新潟駅のすぐそばにある「BOOK INN(ブックイン)」という名のゲストハウス。そこは天井まである本棚が立ち並び、まるで図書館のような空間です。…え? どこがゲストハウス…?実はこの本棚の奥が、隠れ家みたいなベッドスペースになっているんです。そんな風変わりなゲストハウスを運営するオーナーの長谷川さんに、お話を聞いてきました。
BOOK INN
長谷川 あおい Aoi Hasegawa
1974年新潟市中央区生まれ。アップル外語観光カレッジ国際コミュニケーション科に通い英語を学ぶ。旅行代理店、テレホンオペレーターなどを経て新潟市古町にサンドイッチ専門店「 DELICA SANDWICHES (デリカサンドイッチ)」オープン。その後、ご主人の英会話教室を手伝うため店を閉め、2015年にエアリアルヨガスタジオ「G studio(ジースタジオ)」をオープン。2017年4月よりご主人とともにゲストハウス「BOOK INN」を運営。趣味は読書と筋トレ。
——まるで図書館のようですね…。どうしてこういうゲストハウスをやろうと思ったんですか?
長谷川さん:私と主人は関屋浜で海の家も経営してるんです。その2階が空いていたので、ゲストハウスとして利用しようと思って民泊サイトで宿泊希望者を募集したら、ひと夏で200人もの外国人が宿泊したんですよ。関屋浜の海の家でもそんなに泊まるんだったら、新潟駅の近くでやればもっと利用者が見込めるんじゃないかって思ったんです。でも外国や県外の人だけじゃなくて、地元の人たちにも気軽に利用してもらえる施設にしたいと思って、漫画喫茶の要素を入れたみたらどうかと考えて。当時はブックカフェがブームになり始めた頃だったので、「本が読めるゲストハウス」というコンセプトで少しずつ構想を固めていきました。
——なるほど、最初は漫画喫茶のゲストハウス版みたいな発想だったんですね。本棚の奥にベッドルームがあるのも秘密基地みたいで楽しいですね。
長谷川さん:コンセプトが決まった後、どんなデザインにしたらいいのか主人と考えました。それで本棚とベッドルームを一緒にしたらどうかってことを思いついたんです。内装のほとんどを主人と手作りしていったので、4ヶ月くらいかかってしまいました。
——えっ、これ手作りなんですか?そうは思えないくらいオシャレですね。ところで、これだけたくさんの本をどうやって集めたんですか?
長谷川さん:今は4,000冊以上の本があって、そのうち1,000冊が外国のお客様向けの洋書になっています。洋書はほとんどがいただきものなんですが、その他の本は買い集めたものです。主人の知り合いに中古本チェーンの副社長さんがいて、その方にお願いして3店舗分の中古本の中からうちのゲストハウスに合いそうな本を選んでもらったんです。その中からまた私と主人で選別させてもらって買い取りました。本の陳列もその中古書店の店長さんからやっていただき、陳列のノウハウも教わることができてとても助かりました
——ご主人とは英語でお話されてますけど、どこで覚えたんですか?
長谷川さん:私は英語の勉強がしたくて「アップル外語観光カレッジ」っていう専門学校の国際コミュニケーション科に通ってたんです。2年生のときに中途採用で航空会社直営の旅行代理店に就職して、チケットの発券や予約業務をやってました。それからNTT電話番号案内の仕事を長い間やって、そのときにハワイ出身の主人と出会ったんです。自営業にチャレンジしたのはその後です。
——最初はどんなお店を始めたんですか?
長谷川さん:テナントで何かお店をやって欲しいって誘われて、「DELICA SANDWICHES」っていうサンドイッチの専門店を最初にオープンしたんです。そんなに広いスペースではなかったので、狭くてもできるテイクアウトのお店をやることになりました。でも2年くらいで閉めることになって。
——あらら。そのお店はどうして閉めちゃったんですか?
長谷川さん:主人がやっている英会話教室の受付スタッフが辞めてしまって、そのときは私が教室を手伝うことになったんです。でも私はそれから、今度はヨガスタジオをオープンしました。
——サンドイッチの次がヨガですか?
長谷川さん:関屋浜の海の家の話になりますけど、そこがとても広くて、民泊でお客様を泊める和室とは別のエリアに、ものすごく広いオープンスペースがありまして。そこを有効活用しようということでヨガスタジオをオープンしたんです。 とても好評だったんですけど、冬は寒いから5月〜10月の夏季しか開催できなかったんですよ。そこで、鳥屋野潟のそばに物件を借りてエアリアルヨガスタジオ「G studio」をオープンしました。4年やって、昨年、新潟駅前に移転しました。
——ではここでゲストハウスのお話に戻りますね。漫画喫茶に似た感じもしますが、どんなところが違うんですか?
長谷川さん:ブランケットではなくて、しっかりした布団が揃ってるってことですね。仮眠じゃなくてちゃんと熟睡できるスペースになっています。「寝心地がいいので快眠できる」と評判もいいですね。県外や市外の方はもちろん、かなり近所の方も急に予約して泊まっていくことがあります。いろいろな使い方があると思いますので、気軽に利用してほしいですね。
——利用するときに気をつけることってありますか?
長谷川さん:ベッドスペースは完全な個室ではありません。なのでコインロッカーを利用して、貴重品の管理には十分気をつけてほしいと思います。それから消灯時間は深夜12時頃になってますので、それ以降の時間でお話をされる場合はフロント前のロビースペースを使っていただいて、他のお客様の迷惑にならないように過ごしていただきたいですね。
——ゲストハウスをこれからもっと進化させようと考えていることはありますか?
長谷川さん:新潟駅の近くって意外とコインランドリーがないので、ゲストハウス内にコインランドリーを設置してより快適に過ごしてもらえるようにしたいですね。あと、いずれは生ビールのサーバーを置いたり、朝食も提供できる環境を整えていけたらいいなって思ってます。
——最後に長谷川さんがオススメする本を教えてください。
長谷川さん:個人的にオススメなのはTwitterで人気になっている謎の主婦・DJあおいさんが書かれたエッセイです。まだ読んだことがない方は是非、読んでみてくださいね。
漫画喫茶みたいな気軽さで利用できて、しっかり快眠もできるゲストハウスとして営業している「BOOK INN」。観光やビジネスなど県外の人はもちろん、新潟駅前で飲んだあとや、ちょっとした時間つぶし、休憩など、いろいろなシーンで利用できそうです。秘密基地みたいな空間が好きな方にもオススメです。
(取材日:2020年4月14日)
BOOK INN
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