人を知る服、自分を知る服。
北澤凌に聞く服のこと、ZINEのこと。

カルチャー

2026.08.10

text by Ayaka Honma

2021年から2022年にかけて連載されたThingsの企画『服と人。』。この企画をプロデュースしたThings編集部・北澤凌が、『NAME CARD』というZINEを作りました。そこでZINEの出版を記念して、今月の15日と16日の2日間、『服と人。』が復活します。今回は北澤さんに『服と人。』のことや、北澤さんの服のこと、制作したZINEについて、いろいろお話を聞いてきました。

Interview

北澤 凌

Ryo Kitazawa

1998年三条市出身。2021年9月からThingsで『服と人。』を連載。マルチクリエイターの野村訓市が好きで、今年のフジロックでは念願のツーショットを撮ることができたのだとか。

その人が着る服には、理由がある。
『服と人。』のこと、聞いてみました。

――北澤さんが『服と人。』の連載をはじめたのは、2021年のことでしたね。

北澤さん:編集部のみんなで、Thingsの企画を考えたときがあったんです。僕は、洋服だったら楽しく企画ができそうだなと思ったので、スナップ企画を提案しました。そこから『服と人。』がはじまったんですよ。

 

――毎回、スタイリングの写真とともに、記事の最後にその人の服に関するインタビューが載っていました。

北澤さん:その人がどんな考えで服を着ているかっていう過程を知ることができたら、その人のことをもっと理解できるかもしれないし、逆にそういう過程があるからこそ、その人ならではのスタイリングになるっていうのを感じてもらいたくて、スナップだけではなくインタビューも入れることにしました。

 

――どんな服を選んで、組み合わせるかにも、その人なりの考えを、記事を通して伝えたかったというわけですね。

北澤さん:僕は、人はみんな服が好きなんだと思うんです。ただ、その「好き」の中身は人それぞれなんですよね。見た目重視の人もいれば、機能性がいちばん大事だという人もいる。どちらも服が好きなことに変わりはないんです。その「好き」を深堀りしていくと、その人のスタイルが見えてくるんじゃないかと思って。『服と人。』を読んでくれた方にも、自分の「好き」を考えてもらうきっかけになればいいな、と。

 

――『服と人。』で、いろんな人の服にまつわるルーツを聞いてきました。取材を重ねる中で、北澤さん自身に変化はあったのでしょうか。

北澤さん:服装自体には変化はなかったけど、考え方は変わりましたね。誰かの服を見て「なんとなくこうなんだろうな」と判断することがなくなりました。話を聞いてみると、「年を重ねて、動きやすさや機能性を重視するようになった」とか「子どもが生まれてから着る服が変わった」とか、やっぱりいろいろ理由があるんですよね。この企画を通して、自分の偏見みたいなものがひとつ取っ払われたような気がします。

 

――私は、おしゃれな人に「ダサい」と思われていないか、心配しちゃうことがよくあるのですが……。

北澤さん:誰かの格好を見て「これは自分の好みではない」とは思うけど、「ダサい」とは思わないですね。好みはその人のセンスによるものだから、スタイリングの好き嫌いは必ずあると思うんです。ただ、好みではなかったとしても、その人がその服を選んだ背景まで否定してはいけないと思っています。1年くらい連載を続けてみて、服の話を聞くことが純粋に面白くて楽しかったなと、改めて実感しています。

 

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同じ組み合わせはしない。
「北澤凌」の服のこと。

――ところで、北澤さんが好きな服ってどんな服なんでしょう。

北澤さん:自分でスタイリングをイチから組み立てられるような服がすごく好きですね。一着だけで「おしゃれ」が完成するような、存在感が強くて情報量が多い服よりは、いろんなアイテムと組み合わせられるものが好きです。「これとこれを合わせたらどうなるんだろう」という好奇心は、昔からずっと持っています。

 

――「今日は何を着よう」とスタイリングを考えるとき、まず何から考えるんですか?

北澤さん:その日の気分によりますね。学生の頃から、「同じスタイリングは絶対しない」をマイルールにしていて。このルールのおかげで、ひとつのアイテムでいろんな着方ができるようになったと思っています。「この前はこのシャツにこの柄のネクタイを合わせたから、今日は違う柄のネクタイで合わせてみよう」みたいな。

 

――『服と人。』の連載からおよそ4年、自分自身が身にまとう服に変化はありました?

北澤さん:ありました。それまではどこかに遊びに行くといっても、友達と飲みに行ったりとか、音楽のイベントに行ったりすることが多かったんです。でもちょうど4年くらい前からフジロックに行きはじめて。そこで「今まで着ていた服だと楽しみきれないかも」って思ったんですよ。楽しむためには、機能性も備わった服が必要だなって。そこから買う服の幅も広がっていきました。

 

――TPOに合わせて、機能性も大事にするようになったんですね。

北澤さん:この変化は、単純に大人なったから機能性を重視するようになったというよりは、組み合わせられる服のカテゴリーが増えた、自分にとって成長だと思っています。学校の制服を校則違反になるくらい着崩すんじゃなくて、決められたルールの中で自分なりの「おしゃれ」を作り上げるような感覚に近いかも。どこに行くか、何をするかに合わせておしゃれをするようになったかもしれないですね。

 

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服は自分を表す名刺だ。
ZINE『NAME CARD』。

――北澤さんが作ったZINE『NAME CARD』についても教えてください。

北澤さん:その人が着る服やスタイリングって、僕の中では「名刺」のような存在だと思ったんです。名刺って、会社の中でどんな部署にいて、どんな人なのかがひと目で分かりますよね。プライベートで名刺を作ることはないけど、着ている服で「自分はこんな人間です」っていうのがなんとなく伝わると思っていて。それを今回、言語化してみたくて、ZINEを作ることにしました。

 

――ZINEでは、8人の方のスナップとインタビューが載っています。

北澤さん:ファッションがいちばん、自分らしさを引き出しやすいテーマだと思ったので、洋服を軸にしながら、仲の良い8人に話を聞かせてもらいました。それぞれのルーツやファッション観に加えて、おまけで「北澤凌について」も聞いています。自分で自分を言語化するよりも、仲良くしてくれている人に僕のことを引き出してもらったほうが、自分も知らない一面まで拾えて面白そうって思ったんです。

 

――完成したZINEを読むのが楽しみです。こちらのZINEは8/23の「ZINE FEST新潟」で販売するんですよね。イベント当日はどんな服を着る予定ですか?

北澤さん:まだ全然決まっていないんですが(笑)、保守的になりすぎず、かといって背伸びをしすぎないような服を着ていこうと思っています。色も使って、等身大の自分を服で表現できればいいかなと。

 

 

 

 

NAME CARD

洋服って、僕にとっては「名刺」みたいなものだ——言葉を交わさなくても、「僕はこういうものが好きなこんな人間です」と一瞬で伝えてくれる。これまで、僕はそんなふうに洋服を名刺代わりにして、たくさんの人と出会ってきた。北澤凌が、「洋服」という共通言語を通じて出会った8人の親しい友人たちにマイクを向けた、名刺代わりのZINE。

※最新の情報や正確な位置情報等は公式のHPやSNS等からご確認ください。なお掲載から期間が空いた店舗等は移転・閉店の場合があります。また記事は諸事情により予告なく掲載を終了する場合もございます。予めご了承ください。

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