地元に根づいたアットホームなステーキハウス「ちびたんく」。
食べる
2021.08.25
新潟空港の近くに、「ちびたんく」というちょっと変わった名前の、小さなステーキハウスがあります。店内には4人掛けのテーブルと、ふたり掛けのテーブルがふたつずつ。ランチタイムなどの混雑時はお客さんが溢れる人気店です。今回は「ちびたんく」のオーナー・小野さんから、お店のこだわりをいろいろと聞いてきました。


ちびたんく
小野 大仁 Daiji Ono
1977年新潟市東区生まれ。音楽系の専門学校に通いながら、ステーキハウスでアルバイトを始める。専門学校卒業後も音楽活動をしながらステーキハウスの店長として経験を積み、2017年に独立して新潟市東区で「ちびたんく」をオープン。中学生の頃からバンドをやっていてベースを担当してきた。
音楽活動をやりながら、ステーキハウスでアルバイト。
——まずはいちばん気になっていたことからお聞きします。店名の「ちびたんく」って、どういう意味なんですか?
小野さん:これは私が子どもの頃に父親からいわれていたあだ名です。当時は小さくて太っていたから「ちびたんく」って呼ばれていたんです。これって「小さい人」っていう意味の新潟弁じゃないのかな。年配のお客様はけっこう知っている人が多いですよ(笑)。自分にとって思い入れのある言葉だったから店名にしようと思ったんです。
——私はずっと新潟にいますが、初めて聞いた気がします(笑)。看板に描かれているキャラクターも気になりますね。
小野さん:あれは私の娘が描いてくれたんです。
——インパクトありますよね。家族ぐるみでやっているアットホームな雰囲気がします。
小野さん:そうですね。お店も私と奥さんのふたりでやっていますし……。彼女は専門学校時代の同級生なんですよ。
——そうなんですね。ちなみに専門学校というと料理の?
小野さん:音楽系の専門学校です。私は中学生のときからバンドでベースをやっていて、若い頃は音楽で食べていこうと思っていたんです。ちなみに奥さんは別なバンドでドラムをやっていました。
——ミュージシャン夫婦。小野さんが音楽を始めたきっかけは何だったんですか?
小野さん:仲間に誘われて始めただけです。じゃんけんで負けたから、誰もやりたがらなかったベースを担当することになったんですよ(笑)。でもベースやドラムってやっている人口が少ないから実はけっこう需要のあるパートで、他のバンドから誘われることも多かったですね。そういう意味ではベースをやっていてよかったと思いました。
——なるほど。ところでステーキの仕事はいつからやっていたんですか?
小野さん:ふらふらしている私を見かねて、父親が知り合いのステーキハウスで働かせてもらえるように頼んだんです。それでバンド活動をしながらアルバイトを始めました。
——ステーキハウスの仕事はどうでしたか?
小野さん:ちょうどそのお店の支店ができるタイミングだったので、入店して1〜2週間で仕事を覚えさせられていきなり支店の仕事をやることになったんです(笑)。その後は本店で店長をやっていました。当時覚えたことが今でも仕事のベースになっていますね。

お客様の顔を見ながら作るハンバーグやステーキ。
——「ちびたんく」をオープンしたいきさつを教えてください。
小野さん: 20年も働いていると「自分だったらこんなふうにやってみたい」っていう気持ちが出てくるんですよね。前いた店は席数が多くてどんどん作っていくっていうスタイルだったんですけど、私はもっと小さな店でお客様の顔を見ながら営業したいと思ったんです。それで2017年に「ちびたんく」をオープンしました。今年の8月29日に4周年を迎えます。
——それはおめでとうございます!今まで営業してきていかがですか?
小野さん:小さいお店なので、厨房からお客様が料理を食べている表情が見えるんです。その反応を見ながら、やりがいを感じたり反省したりしています。そういう意味では自分のやりたかった店をやることができていると思いますね。
——お客さんはどんな人が多いんですか?
小野さん:常連の方が多いです。地元の方もよく来てくれるんですよ。野菜のお裾分けをしてくれたりして(笑)。夫婦ふたりで店をやっているので、混んでくるとお客様をお待たせしてしまうことも多いんですが、常連の方は「自分は後でいいから」って言ってくれるんです。お客様にそんなことを言わせるのは情けないんだけど、つい甘えさせてもらってますね。
——そういうところもアットホームですね。
小野さん:でも料理を作るときは絶対に甘えちゃいけないと思っています。とにかく一品一品手を抜かず、ていねいに作るように心掛けているんです。よく来てくれる常連のお客様は手を抜いたら必ず気づくと思いますし、そうなったら二度と来なくなってしまうかもしれないですから……。いつも食べに来ている常連のお客様が、首をひねったらアウトだと思っています。

——そう考えると常連のお客さんって怖い存在でもありますね。ハンバーグはどんなことにこだわって作っているんですか?
小野さん:肉々しさを残すように気をつけています。粗めに挽いた合挽き肉を仕入れて、それをこねながら粗さを調整しているんです。あとは自家製のスパイスで下味をしっかりつけているので、上にかけるデミグラスソースはあっさりした軽めの味にしています。うちのハンバーグは鉄板の上でソースが肉汁と合わさって完成するんです。
——肉の美味しさを引き出す作り方をしているんですね。ステーキはいかがですか?
小野さん:ステーキも素材のオージービーフを引き立てるために、味付けはシンプルに塩コショウだけです。あとはお客様のお好みでワサビかニンニクで食べてもらいます。うちのステーキは肉がやわらかくて評判がいいんですよ。92歳になる常連の歯のないおじいさんが喜んで食べていってくれます(笑)

創業5年目を迎えて、これからやってみたいこと。
——創業5年目、これからやってみたいことってありますか?
小野さん:カウンター席を作りたいんですよね。うちの店ってカウンター席がないから、おひとりのお客様もテーブル席にお通しするんですよ。そうすると混む時間帯は待っているお客様が増えて、おひとりで食事をしているお客様が肩身の狭い思いをされるんです。

——たしかにひとり客にとっては、そっちの方が気を使わず食事できますよね。ところでテイクアウトメニューはやっているんですか?
小野さん:じつは新型ウィルスが拡大する前から、テイクアウトメニューは考えてきたんです。でも店で食べるクオリティを自宅で食べてもらうのって難しいんですよね。お客様が家に帰ってすぐ食べてくれるとも限らないし、時間が経てば経つほど味は落ちるし……。目の届かないところで食べてもらうのは心配なんですよ。店の味のまま召し上がっていただけるテイクアウトメニューができたら提供を始めたいですね。
——ご自分の料理に対してすごく責任感を持っているんですね。
小野さん:4年やってきてようやくお客様も定着してきたので、これからも調子に乗ったり手を抜いたりしないで、ていねいに料理を作っていこうと思っています。

お客さんの顔を見ながら営業できる、アットホームな店がやりたいという思いで始めた「ちびたんく」も4周年を迎えます。これからも美味しいハンバーグやステーキで、地元や常連の方はもちろん、たくさんのお客さんを楽しませてください。
ちびたんく
新潟県新潟市東区物見山3-2-24
025-384-0129
11:00-20:00
月曜他不定休
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