胎内市の海に近い砂丘地帯。ここに、松林に囲まれた広大なカートコースがあります。一般のお客さんでもカートをレンタルしてコースを走らせることができる「スピードパーク新潟」。この施設ではどんなふうにカートを楽しむことができるのか、そもそもどうしてこの施設が作られたのか、代表の中村さんにお話を聞いてきました。
スピードパーク新潟
中村 寿和 Toshikazu Nakamura
1967年新潟市中央区生まれ。新潟工業短期大学の自動車工学科を卒業後、カーディーラーの整備士、自動車学校の指導員を務める。新潟工科専門学校開校と同時に教員となり、GIA新潟国際自動車大学校で2000年にモータースポーツ学科を立ち上げ。2008年に株式会社スピードパーク新潟設立。2010年にはアルビレックス・レーシングチームを発足し、チーム代表に就任。自身もバイクやFJでのレーシング経験があり、大会で優勝したことも。
——とっても広いコースですね。こちらではどんなことをやってるんですか?
中村さん:もともと「GIA国際自動車大学校」の実習施設として2008年に作ったんです。レースの練習の他にも、様々な大会のためにコースを貸したり、JAFのライセンスや船舶免許の取得業務をしたりしています。一般のお客様にもコースを開放して、レンタルカートで楽しんでもらってますよ。レンタルカートはここ2年ほどの間に全国的ブームになってきています。
——初めての人が予約なしで来ても、レンタルカートに乗せてもらえるんでしょうか?
中村さん:大丈夫です。コースの状況によっては少し待ってもらうこともありますが、予約なしで来ていただいても大丈夫です。カートコースは「エンジョイ」と「プロ」というスピードが違う2種類があって、初心者は「エンジョイ」で楽しんでいただきます。「エンジョイ」で基準タイムをクリアした方のみ「プロ」に挑戦してもらうことができるんです。ヘルメット、グローブ、雨具はこちらでご用意しますが、長袖長ズボン、運動靴でお越しいただきたいと思います。ハンドル、アクセル、ブレーキだけの簡単操作ですし、スタッフが親切に教えますので初心者でも安心してお楽しみいただけます。この施設が始まって10年近くの間に事故は一度も起きてないんですよ。
——へ〜、想像していたよりも安全なんですね。でも、ゴーカートとは違うんですよね?
中村さん:ゴーカートとはスピードが違いますね。一般のお客様向けの「レンタルカート エンジョイ」でも最大で時速60km出ます。カートに乗ったときの体感速度は120kmに感じるといわれています。なかなかサーキットを走る機会はないと思うので、風を切るモータースポーツの空気感を楽しんでもらいたいと思いますね。
——レンタルカートで楽しむ際の注意事項があったら教えてください。
中村さん:モータースポーツというスポーツの一種なので、ぶつけ合ったりせずに、とにかくスポーツとして安全第一に楽しんでほしいですね。
——中村さんはレースには詳しかったりするんですか?
中村さん:私は中学生の頃からレーサーになるのが夢だったんですよ。それで高校時代から二輪のレースを始めたんですが、大学時代に出場した仙台のレースで大けがをしてしまって。80台のバイクが一斉に走る夏の耐久レースで、私のバイクはまだタイヤが冷えたままだったので、スリップして他のバイクと接触した後転倒してしまいました。その事故で下半身を粉砕骨折して、3ヶ月間仙台の病院で入院して、新潟に帰ってからもまた2ヶ月間入院してました。
——うわ…大変な事故だったんですね…。それでレーサーを引退されたんですね。
中村さん:二輪は引退しましたけど、四輪に転向してレースは続けたんです。1997年にFJ東北シリーズに参戦して、2000年の筑波N2レースで優勝したのを機に、現役レーサーは引退しました。その頃には専門学校の教員をやっていて教務が忙しくなってきたので、若い人たちに後を託すことにして引退を決めたんです。
——せっかく優勝したのにもったいない気もしますね。中村さんは専門学校の先生をやってたんですか?
中村さん:はい、「GIA新潟国際自動車大学校」で教員をやっていました。私の学歴や職歴ってずっと車に関わってきてるんですよ。「新潟工業短期大学」の自動車工学科を卒業した後、新潟市内のカーディーラーで整備士や自動車学校の指導員をやってきたんです。NSGの「新潟工科専門学校」が開校すると同時に教員として働くことになって、その後分離した「GIA新潟国際自動車大学校」に移ったんです。
——気持ちいいほど自動車一筋の人生ですね! では、どういういきさつで「スピードパーク新潟」を立ち上げることになったんですか?
中村さん:「GIA新潟国際自動車大学校」の中に「モータースポーツ学科」を新設したんです。レーシングドライバーやメカニックマンを育成するコースで、レーサーを目指す若者が新潟に集まってきました。そこで2008年に「株式会社スピードパーク新潟」を設立して、ここにコースを作って新潟でレーシングチームを作ろうということになったんです。2010年には「アルビレックス・レーシング・チーム」を発足しました。
——今後はどのような活動をしていきたいですか?
中村さん:「アルビレックス・レーシング・チーム」がスーパーフォーミュラーライツまで参戦することができたので、今後は日本のトップカテゴリー「スーパーフォーミュラ」を目指して挑戦していきたいと思っています。そして新潟のモータースポーツ界をどんどん盛り上げていきたいと思ってます。
公私ともに自動車と関わり続けてきた中村さん。自らの夢だったレーサーやメカニックを育てるため、教員となった専門学校に「モータースポーツ学科」を新設し、「スピードパーク新潟」を作り、「アルビレックス・レーシング・チーム」を立ち上げ、とにかく新潟のモータースポーツ界を盛り上げる活動を続けています。今後、中村さんの下から、世界で活躍するようなモータースポーツのスターが誕生するのを楽しみにしたいです。
(取材日:2020年4月15日)
スピードパーク新潟
〒959-2600 新潟県胎内市松波1013-36
0254-45-2900
8:00-17:00
木曜金曜休(祝日除く)