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手間ひまかけた家庭料理を寛ぎながら味わう、村上・大町「NIHACHI」

城下町らしい風情を湛えた店舗が軒を連ねる村上市中央商店街の「越後村上町屋通り(小町~大町~上町)」に、このほど、28歳の若者が飲食店をオープンしました。昼はカフェランチ、夜は大衆酒場として楽しめる「NIHACHI(にはち)」というお店です。お昼は鮭料理から和菓子、村上茶、大衆グルメまで様々なご当地食が楽しめる半面、夜は気軽に入れるお店が意外と少なかったこの地に、「長年の夢だった」という同店を開業した店主の山田さんを訪ね、お店の特徴からオープンまでの経緯、今後の展望まで、いろいろとお話を伺ってきました。

 

 

NIHACHI

山田 知佳 Yamada Chika

1994年村上市生まれ。同市大町「NIHACHI」店主、栄養士。地元の高校を卒業後、首都圏の大学に進学し栄養学を修め、卒業後は紳士服量販店の接客スタッフ、村上市内のオーダーメイド衣料メーカーの営業職を経て、2022年12月同店をオープン。食べ歩きと水泳が趣味。

 

食材から資材まで地元産。昼はお洒落なランチ、夜は「家飲み」感覚で。

――オープンおめでとうございます。店名の「NIHACHI」っていうのは、もしかして……

山田さん:ありがとうございます。そうです、私の年齢です(笑)。この歳でお店を始めた初心を忘れないようにしたいと思って。準備期間中に思いついて、語呂も悪くないのでこれに決めました。周囲からは「お蕎麦屋さん?」なんて言われることもありますが。

 

――あぁ確かに(笑)。それではさっそくですが、「NIHACHI」さんの特徴を教えてください。

山田さん:朝日豚や地物野菜、村上茶など地元・村上の食材をフル活用したメニューを、落ち着いた雰囲気と価格で楽しんでいただくカフェ食堂です。お昼はランチのお店として、夜は大衆酒場として、日常的に、カジュアルに利用してもらええればと思っています。おひとり様や、小さなお子様連れでも、安心して利用してもらえれば。

 

――店舗もレトロな雰囲気で、すごくこのあたりらしいというか村上っぽいですね。

山田さん:実は内装はほぼゼロから全面改装したんですよ。この地域の町屋づくりの建物に精通した設計士の方と大工の方にお願いして。資材も地元産の「いわふね杉」を用いています。「いわふね杉」はランチのプレートやお箸、小物類にも使用していて、お料理だけでなく店内のほとんどの素材が地元産といえるかもしれません。

 

――そうなんですか。メニューを拝見すると和洋中どれもあり、何というか家庭料理っぽいラインナップですね。

山田さん:そうですね。ひとつひとつ手間暇かけて作っています。お肉を漬け込む塩麹やチーズ、付け合わせのパンなども一から手作りしています。お客様の安心に責任を持ちたいのはもちろんなのですが、何より作るのが好きなので。

 

――夜は大衆酒場、とのことですが、料理の美味しい「家飲み」のような感覚で利用できそう……

山田さん:そう思っていただけると幸いです。寝ちゃったりするのは困りますが(笑)、気の置けない友人宅のような感覚で楽しんでもらいたいですね。

 

アパレルから飲食へ。子どもの頃からの夢を実現。

――山田さんはオープン前はアパレル関係で働いていたそうですが、詳しく伺っても?

山田さん:料理はもともと好きで、大学で栄養学を専攻して栄養士の資格も得たのですが、大学時代にアルバイトしていた紳士服量販店での仕事が面白くて、卒業後そのまま社員になったんです。接客も好きなのですが、栄養士としての就職先が接客のない施設ばかりだったこともあって。ただ、いつかは地元で自分の飲食店をやりたいという思いはずっと抱いていて、そのための貯金も続けていました。その後、縁あって地元のフェールムラカミさんに営業職としてお世話になっていたのですが、「30歳までには何とか」と思っていたのが、このお店で叶えられました。

 

――夢を叶えたわけですね。地元で飲食店をやりたいと思ったきっかけみたいなものは、何かあったんでしょうか。

山田さん:それはホント、小さい頃からずっとなぜか思っていましたね。両親が共働きだったこともあり、子どもの時から私が家族分の食事を作ることもよくあったんですが、自分の作った料理でみんなが喜んでくれる、というのが原点なのかもしれません。極端な話、どんな人も、食べない人っていないじゃないですか。子どもから大人まで、いちばん広く喜んでもらえるのが料理だと思っています。

 

――どこかで修業してきたというよりは、日常的に腕を磨いてきたということですね。

山田さん:そうですね。あとはオープン前には地元の囲炉裏庵さんで働かせてもらい、いろいろと学ばせてもらいました。囲炉裏庵さんはじめ、地元の同業者の方、また異業種の方も本当に温かくて、様々なアドバイスや支援をしてくれます。自営業1年生として、とってもありがたいです。

 

女性も安心してフラリと「ひとり飲み」を。地元で末永く愛される店に。

――12月上旬にオープンしてひと月が経ちましたが、手応えはいかがでしょう。

山田さん:SNSくらいでしか発信していなかったのですが、本当に多くの方々にご来店いただき、感謝が尽きません。想定外のことも含め、すべて今後の糧としていきたいと思っています。オープン以来、プライベートの時間がほぼなくなっちゃったんですけど(苦笑)、忙しくてもまったく苦痛でないというか、むしろ人生で今がいちばん楽しく、充実しています。お店を出して本当によかったな、と日々実感しています。

 

――コロナ禍が長期化し、また原材料も高騰する中でのオープンとなりましたが、開業を躊躇したりは?

山田さん:いえ、コロナとか社会のせいで自分の夢を諦めることはしたくありませんでした。タイミング的には、いちばん理想的だったこの物件が空いていたこともあり、「今しかない」って感じでした。日常的に利用していただく家庭的なお店として価格を抑えているので、原材料の値上がりは確かに厳しいですが。

 

――最後に、今後の展望を教えてください。

山田さん:地元の方々に末永く愛されるお店を目指しています。このあたりは夜にフラっと立ち寄って一杯飲めるようなお店が意外に少ないので、そういった需要に応えたいです。女性のおひとり様でも、ぜひお気軽に。また、時期によっては観光客の方々も多く訪れる立地でもあるので、「人形さま」や「屏風まつり」など地域のまち歩きイベントにも対応したテイクアウトのメニューも考えてきたいです。どんな方にとっても、気軽に立ち寄れて、居心地の良いお店にしていければと思っています。

 

 

 Lunch(前菜付き)

朝日豚のローストポーク丼 1,200yen

牛すじ肉のビーフシチュー・自家製パン付 1,200yen

自家製クリームチーズと生ハムのトマトソースパスタ 1,100yen

デザート+300yen、ドリンク+200yen、アルコール+500yen

 

dinner

晩酌セット 2100yen

その他、もつ煮(400yen)、手羽先(500yen)、朝日豚ソテー(1000yen)、マーボー豆腐(700yen)、ビザ(600yen~)、パスタ(800yen~)など日替わり

生ビール(マルエフ)600yen

角ハイボール 500yen

 

ほか

 

NIHACHI

〒958-0842  村上市大町3-14

※掲載から期間が空いた店舗は移転、閉店している場合があります。ご了承ください。
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