苔や石、雑木を使って
自然の美しさを表現する「渡部造園」

その他

2026.04.09

text by Kazuaki Yamazaki

暖かい日も増え、草木の緑が目につくようになってきました。そろそろ庭や花壇で園芸を楽しみはじめたいという方も多いのではないでしょうか。今回は苔を使った庭づくりを得意とし、かつての人気テレビ番組「TVチャンピオン」に出場した経験を持つ「有限会社 渡部造園(わたべぞうえん)」をご紹介します。苔の美しい庭園を眺めながら、社長の渡部さんに庭づくりのこだわりと苔の魅力を聞いてきました。

Interview

渡部 彦夫

Hikoo Watabe(有限会社 渡部造園)

1958年阿賀野市(旧安田町)生まれ。埼玉県の植木会社や京都の造園会社を経て、1979年から「東京庭苑株式会社」に勤め造園家の小形研三に師事。1982年に阿賀野市へ戻り、独立して「有限会社 渡部造園」を創業する。

人気番組「TVチャンピオン」に出場し
苔を使った造園で決勝まで勝ち進む。

——渡部さんは、かつての人気テレビ番組『TVチャンピオン』に出演された経験があるんですよね。

渡部さん:ええ、「日本庭園職人選手権」 に出場させていただきました。

 

——すごいじゃないですか。それって、直接出演依頼の連絡がきたんですか?

渡部さん:直接ご連絡をいただました。当時はホームページをつくっている造園業者が少なかったので、弊社のホームページを見つけてご連絡いただいたようですね。でも、最初はお断りしたんです。

 

——それはまた、どうして?

渡部さん:私よりもふさわしい造園業者がたくさんいると思ったので、お断りして他の業者を紹介しようと思ったんですよ。ところが、家族は喜んで「出ろ出ろ」っていうもんだから、仕方なく出場することにしました(笑)

 

——そんな機会はめったにないですもんね。それで、結果はいかがでした?

渡部さん:埼玉、京都、滋賀、新潟の造園業者が、テーマに沿った庭をつくって競ったんです。予選を進出して決勝に残りましたが、決勝では若い頃に修業をした京都の造園業者との対決になったんですよ(笑)

 

——「因縁の対決」ですね(笑)

渡部さん:成長を証明したかったので、どうしても勝ちたいと思ったんですが、残念ながら勝つことができませんでした。その対決で苔と板石を使った市松模様の庭をつくったら反響がすごくて、しばらくは苔に関するお問合せ電話が鳴り止みませんでした。

 

——テレビの影響力ってすごいですね(笑)

渡部さん:そうですね。その頃から苔の栽培や販売をはじめたんです。冬の間は造園業がひまになるので、その間の収入源になればという思いもありましたね。

 

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造園の巨匠・小形研三の下で
落葉樹を使った「雑木の庭」を学ぶ。

——渡部さんが造園業に携わることになったのは、何がきっかけだったんですか?

渡部さん:私は農家に生まれましたので、兼業でできる仕事を探していました。最初は埼玉にある植木屋で修業したんですけど、自分には合わない気がして京都の造園会社で修業し直したんです。

 

——京都での修業はいかがでした?

渡部さん:とにかく厳しくて、いろいろと細かく指導されましたね。住み込みで働いていたので、箸の上げ下ろしまで注意されました。

 

——日常生活の作法まで教わったんですね。どのくらい修業していたんですか?

渡部さん:自分のやりたいこととは違うように感じてきたので、2年で退職して、東京にある「東京庭苑株式会社」に就職しました。そこで造園家の小形研三さんから造園を学んだんです。

 

——小形さんって、どんな造園家さんなんでしょう?

渡部さん:万国博覧会の日本庭園をはじめとした博覧会に携わったり、勲四等瑞宝章などを授章されたりしている造園家です。

 

——大きな仕事をされてきた方なんですね。渡部さんはその方の下でどんなことを学ばれたんでしょう?

渡部さん:「自然写景式庭園」といって、自然の里山や森林を再現したような庭園です。京都の修業先では「侘び寂びを表現しろ」とか「石と会話しろ」とか抽象的な教え方をされたんですが、まだ若かったからピンと来ないんですよ(笑)。その点、小形さんはわかりやすく理論を具体的に教えてくれました。

 

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時間が経つにつれて味わいが深まる
天然の素材を使った造園にこだわる。

——渡部さんが庭をつくるときに心掛けていることや、こだわっていることがあったら教えてください。

渡部さん:まずはどこから見る庭なのかを定め、そこから5メートル以内にポイントをつくります。10メートルも奥に離れると印象が薄くなっちゃうんですよ。奥に行くに従って飛び石を小さくしたり垣根を低くする遠近法を使って、庭を広く見せることも多いですね。プラスチックの屋根や垣根って最初は綺麗なんですけど、時間が経つにつれて汚れるし劣化していくんです。でも石や木は時間が経つことで味わいが深まって美しくなる。だから天然の素材を使った庭づくりを心掛けています。個人的にはすっきりとしてシンプルな平安時代の庭園が好きですね。

 

——どんな植物を使うことが多いんでしょうか?

渡部さん:エゴノキやソロ、モミジといった、山の落葉樹が多いですね。以前の庭は松が主流だったんですけど、近年では雑木を使うようになっています。

 

——苔を使うのもこだわりなんでしょうね。

渡部さん:苔を「汚い」と感じる人もいますけど、芝生にはない柔らかで優しい雰囲気があります。時間が経つにつれて、どんどん美しくなっていくのが苔の魅力ですね。これからも庭づくりを通して、苔の持つ魅力をたくさんの方々に伝えていきたいです。

 

有限会社 渡部造園

阿賀野市嶋瀬99の子

0250-68-1900

9:00-17:00

日曜祝日休

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