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古民家でこだわりのラーメンが味わえる「らーめん 鈴と凛」。

今年開店したばかりの「らーめん 鈴と凛(すずとりん)」を訪ねました。場所はJR巻駅近くの古民家。車1台がギリギリ通れるような細い小路を抜けると現れる、隠れ家のような趣のお店です。夏の日射しに輝くお庭を眺めながら、お店をはじめたいきさつや、ラーメンのこだわりを店長の鈴木さんに聞いてきました。

 

 

らーめん 鈴と凛

鈴木 茂雄 Shigeo Suzuki

1983年新潟市江南区生まれ。運送会社で働いた後に「麺や来味」で修業。その後はラーメン店、中華料理店、配送会社で働き、「割烹 渡辺」で接客と調理補助をやりながら〆のラーメンを担当するようになる。2022年より「らーめん 鈴と凛」を開店。

 

イベントがきっかけで、大のラーメン好きになる。

——iPhoneのマップアプリの案内で来たら、とんでもなく細い道を通ることになりました(笑)

鈴木さん:どうもすみませんでした(笑)。そういうお客様が多いので、とても申し訳なく思っています。ときどき「どうやって通ってきたんだろう」って思うほど大きな車で入ってくる方もいらっしゃるんですよ。お店の裏に駐車場があるので、そちらから来ていただけると道も広くて来やすいんですけど……。ちなみに、お店の前にあるのは「鈴と凛」の駐車場ではないので、間違わないようにお気をつけいただきたいですね。

 

——どうしてこの場所でラーメン店をはじめようと思ったんですか?

鈴木さん:ここは何年も空き家になっていた場所なんです。田舎のおばあちゃんの家みたいな懐かしい雰囲気ときれいな庭が気に入ったので、改装してラーメン店をやってみようと思いました。

 

 

——外観だけ見ると、隠れ家的な日本料理店に見えますよね。

鈴木さん:日本料理店といえば、私は「鈴と凛」を開店する前に「割烹 渡辺」さんで接客や調理補助をやりながら、〆に提供するラーメンを作っていたんです。そのときに評判が良かったことが自信につながって、今回、ラーメン店を開店することになりました。

 

——そもそも鈴木さんはラーメンの作り方をどこで覚えたんですか?

鈴木さん:いろいろなお店で修業させていただきました。以前はあまり食べることに関心がなかったんですけど、「新潟ラーメン博」というイベントがきっかけでラーメンが大好きになったんです。新潟県内の人気ラーメン店が集まって自慢のラーメンを提供するイベントだったんですが、とにかくものすごい数の人が集まったんです。「ラーメンって、こんなに愛されている食べものなのか」って衝撃を受けて、それ以来ラーメンの食べ歩きをするようになりました。

 

——そのうち、自分でも作ってみたいと思うようになったんですね。

鈴木さん:自宅でもラーメン作りに挑戦してみましたが、あまり美味しく作れませんでしたね(笑)。「麺や来味」の社長と知り合って、誘われるかたちで修業させてもらうことになったんです。

 

——それは新潟でもトップクラスの人気店じゃないですか。

鈴木さん:ところが、かなりハードな修業だったんです。というのも、3ヶ月後に開催されるイベントに社長が参加する予定になっていて、その間のお店の営業を私に任せたいということだったんです。だから3ヶ月の間に店長として「麺や来味」のメニューを全部作れるようにならなけらばならなかったんですよ(笑)

 

 

——「麺や来味」さんって、めちゃくちゃメニューが多いですよね。

鈴木さん:そうなんですよ(笑)。覚えるのも大変なんですけど、仕込にかかる時間も半端ないんです。一度、本気で辞めようと思って、社長にも伝えたほどでした。でも、自分からラーメンをとったら何も残らないような気がしたので、思い直して修業に励んだんです。そのおかげで、いろんなスープの作り方を学ぶことができました。

 

——ラーメンの修業をした鈴木さんが「割烹 渡辺」さんで働くことになったのはどうしてなんですか?

鈴木さん:その後はラーメン店をはじめ、いろいろな職業を経験したんですが、最終的に野菜卸商の配送をやっていたときに「割烹 渡辺」の大将と知り合ったんです。大将はいつかラーメン店をやってみたいという夢を持っていたので、私の作ったラーメンを食べてもらったんですよ。そしたら「美味しいじゃん」って気に入っていただいて、「割烹 渡辺」でお世話になることになったんです。

 

ラーメンだけではなく、替玉にもこだわる。

——お店を開店して間もないですが、営業するにあたってのご苦労はありますか?

鈴木さん:とにかく自分でお店を開店した経験がまったくなかったので、すべてが手探りでしたね。毎日スタッフのみんなでミーティングをしては、少しずつ改良を重ねてきました。1日の営業が終わると、その日に気づいた足りない道具や必要なものをホームセンターへ買いに行くんです。買い出しをしていると、15時までの営業なのに帰宅時間が22時になったりして(笑)

 

——営業を重ねながら日々進化しているんですね。ラーメンを作るときに気をつけていることがあったら教えてください。

鈴木さん:お客様をお待たせしたくないので、できるだけスピーディーに提供できるように心掛けています。麺も50秒で茹で上がるものを使っているんです。ぬるいラーメンは美味しくないと思うので、温かいラーメンを召し上がっていただけるよう温度には気をつけています。

 

 

——今日いただいた「黒凛(こくりん)」っていうラーメンは、ひと口で風味やうま味がガツンと来ますね。

鈴木さん:ありがとうございます。出汁は鶏と煮干しだけのシンプルなダブルスープなんです。最初から一緒に作るのではなく、別々の寸胴で作って開店前に合わせています。タレには2年熟成の醤油を使っているので、香りやうま味が一般的な醤油よりも深いんです。麺は持ち上げの強さを重視した特注麺を使っています。「ゆきちから」という小麦を使っているので、低加水なのにもちもち感が感じられるんですよ。

 

 

——他にはどんなメニューがあるんですか?

鈴木さん:ラーメンは醤油ラーメンの「黒凛」と塩ラーメンの「白凛(はくりん)」の2種類だけです。あとは替玉代わりの「和え玉」が白と黒の2種類あります。

 

——替玉代わり?

鈴木さん:ただの替玉だと食べ飽きちゃうんじゃないかと思ったので、あらかじめ味のついている油そばを提供しているんです。そのままでも食べられるんですけど、ここに残ったラーメンのスープを入れていただいても美味しいですし、卓上の煮干酢や酢醤油で味変も楽しんでいただけます。

 

 

——へ〜、とても気になりますね。今後メニューを増やしていく予定はあるんでしょうか?

鈴木さん:レギュラーメニューの他に限定メニューも提供したいんですけど、現状はコンロの数が限られていて難しいんですよ。今後は定休日を使って「限定メニューの日」を設けることも考えていきたいですね。あとは味がぶれないように、毎日安定したラーメンを作り続けていきたいと思っています。

 

——お店をはじめてみて、嬉しいことってありました?

鈴木さん:私が美味しいと思うラーメンを作っているので、それに共感して「美味しい」と喜んでくれる方がいるのは嬉しいですね。スタッフも「鈴と凛」のラーメンを好きでいてくれて、一生懸命頑張ってくれているのでありがたいです。

 

 

 

らーめん 鈴と凛

新潟市西蒲区巻甲2440-1

0256-72-2859

11:00-15:00

水曜、第1・3火曜休

 

※掲載から期間が空いた店舗は移転、閉店している場合があります。ご了承ください。
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