新潟土産の定番のお菓子というと、どんなものを思い浮かべますか? 笹団子、柿の種といったメジャーなものから、長く親しまれてきた和菓子、洋菓子まで、いろいろな商品が思い浮かぶと思います。今回紹介する「萬代庵(ばんだいあん)」は、新潟土産の「新定番」を生み出そうと挑戦している和菓子店です。ゼネラルマネージャーの長谷川さんに、挑戦への意気込みを聞いてきました。
株式会社WONE
長谷川 太郎 Taro Hasegawa
1986年新潟市西蒲区生まれ。新潟県内の大学を卒業後、アパレル企業を経て「株式会社WONE」に入社し、現在は渉外・店舗業態開発ゼネラルマネージャーとして腕をふるう。趣味はサッカー観戦でアルビレックス新潟を応援している。
——今日はよろしくお願いします。それにしても、ちょっと変わったお菓子ですね。
長谷川さん:古くから新潟で親しまれてきた「おはぎ」をイメージしてつくった「萬代餡(ばんだいあん)」という和菓子です。
——おはぎのような、餡菓子のような不思議な食べ物ですよね。どうして「おはぎ」をイメージしたんですか?
長谷川さん:笹団子やイタリアン、ポッポ焼きみたいに、新潟を代表する「定番」の商品ってあるじゃないですか。そういった新潟を代表する商品の、新しい定番を作り出したいと思ったんです。新潟といえばお米だし、お米を使った甘い食べ物ということで「おはぎ」を思いつきました。開発が進んでいくなかで、和菓子の伝統的な技術と味わいに現代的なエッセンスをプラスした「進化系和菓子」といえる「萬代餡」が誕生したんです。
——へ〜、どんなところが「進化系和菓子」なんでしょうか?
長谷川さん:一般的なおはぎとは違って、フルーツやナッツ、マスカルポーネチーズを使って、和菓子の味わいに洋菓子のエッセンスを加えています。ですから、ほっとした懐かしさのなかにも、今まで味わったことのない驚きがあるんですよ。
——温故知新といった感じの和菓子なんですね。ちなみにいちばん苦労したところは?
長谷川さん:餅や餡、フルーツ、マスカルポーネチーズを一緒に食べたときのバランスに苦労しましたね。試行錯誤を重ねて完成までに半年はかかりました。
——おお、結構時間がかかったんですね。原料にもこだわっているんでしょうか?
長谷川さん:もちろんです。お餅の原料になるお米には、新潟の新しいブランド米「新之助」を使っているので、お米の濃厚な味わいを感じていただけると思います。お餅は200年以上の歴史を誇る和菓子店と共同開発しました。
——新潟の新定番というだけあって、お米には強いこだわりがあるんですね。他にも新潟の食材を使っているんですか?
長谷川さん:新潟県産食材の魅力を県内外に広めたいという思いがあったので、できるだけ県産の食材を使うようにしています。現在12種類のフレーバーがありますが、餡と旬のフルーツの組み合わせは無限大といっていいので、今後は季節ごとの商品も続々と登場する予定です。
——そもそも新しいお店を始めようと思ったのは、どうしてなんですか?
長谷川さん:うちの会社はいろいろな飲食店を展開しているんですが、新型コロナウイルスの影響もあってテイクアウトの専門店もはじめることになったんです。そのなかで生まれたのが「進化系和菓子」という発想でした。
——店舗もお洒落で開放的ですね。
長谷川さん:ありがとうございます。もともと付き合いのあった大阪の業者さんにお願いして、新潟にはあまりないような「老舗モダン」をコンセプトに作ってもらいました。老舗の雰囲気を感じさせながら、現代的な感性を併せ持った空間にもなっているんじゃないでしょうか。それだけじゃなく「優しさ」も大切にしていて、誰からも親しまれる和菓子でありたいという思いが、この親しみやすい店舗デザインに表れていると思います。
——確かにやわらかさや温かみを感じます。ショーケースの中にはたくさん「萬代餡」が並んでいますね。まずひとつ食べてみようかな、という人へのおすすめを教えてください。
長谷川さん:一番ベーシックなスタイルの「こし餡×桃」はぜひ食べてみてほしいですね。人気があるのは「こし餡×ピスタチオ×いちご」です。餡、ナッツ、フルーツの組み合わせの楽しさを味わっていただきたいと思います。旬の食材を使っているので、シーズンごとに商品も変わります。そういったところも楽しみにしていただきたいですね。
——組み合わせは無限大、でしたね。この「萬代餡」の他にもおすすめはありますか?
長谷川さん:「POPPOYAKIフィナンシェ」は、新潟の人気B級グルメであるポッポ焼きをフィナンシェの形にアレンジした進化系の商品です。新型コロナの影響でお祭り行事もなくなってしまい、ぽっぽ焼きを食べる機会も減ってしまったせいか、とっても売れている商品です。
——へ〜、そんなところにも、新潟へのこだわりがあるんですね。ところで話を戻しますけど、「萬代餡」を作るときはどんなことにこだわっているんですか?
長谷川さん:機械は使わずに、ひとつひとつ丁寧に手づくりしていることですね。ですからお客様が多くて混んでいるときは、製造が追いつかなくなってしまうこともあるんです。大変申し訳なく思うんですけど、手づくりしている商品ということでご理解いただけるとありがたいですね。
——そんなにお客さんが来るのってすごいですね。まだオープンしたばかりですけど、今後はどんなふうに展開していく予定ですか?
長谷川さん:新しい店舗展開の予定はあります。今度はイートインスペースがあって、店内でお召し上がりいただけるような店を考えています。そして、いつかは「萬代餡」を、笹団子や柿の種と並んで新潟を代表する定番商品に成長させたいですね。
新潟の新しい定番商品をつくりたいという思いで誕生した「萬代餡」。色とりどりでお洒落な見た目は贈り物や手土産にもぴったりです。この新感覚の「萬代餡」が、いつか新潟を代表する新定番になるのが今から楽しみです。
萬代庵
新潟市中央区東大通2-2-9 トーカン万代第二ビューハイツ1F
025-383-8943
10:00-18:00
不定休