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白根の地で生ハムを作る「SHIRONE meat Labo. ROOTs」。

「生ハム原木」って知ってますか?

「生ハム原木」って聞いたことがありますか?「しいたけの原木」は聞いたことがあるんだけど、生ハムの原木は馴染みがないんじゃないでしょうか?(私も知りませんでした!) そんな「生ハム原木」を作っている工房が新潟市南区の白根地区にあるんです。その名も「SHIRONE meat Labo. ROOTs(シロネミートラボ ルーツ)」。今回は工房長の平野さんに生ハム原木について教えてもらいました。

 

 

SHIRONE meat Labo. ROOTs

平野 亮 Ryo Hirano

1982年新潟市南区生まれ。自動車整備工場で整備士として働く傍らクラブなどでDJを兼業。オーストラリアに渡り、精肉会社で働きながらクラブでDJをしていた。その後帰国し「SHIRONE meat Labo. ROOTs」の工房長となる。趣味は映画鑑賞。仲間を集めて自宅で映画鑑賞会を開くほどの熱狂的な映画好き。DJとしては主に県外で活動中。

 

気になる生ハム原木の正体と作り方。

——「SHIRONE meat Labo. ROOTs」さんでは、「生ハム原木」というものを作ってるんですよね?それって一体どんなものなんですか?

平野さん:「生ハム原木」っていうのは豚モモ肉の生ハムブロックのことなんです。販売する時や飲食店で提供する際に、その“原木”からスライスして出すんですよ。なぜ「原木」っていうのかっていうと、熟成が進むと木みたいに見えるからなんです。ちなみに豚の頭だけを落とした体だけのものを「枝」って呼ぶんです。こちらも形が枝に見えるからそう呼ばれています。どうして木に例えるのか不思議ですよね。

 

——あ、なるほど、そういうことですか。ちなみにその生ハム原木はどうやって作ってるんですか?

平野さん:まず血抜きを徹底的にやります。これはとても重要な作業なんです。完全に血抜きしたと思っても、時間が経つとまた血が溜まってくるので、その都度ていねいに血抜きしなければならないんですよ。その後、1週間以上塩漬けするんですけど、うちの生ハムはできるだけ味をまろやかにしたいので、使う塩を極力少なく使ってるんです。塩は多ければ多いほど腐りにくくなりますけど、その分しょっぱくなっちゃうんですよね。

 

——塩が少なめでも大丈夫なんですか?

平野さん:もちろん大丈夫です。使う塩が少ない分、他の工程には細心の注意を払って作業してますね。あと、肉の部所によって塩のつけ方も変えてるんです。塩漬けはその後も1週間以上ずつ2回の塩漬けを繰り返して、その後、4日間水につけて塩抜きして乾燥させた後でじっくりと燻製するんです。

 

——けっこう何度も塩漬けをするんですね。どんなふうにして燻製するんですか?

平野さん:農家の精米小屋を改造した工房の2階が乾燥、燻製、熟成をする部屋になってるんです。その部屋ごとスモークウッドで燻して、20℃以下の温度で冷燻します。その後、じっくりと2次熟成までして発酵させて、最後は洗って乾燥させて完成です。

 

新潟では作れないと思われていた生ハム作りを実現。

——加工作業の際にはどんなことに気をつけていますか?

平野さん:やっぱり衛生面には気を使いますね。それと同時に、カビやこうじ菌を使って生ハムを熟成させているので、他の雑菌が混じって繁殖しないように注意しています。納豆菌を避けるために、私なんかもう何年も納豆を食べてませんよ。納豆菌は最強ですから繁殖力が半端ないんですよ。

 

——おっと、今朝、納豆食べてこなくてよかったです(笑)。ずいぶん手間がかかる工程ですけど、生ハム原木は完成までにどのくらい時間がかかるんですか?

平野さん:最短でも16ヶ月はかかりますね。

 

——え、そんなに!?

平野さん:生ハムは12月〜3月の気温が5℃以下の時期しか仕込みができないので、1年間で100本ちょいくらいしか作れないんです。新潟市は湿度が高くて生ハムなんか作れないと思われてましたけど、燻製してカビや菌のコントロールをすることで作ることが可能になったんです。

 

——そんな苦労の末に作り出された生ハム原木は、どんなふうに楽しんだらいいんでしょうか?

