あんこを使って、食べられるお花をつくる「のと弥 餡」。
食べる
2025.09.23
「あんこの花®」をご存知でしょうか。口金を使ってあんこを絞りながらつくる、美味しくて身体に優しいお花を模したスイーツで、「和なはアートフード協会」によって全国への広がりを見せているんです。「のと弥 餡(のとや あん)」の水吉さんも「あんこの花®」をたくさんの人に知ってもらおうと、弥彦村を中心に教室を展開しています。理容店をリノベーションした教室にお邪魔し、「あんこの花®」の魅力についてお話を聞いてきました。


のと弥 餡
水吉 弥里 Misato Mizuyoshi
1980年新潟市西蒲区(旧岩室村)生まれ。専門学校で救急救命士の国家資格を取得した後、大型テーマパーク、耳鼻科医院、ファッション雑貨店、インテリアショップで経験を積み、父の経営する製造業の会社に入社。2020年より「のと弥 餡」を立ち上げて「あんこの花®」のレッスンをはじめ、弥彦、吉田、新潟、長岡で教室を開いている。旅行が趣味で、神社や寺院を巡るのが好き。
「あんこの花®」をはじめた、意外な理由とは。
——水吉さんは「あんこの花®」に出会う前は、どんなことをしてきたんですか?
水吉さん:救急隊員になりたかったので、専門学校へ行って救急救命士の国家資格を取得したんです。でも、最初は「東京ディズニーシー」のオープニングスタッフとして働くことになりました(笑)
——ちょっと待ってください(笑)。どうしたらそういうことになるんですか?
水吉さん:当時は女性の救急隊員が少なかったので、女性も働ける環境の消防署はほとんどなかったんです。そんなとき読んだ雑誌のなかに「東京ディズニーシー」のオープニングスタッフを募集する求人広告を見つけて、救急救命士の国家試験を受けた翌日に「東京ディズニーシー」の面接を受けました(笑)。もともとディズニーが好きだったし、人を楽しませる仕事もしたかったんです。

——専門学校で学んだことはいったい……(笑)。ちなみに「東京ディズニーシー」では、どんな仕事をしていたんですか?
水吉さん:「ゲストコントロールキャスト」といって、来場者のサポートをしていました。主な仕事は園内の案内やショーの前説でしたね。その後は耳鼻科医院、ファッション雑貨店、インテリアショップを経て、父の経営する会社に入社して現在に至ります(笑)
——ずいぶんいろいろな職種を経験されたんですね(笑)。そんななかで「あんこの花®」をはじめたのは、どういういきさつだったんですか?
水吉さん:好きだったこともあって、お花を使ったお仕事をやりたかったんです。そこでハーバリウム認定講師の資格を取って教室をはじめたんですが、コロナ禍がはじまったことや経験者が増えたことで、受講者が減って、素材のお花や容器がいっぱいデッドストックになってしまいました。
——あらら……。
水吉さん:そのときに出会ったのが「和なはアートフード協会」の「あんこの花®」だったんです。あんこが材料だったら、食べちゃえば在庫にならないと思いました。
——えーーー、そこ?(笑)
水吉さん:両親を含めてまわりにはあんこ好きが多いので、余ったら食べてもらえるし……まあ、半分冗談なんですけど(笑)。もちろん、お花に関わる仕事がしたいという思いや、あんこでお花をつくるということのインパクトも大きかったんです(笑)。新潟ではまだ誰もやっていなかったので、東京の教室まで行って学んできました。

——「あんこの花®」を教わってみて、いかがでした?
水吉さん:実は体験レッスンを受けずに、いきなり認定試験を受けるための講座を受けたので、使う道具の名前すら知らなかったんですよ。片手でベースを回しながらもう片方の手であんこを絞っていく作業は、日常生活ではやらない動きなのでとても難しかったですね。
——両手で別々の動きをするのは難しいでしょうね。
水吉さん:思ったようにできなかったので新潟へ帰る車を運転しながら凹んでいたんです(笑)。でも、ありがたいことに合格することができました。

「世界でひとつだけの花」を楽しんでほしい。
——「のと弥 餡」っていう名前には、どんな意味があるんですか?
水吉さん:弥彦教室に使っているこの場所では、以前叔父が理髪店の傍で「のとや」という名の宿をやっていたんです。私もときどき遊びに来ていて愛着があったので、いつかはこの場所で教室を開きたいと思っていたんです。それで「のとや」という屋号を受け継ぎつつ、「や」の部分を漢字の「弥」に変えました。
——「弥彦」の「弥」ですね。
水吉さん:それだけではなくて、自分の「弥里」という名前にもかけてあるんです(笑)。宿の後は叔父が理容室を営んでいたんですが、店を閉めることになったので教室に使わせてもらうことにしました。
——その前は別な場所で教室を開いていたんですか?
水吉さん:そもそも、最初は教室を開こうとは思っていなかったんですよ。でもこんなに素晴らしいものを、自分だけで楽しんで自己満足しているのはもったいないと思うようになって、もっと多くの人にこの魅力を知ってほしいと思いはじめて、吉田のカフェを借りて教室をはじめました。
——そうだったんですね。伝えたい魅力というのは、どういったものなんでしょう?
水吉さん:「あんこの花®」は手の動きだけで何通りものお花を表現できるんですけど、つくる人の個性が表れてひとつとして同じお花にはならないんです。それこそ「世界でひとつだけの花」っていう感じ(笑)。自分の個性を大切にしながら楽しんでいただきたいと思います。

——なるほど。他にはどんな魅力がありますか?
水吉さん:いろんなことを考えて集中しながら作業しているので、日常の悩みを忘れることができます(笑)。完成したときの達成感も大きいので、生徒さんから「難しかったけど楽しかった」と言ってもらえることも多いんですよ。
——じゃあ、レッスン中は静かなんでしょうね。
水吉さん:それが、とっても和気あいあいとした雰囲気なんです(笑)。初対面でもお互いに褒めあったりして、楽しみながら作業しているのが伝わってきます。生徒さんが楽しんでくれると私の励みになりますし、もっと楽しんでもらおうとモチベーションも上がるんです。

——人を楽しませるのが好きな、水吉さんならではのレッスンですね。
水吉さん:私も生徒さん達から楽しませてもらっています。レッスンをはじめたばかりの頃は、とにかく上手につくってもらいたいという思いが強くて、厳しく指導していたように思うんです。でも、自分が楽しまなければ生徒さんも楽しくないと気づいたので、それからは上手につくるよりも楽しくつくってもらうことを大切にしているんです。教えながら自分も学ばせてもらっています。
——先生としてのスキルも磨かれているわけですね。今後はどんなことにチャレンジしてみたいですか?
水吉さん:目の前の通りは「神社通り」といって、本来はメインストリートなんですが、お店が減少しているせいか人通りが少ないんです。ワークショップや商品販売をすることで、少しでも盛り上げるお手伝いができればいいなと思っています。さしあたり「やひこ菊まつり」に合わせた限定商品を予約販売する予定です。もちろん「あんこの花®」の魅力を新潟でも広めていきたいですね。

のと弥 餡
西蒲原郡弥彦村大字弥彦1220
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