バナナやサトウキビまでつくっている
花蓮の専門店「フラワー華蓮」
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2026.08.08
まばゆい夏の日差しのなか、涼しげな花を見せてくれる蓮。インド原産の水生植物で、約1億4000万年以上も前から存在しているそうです。しかも200種類もあるのだとか。そんな蓮を栽培しているのが、燕市にある「フラワー花蓮(かれん)」。薄桃や白の花を咲かせている蓮を眺めつつ、店主の加藤さんからお話を聞いてきました。
加藤 正人
Masato Kato(フラワー華蓮)
1961年燕市(旧吉田町)生まれ。JAに勤務して葬祭の仕事に25年間携わり、2012年に「フラワー華蓮」を開業する。趣味は旅行で、客船に乗って日本一周をしたのがいちばんの思い出。
葬祭関連の仕事をしていたJA職員が、
花蓮の栽培をはじめたわけ。
――綺麗な蓮の花がたくさん咲いていますね。開花のピークはいつ頃なんですか?
加藤さん:7月の初めです。6月の終わりから咲きはじめて、8月の終わりまで咲きます。
――夏の間だけ綺麗な花を見せてくれるんですね。ところで、加藤さんは以前JAにお勤めだったんですよね。
加藤さん:はい、JAで葬祭関係の仕事に携わっていましたが、そのときから55歳で早期退職しようと考えていました。
――それはどうして?
加藤さん:何か新しいことにチャレンジしたかったんです。
――例えばどんなことを考えていたんでしょう?
加藤さん:最初は新潟名物のポッポ焼きを県外で販売しようと考えていました。新潟の縁日であれだけ人気のあるポッポ焼きを、他県で売れば人気が出るんじゃないかと思って、軽井沢や那須高原まで土地の下見に行ったほどなんです。ただ、家族からは「どうしてわざわざ安定収入を捨てるのか」と猛反対されましたね(笑)
――ご家族の気持ちもわかる気がしますが、加藤さんはチャレンジしたかったんですよね。でもそこからどうして、花蓮(はなはす)の栽培をはじめることになったんですか?
加藤さん:弥彦にあるお寺の住職が亡くなって、葬儀があったんです。その葬儀を担当していた私は、祭壇に飾る蓮の花を生花店に10本発注したんですけど「6月の半ばに咲いている蓮の花なんてどこにもない」と即答されてしまったんですよ。私はビニールハウスで一年中栽培できるものだと思っていたから驚きましたね。
――それがきっかけだったんですね。
加藤さん:気になったので後日インターネットで調べてみたら、花蓮というものが200品種もあることがわかったんです。そこで、生花店の社長に花蓮が何種類あるか聞いてみたら「3〜4種類くらいじゃない?」という回答だったんですよ。40年以上も生花店をやってきた人間さえ知らないんだから、これはチャンスかもしれないと思いました。
――それで花蓮の栽培をはじめたんですね。
加藤さん:うちはもともと米農家だったんですけど、田んぼを他の農家に委託したので苗を栽培するためのビニースハウスが空いたんです。そこでJAに勤めながら試しに花蓮の栽培をしてみたらうまくいったので、50歳で早期退職して「フラワー花蓮」をはじめました。


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思いきって開設したホームページが、
赤字を黒字に変えてくれた。
――花蓮の栽培方法はどこで勉強したんですか?
加藤さん:ほとんど独学です。県外の業者さんから栽培の仕方を教わったところで、環境の違う新潟じゃ同じやり方が通用するとは限らないじゃないですか。だから、毎年試行錯誤しながら栽培したデータを翌年に生かして、自分の栽培方法を探ってきたんです。
――手探りで続けてきたんですね。
加藤さん:そうなんです。売り上げも3年間は赤字だったので、やめて会社員に戻ろうと思ったこともしょっちゅうありました。それが4年目で赤字がなくなり、5年目からは黒字に転じたんです。
――まさに石の上にも三年ですね。黒字に転じたきっかけはあったんでしょうか?
加藤さん:それまでは対面販売をしていたんですけど、友人から「ホームページをつくったらどうか」と勧められたんです。そこで退職金をはたいてホームページを開設してみたら、少しずつ注文が増えたんですよ。最初はFAXで受注していたんですけど、受注が増えたことで途中からオンランショップも開設しました。
――ホームページの便利さを知ったんですね。
加藤さん:最初は費用を聞いて迷いましたが、24時間ずっと店を開けているようなものですから、店舗物件を用意して従業員を雇うことを考えたら安いものだと思いました。
――どういったお客さんが多いんでしょう?
加藤さん:おもに全国のホテルや料亭へ、蓮の葉や切り花を卸しています。料理を盛り付けるお皿の代わりや、飾り付けのために使われているんです。だから料理に使う蓮の葉は、厚くならないように風や日の当たらない場所で栽培しています。

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誰もやっていないことに挑戦した先に
大きな可能性がある。
――てっきり水田で栽培していると思っていましたが、鉢で栽培しているのには驚きました。
加藤さん:れんこん農家の知り合いからは「鉢でなんて栽培できない」と言われました。そこで、鉢でつくったことがあるのか聞いてみたら「ない」って答えるんです。「それじゃあ、やってみなければわからない」ってことで挑戦してみたら、ちゃんとできたんですよ。同じ土壌で同じ作物を育てると病気になりやすい連作障害が防げる上、収穫も水田に入ることなく楽なんです。
――やってみたらメリットが多かったんですね。
加藤さん:私は他業種から農業に新しく飛び込んできた人間なので、農家の常識を覆すことができたのかもしれませんね。だからバナナの栽培をはじめたときも驚かれましたよ(笑)
――えっ、バナナの栽培もしているんですか?
加藤さん:宮古島にいるお客様から勧められたんです。どんなふうに栽培すればいいのか聞いてみたら「やりたいだけ水をやって、やりたいだけ肥料をやればいい」と言われました(笑)
――なかなか大雑把なアドバイスですね(笑)。新潟でも栽培できるものなんですか?
加藤さん:冬さえ温度に気をつけて枯らさないようにしていれば、むしろ沖縄より栽培しやすいのかもしれません。大きな台風は来ないし、病気や害虫の心配もないですから。むしろ新潟で育てていることで、バナナの寒さに耐える力が年々上がってきているように感じます。
――環境に適応してくるものなんですね。
加藤さん:そう思いますね。これから栽培する農家が増えて、バナナの新潟ブランドができたら嬉しいです。
――その他に新しくつくってみようと思っている作物はあるんでしょうか?
加藤さん:もうはじめているんですけど、サトウキビやタマリロです。タマリロっていうのは「ツリートマト」と呼ばれていて、トマトのような実がなる木なんです。新潟どころか日本でも珍しい作物ですね。
――変わったものばかり手掛けてらっしゃいますね(笑)
加藤さん:誰もやっていないことにチャレンジした先に、大きな可能性があると思っているんです。まずは半歩踏み出してみて、道がありそうだったら先に進んでみる。ダメだったら引き返せばいいんです。世の中には、何もしないうちから心配している人が多いように思います。
――心強いアドバイス、ありがとうございます。
加藤さん:花蓮のノウハウはいくらでも教えますので、やってみたいという人がいたら後を継いでもらえると嬉しいですね。


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