平野さん:とにかく切りたての生ハムの味を楽しんでほしいですね。切って少し時間が経ったものと比べると、まったく違った美味しさを味わえます。それから時間が経つにつれて味の変化を楽しむことができるんです。手作り味噌みたいに各家庭の菌によっても味が変わってきます。常温で1年間は持ちますが、気温が25℃以上になる夏場は避けるようにしてほしいです。

 

白根の米を食べて育つ「夢味豚」とは?

——「SHIRONE meat Labo. ROOTs」の生ハム原木は素材にもこだわったいるんでしょうか?

平野さん:はい、新潟市南区で生産されているブランド豚「夢味豚(ムーミートン)」を使ってます。「夢味豚」は地元白根産の米を食べて育てられています。豚は粉末状のエサを食べるときって、粉末の粒子が呼吸器官に入り込んで肺炎になることが多いんです。その都度、抗生剤を打って治療するんですが、それでは豚に様々なストレスがかかってしまいますよね。そこで「夢味豚」は、エサを分解・発酵させて液状にしたものを与える「リキッドフィーディング」という方法が取られているんです。「リキッドフィーディング」で飼育することで豚がストレスなく健康に育つんです。

 

——そのように育てられた豚にはどんな特長があるんでしょうか?

平野さん:米を食べて育つので豚臭さがなくて、肉質がとっても柔らかいですね。あと、脂の融点が低いので、口に入れた途端にクリームかバターみたいに溶けるのも大きな特長です。脂が溶けやすいのでしゃぶしゃぶによく合います。ステーキにする場合はかなり低温でじっくり焼くことをお勧めします。

 

「夢味豚」の生ハムを白根の特産品にしたい!

——ところで「SHIRONE meat Labo. ROOTs」は、どんなきっかけではじまったんでしょうか?

平野さん:「SHIRONE meat Labo. ROOTs」のメンバーに、新潟市南区にある「ダイニングバーna_Gi(ナギ)」っていう店をやっている長沼さんっていう人がいるんです。長沼さんは独学で自家製の生ハムを作っていて、それを店のメニューにしていたんですよ。「SHIRONE meat Labo. ROOTs」のオーナーがそれを食べて気に入って、「この生ハムを白根の特産品にしよう!」ということで、地元の有志を集めて2018年に立ち上げたんです。

 

——へ〜、平野さんはどういういきさつでメンバーとして参加することになったんですか?

平野さん:私は新潟市の自動車整備工場で整備士をやりながら、クラブとかでDJをやってました。そのうち海外でもDJ活動をやってみたくなって、オーストラリアのメルボルンにある精肉会社に勤めながら、DJを1年くらいやってたんですよ。日本に一時帰国した時に、「ダイニングバーna_Gi」の長沼さんから「SHIRONE meat Labo. ROOTs」のメンバーに誘われて。私は日本にいたとき「ダイニングバーna_Gi」の常連だったので長沼さんとも親しかったんです。私をメンバーに誘ってくれたのは、メルボルンで肉を切っていた経験を買ってくれたんでしょうね。

 

——今後目指していきたい目標があったら教えてください。

平野さん:世の中の人達に生ハムの魅力をもっと知ってもらえるように、普及活動をしていきたいですね。そのために、キッチンカーでイベント出店を重ねて、生ハムを多くの人達に味わってもらいたいと思います。今までも「しろね大凧合戦」「みなみマルシェ」「海フェスタにいがた」とか、いろいろなイベントに出店してきました。これからもどんどんイベントに出ていきたいと思ってます。

 

 

白根のブランド豚「夢味豚」を使い、白根の工房で作った生ハムを、白根の特産品にしようという思いで活動している「SHIRONE meat Labo. ROOTs」。工房の名前になっている「ROOTS」の意味を聞いてみたところ「根」とか「根源」とかを意味する言葉で、地元である白根の地にプライドを持って根を張っていきたいという思いでつけた名前なのだそうです。同じ白根の特産品ル・レクチェにも合うそうなので、生ハムと一緒に召し上がってみてはいかがでしょうか?

 

 

SHIRONE meat Labo. ROOTs

〒950-1203 新潟県新潟市南区大通黄金2-2-2

025-378-0038

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