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山あり谷ありの経営。アパレルショップ「Up Set」で聞いた人情話。

現在24歳。若手ショップオーナーのこれまでの振り返り。

長岡市にあるストリートアパレルショップ「Up Set(アップセット)」。オーナーの石口さんがやる気と自信に満ちてこのお店をスタートしたのは、まだ未成年のときでした。しかし石口さんを待っていたのは、若さゆえの苦労とつらい現実。でもある人との出会いが、彼を辛い現実から立ち直らせるのです。今回はそんな、若いショップオーナーの物語。

 

Up Set

石口 大貴 Daiki Ishiguchi

1995年長岡市生まれ。長岡商業高校を卒業後、スーパースポーツゼビオでショップ店員として勤務。2016年、19歳のときにバスケットボール用品とストリートファッションの専門店「Up Set」をスタート。2017年に移転しストリートアパレルショップに移行。中学時代から続けているバスケのポジションはシューティングガード。

 

両親からの助言があったから。19歳の若さではじめたMy Shop。

――今日はよろしくお願いします。さっそくですが、どうしてアパレルショップをやろうと思われたんですか?

石口さん:「Up Set」のスタートは、アパレルよりもバスケット用品の販売が主体だったんですよ。というのも小学生のときからスポーツショップの店員に憧れていて。高校2年生の課外授業で「スーパースポーツゼビオ」を訪れたときに、「スポーツショップの店員ってカッコイイ」「この仕事がしたい」と思うようになって、実際に店員として働いてみて、自分でもやってみたいという気持ちが生まれたんですよね。だからスタートはアパレルというより、スポーツ寄りだったんです。

 

――今みたいにストリートアパレルがメインのショップではなかったんですね。バスケット用品を取り扱っていたというのは、バスケットをしていたからですか?

石口さん:そうですね。小学生のときは警察官だった父の影響で剣道をしていたんですけど、中学生からはバスケットにのめり込みました。ポジションはシューティングガードで、今も定期的にプレーしています。

 

 

――ちなみに、「Up Set」をオープンしたのはいつ頃ですか? 石口さんって、まだお若いですよね。

石口さん:オープンしたのは4年前の2016年です。「スーパースポーツゼビオ」を辞めたときに、両親から「好きなことにチャレンジしてみろ」と助言をもらったんです。それで若者の企業支援を受けながら準備をして、実際に起業したのは、19歳のときでした。

 

――まだ未成年じゃないですか(笑)。

石口さん:そうなんですよ。だから、経営のことなんて無知も無知。利益率とか契約とかよく知らないままでした。「6掛けって何?」「月末締め、翌末払いってどういうこと?」という感じで……、業界の常識すら知らなくてたくさんの人に迷惑をかけながらの出発でしたね。

 

ある人との出会い。「苦しいか?」と一言。

――右も左も分からないままで、よく営業できていましたね。

石口さん:スポーツショップ時代に、自分の起案で高校生に人気のブランドを導入したことがあって、それが大成功したんです。この経験があったから、「え? 稼ぐのって簡単じゃん」と。クソガキみたいな考えを持ってしまいました。「お客さんが求めている100%を提供すれば成功する」という難問を、ビギナーズラックでクリアしてしまったんですね。でも、現実はそう甘くはありませんでしたね。

 

――経営方法がわからないでスタートをしたから、いろいろと苦労は多かったのでは。

石口さん:はい。そもそも小売りをする場合の家賃相場すら知らないで、良いと思った物件を勢いで契約したら、家賃がめちゃくちゃ高くて……正直、死にそうでしたね。でも、ある人との出会いによって、光が見えてきたし、しっかりしようと思うことができたんです。

 

 

――ある人との出会い?

石口さん:あるとき、見知らぬおじさんがふらっと来店したんです。そして、その半年後にまた。そしたらその人、「苦しいか?」って聞くんですよ。僕も正直だから「資金が底を尽きたし、辞めようと思っている」と話したら、ポンと紙を出してきたんです。その紙は契約書で、名前と住所を書けって。怖くなって何者か尋ねても、「MISHKA(ミシカ)をやっている」と言うだけで素性は明かしてくれないままで。そしたら2日後に大きな段ボールがたくさん届いたんです(笑)

 

――え? え?? 何者なんですか? 新手の詐欺ですか??

石口さん:それが後から知ったんですけど、FILA(フィラ)やMISHKA(ミシカ)、ALIVE(アライブ)などを展開している会社の社長さんだったんです。若者がやっている店を見つけたから、たまたま覗いてみたら、買い物をしそうにない自分にもしっかりと「こんにちは」と声を掛けてくれて、また通りがかったときに寄ってみようと思っていたそうなんですよ。……挨拶って大事なんですね。

 

心機一転、移転オープン。また「死にそう」からの今。

――この出会いがあったからこそ、今の「Up Set」があるということなんですね。

石口さん:そうです。で、いろいろと手助けをしてもらって、どうにか一周年を迎えました。それで、そのとき店を今の場所に移転したんです。スポーツショップから、ストリートアパレルショップ「Up Set」として。心機一転、再スタートをするつもりで。ラインナップもしっかり揃えて、お客さんを待っていたんですが……なんと、移転したらお客さんが来ないんです。アパレルの仕入れの支払いもあるし、家賃もあるし、結果、経営も自分もパンクしてしまいました。

 

 

――経営って難しいですね。それでどうしたんですか?

石口さん:お店の電話線を抜いて、携帯電話の電源を切って、自宅に2週間引き籠りました。でも、ふと我に返って携帯電話の電源を入れたんです。そしたら1,000件ぐらいの着信がブワーって入っていて。そのなかに1件だけショートメールがあったんです。その送り主は例の社長さんで。「心配です」と一言だけ。申し訳なくなって電話をしたら「困ったら電話しろ。何か解決できることがあるかもしれないだろ」と怒られました。それだけ心配してくれたんだと思い、それからは本当に心を入れ替えて営業に打ち込んで、何かあったらしっかりと相談するようになりました。

 

――まるで息子と親父みたいな関係なんですね。社長さんがいたからこそ、石口さんもお店も立ち直ったと。よい出会いをしましたね。

石口さん:今でこそ、いろいろなブランドと交渉をして展開ができているけど、社長さんとの出会いがなかったら「Up Set」はここまでやってこれなかったと思います。それに、自分が描いた夢を自分の甘い考えで壊して後悔を味わって、それでも続けてこれたのは、社長さんだけではなく、地元長岡のお客さんがいてくれたからなんだと4周年を迎えた今、身に染みて感じています。

 

 

インタビューの最後にこれからチャレンジしてみたいことを聞くと、「ずっと続けてきたバスケットを自分の中から消してしまった。そして移転のとき、バスケットを求めてくれていた人たちを裏切ってしまった。だからこれからは、何かバスケットに関われることがしたい。今はそれを計画中です」と語ってくれた石口さん。原点回帰。楽しみですね。

 

 

 

 

Up Set

新潟県長岡市本町2-4-5

0258-94-5166

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