酒とワイン りべら」についても教えてください。店名にあるように、魚と地酒とワインがウリですか?

古関さん:店名にはそう書かれているけれど、新潟の「美味しい」を堪能してもらえる、というのがウリですね。

 

――新潟の「美味しい」?

古関さん:はい。「魚と地酒とワイン りべら」では、新潟港の漁師さんから直接仕入れる鮮魚を中心とした和食を提供しながら、その料理に合わせた県内酒蔵の日本酒を揃えています。さらに「胎内高原ワイナリー」や西蒲区にあるワイナリー「フェルミエ」などの県内ワインも楽しんでもらえるようにメニューを構成しているんです。だから新潟の「美味しい」を存分に堪能できる和食料理店なんです。

 

 

――おー。まさに新潟の「美味しい」を堪能できますね。ちなみに、日本酒はどんなラインナップなんですか?

古関さん:「朝日酒造」とか、昔ながらの新潟らしい日本酒を造っている酒蔵から、「阿部酒造」や「笹祝酒造」など若手杜氏が頑張っている酒蔵まで、常時10種類をラインナップしています。

 

――どんな基準で選んでいるんですか?

古関さん:正直、何十年もやられている和食料理人の方々に比べたら、利き酒なんてペーペーです。でも、ワインで培ってきた経験を生かして、自分の舌で食事との組み合わせを選んでいます。

 

新潟のことを振り返り、これから伝えていきたいこと。

――「魚と地酒とワイン りべら」では、日本酒とワインを提供していますよね。どちらも和食に合うように作るのって難しくないですか?

古関さん:日本酒の味わいがワインに近づいてきていることもあって、ちょっとしたひと工夫を料理に施すと両方とも引き立てることができるんですよ。

 

――例えばどんなひと工夫を? ……って、企業秘密よね(笑)

古関さん:いえいえ(笑)。ポイントは「酸」なんです。揚げ物にポン酢をちょっと加えたり、焼き魚に添える大根おろしに柑橘類を入れたりして、食べものの酸とお酒の酸を組み合わせています。コース料理はもっとお酒との相性を考えながら作っていて、生物、揚げ物、焼き物、蒸し物をバランス良く構成しました。

 

 

――なるほど。じゃあコース料理をお願いするのが「魚と地酒とワイン りべら」を満喫する近道ですね。

古関さん:ですね。基本に忠実に作ったシンプルな料理と、新潟で造られた日本酒とワインを一緒に楽しんでもらえたら、きっと新潟の「美味しい」に対しての新しい価値観をお土産に持って帰ってもらえると思います。

 

――なんて素敵なお土産なんでしょうか。それでは最後に、お店を通してこれから伝えていきたいことを教えてください。

古関さん:「LA CUCINA LIBERA」を立ち上げる前に、トスカーナでイタリア料理の修行を積みました。そのときに、海外で生活をした人たちがよく口にする「海外に出たからこそ、日本の素晴らしさを再確認した」という言葉の意味がなんとなく分かった気がしたんです。月日が経って現在のコロナ禍で、飲食店にはたくさんの時間ができました。改めて日本のこと、新潟のことを振り返る機会ができて、その素晴らしさを再認識すると共に、イタリアで感じたことにも「あー、こういうことか」と思えたんです。

 

――ふむふむ。

古関さん:料理とお酒を通して、改めて新潟の素晴らしさを振り返ってもらう機会、知るきっかけを提供していけたら、料理人冥利に尽きますね。魚と地酒とワイン、ぜひご堪能ださい。

 

 

 

魚と地酒とワイン りべら

新潟県新潟市中央区古町通9番町1475-4

025-201-9111

※掲載から期間が空いた店舗は移転、閉店している場合があります。ご了承ください。
  • 部屋と人
  • She
  • 僕らの工場
  • 僕らのソウルフード
  • Things×セキスイハイム 住宅のプロが教える、ゼロからはじめる家づくり。


TOP