美味しい魚を食べて欲しい! 東区にある魚のセレクトショップ「丸鮮」。
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2021.02.16
新潟市東区の住宅街に「丸鮮(まるせん)」という魚屋さんがあります。みずみずしい赤身のマグロブロックをはじめ、ピチピチ跳ねる生きたクルマエビ、一尾まるごとのブリ、アナゴの稚魚など、店内はいろいろな魚がたくさん並んでいて、まるで水族館のよう。今回は社長の小柳さんに魚への思いをたっぷり語っていただきました。


有限会社 丸鮮
小柳 康秀 Yasuhide Oyanagi
1969年新潟市中央区生まれ。5代目社長。千葉商科大学商学科を卒業後、築地市場や恵比寿の魚屋で修行。その後新潟に戻って家業の「丸鮮」で働く。趣味のヘラブナ釣りは、釣り具メーカーとプロ契約を交わしているほどの腕前だとか。
美味しい魚を通して、漁師と料理人をつなぎたい。
——いろんな魚が並べられていますね。普段あまり見ないような魚もあるようですけど、どういったところから仕入れているんですか?
小柳さん:新潟と豊洲の市場から仕入れてます。小売の他に、お寿司屋さんとか居酒屋さん、料理店さんに卸してます。うちのお客さんには、どこよりもいい魚を使って美味しい料理を作ってほしいんですよ。そしてそれを多くの人に味わってほしいんです。そのために、うちは漁師さんと料理人さんをつなぐ役をやっています。

——「どこよりもいい魚を仕入れる」そのために心掛けていることは何ですか?
小柳さん:業者さんとの付き合いを大切にしていますね。薦められた魚はできるだけ買うようにしていますし、いい魚には相応のいい値段をつけて仕入れるんです。それでお互いの信頼関係を築くことができて、いい魚を回してもらえるようになるんです。うちは「魚のセレクトショップ」みたいなものですね。
——なるほど。業者さんとの関係が大切なんですね。でも仕入れた魚が必ず売れるとは限らないですよね?
小柳さん:そういうこともありますね。でもいい魚は1日や2日くらいじゃ品質が変わらないんです。新鮮だからというだけじゃなくて、いい魚には「力」があるんですよ。
——もともとの品質からして違うというわけですね。魚屋さんをやっていて、嬉しいのってどんなときですか?
小柳さん:「美味しい」とか「今まで食べたことがない」とか、魚を絶賛していただいたときは嬉しいですね。卸先のお店から「お客さんが喜んでいたよ」なんて教えてもらえるのも嬉しいですよ。

魚ひとすじの社長と、お店の歴史。
——小柳さんは最初から魚屋さんを継ごうと思っていたんですか?
小柳さん:はい。いずれは店を継ごうと思っていました。若いときは関東の大学に通いながら、スーパー、居酒屋、高級寿司店でアルバイトをして魚の扱い方を学びましたね。卒業してからは築地市場で修行しました。夜中の2時から夕方の4時まで働いて、その後は銀座で遊んでいたから、ほとんど寝ないで仕事してましたね(笑)。若かったからできたんでしょうね。
——若いですね(笑)。築地市場での修行は今も役立ってそうですね。
小柳さん:もちろんです。その頃の人脈や仕入れルートのおかげで、今でもいい魚を回してもらえているんですよ。

——新潟に帰ってきたのは、築地で仕事をしてからですね。
小柳さん:築地市場の後は恵比寿の魚屋に勤めたんですけど、実家の「丸鮮」が忙しくなったので新潟に帰りました。もともと「1年したら帰る」っていう約束でしたから。
——「丸鮮」は小柳さんで5代目なんですよね。
小柳さん:そうですね。初代は村松で「小柳屋」っていう店をやっていたそうです。軍隊の御用商人として魚を卸していたみたいですね。3代目のときに大火で店が焼けてしまったので、新潟に移住してきました。そのときは東京や名古屋といった都市に魚を卸していたんです。4代目の父の頃は水原で店をやって、新潟県内の料亭に魚を卸し始めたんです。でもだんだん新潟市内のお客さんが多くなってきたので、現在の場所に移転したんですよ。

おすすめの魚の中でも、マグロはダントツ推し。
——小柳さんがおすすめする新潟の魚を聞いてもいいですか?
小柳さん:いいですよ。これから春にかけてはサクラマスがおすすめですね。酒と醤油で焼いて食べると美味しいですよ。夏はアラ、クルマエビ、アマダイ。アラは刺身やしゃぶしゃぶ、クルマエビは焼いても刺身でも美味しく食べられます。アマダイは酒蒸しにしたり、昆布締めして刺身にしてもいいですね。

——おお、聞いているだけで美味しそうですね(笑)
小柳さん:ありがとうございます(笑)。秋はハタハタがおすすめ。煮付けや塩焼き、お寿司でも美味しく食べられますね。その他にもサケやイクラが美味しい季節です。冬はキンメダイやブリ。ブリは刺身やしゃぶしゃぶがおすすめの食べ方ですね。でも一番おすすめなのは、何と言ってもマグロなんですよ。

——マグロ推しの理由は?
小柳さん:マグロってそれぞれ違っていて、ひとつとして同じ食感や味のものがないんです。そのうえ部位によっても変わってきますから、値段もピンキリなんですよ。
——例えばどんなふうに違ってくるんですか?
小柳さん:それぞれの部位で、脂の乗り方や味、食感が違ってくるんですよ。脂が乗って高級なお腹の部分はお寿司屋さん、背中は居酒屋さん、リーズナブルな尻尾は定食屋さんというように、値段によって卸先が変わってきますね。マグロは捨てるところがないんです。
——でも個体によって味が違ってくると、目利きも難しいんじゃないですか?
小柳さん:そうですね。でも難しいから面白いし、やりがいがあるんです。
——今後やってみたいことを教えてください。
小柳さん:新型ウィルスのおかげで保留になっちゃいましたけど、奥さんと魚を使った料理教室をやる予定だったんですよ。魚の美味しい食べ方を皆さんに知ってもらって、もっと魚を好きになってほしいっていう思いがあったんですよね。とにかく美味しい魚を食べてほしいから、これからもいい魚を売っていきたいと思っています。

「いい魚をみんなに食べてもらいたい!」と熱く語る小柳さんの言葉通り、「丸鮮」はたくさんの美味しそうな魚が並んでいて、「魚のセレクトショップ」という表現も過言ではありません。美味しい魚を食べたかったらぜひ「丸鮮」を訪れてみてください。今まで食べてことがなかった味に出会えるかもしれませんよ。
丸鮮
〒950-0813 新潟県新潟市東区大形本町5-9-9
090-5501-1089
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