スパイスは、食べる薬。
新発田市「YOLO Spice」
食べる
2026.02.01
バックコーラスとしても活躍中のボーカリスト、JUDY.さんが、ご主人と営むスパイスカレーのお店「YOLO Spice」。オーソドックスな牛すじ煮込みカレーや激辛「牛タンのタイ風レッドカレー」などが楽しめます。現在と同じ場所で間借り営業をしたり、川崎で営業したりを経て、2025年にグランドオープンしました。お店のこととともに、コロナ禍や結婚、出産、子育て、人生の節目にJUDY.さんがどんな判断をしたのか、これまでのこと、いろいろとお話を聞いてきました。
JUDY.
(YOLO Spice)
1990年新発田市生まれ。音楽大学を卒業後、コーラスの仕事を中心にボーカリストとして活動。アーティストのレコーディングやツアーなどに参加する。2021年に新発田市のシェアスペースでカレー店を間借りで営業した後、コロナ禍が落ち着いた頃に関東に拠点を移す。2024年には川崎市で「YOLO Spice」を営業。2025年5月に新発田市に戻り、「YOLO Spice」をグランドオープン。スパイスカレー店と古道具店巡りが好き。
大物アーティストと
ともにステージへ。
――JUDY.さんは、ボーカリストとしても活動されているそうですね。
JUDY.さん:アーティストさんのツアーにコーラスとして参加したり、サポートメンバーとしてレコーディングに参加したりしています。事務所に所属するタレントさんのボイストレーナーをしていた時期もありました。でも正直に言うと、音大のボーカル科で学んでいたときから、はっきりビジョンを持っていたわけではなかったんです。
――てっきり小さな頃から「歌いたい」「歌手になりたい」と思っていたのかと。
JUDY.さん:そうではないんですね(笑)。音大に行くことは決めていて、受験ギリギリで専攻を変えました。高校時代は、田舎特有の狭いコミュニティが息苦しくて、「早く自由になりたい」と思っていました。とにかく地元を出たい、って気持ちが最優先で。在学中に、気の合う友達とユニットやバンドを組むようになってからは、「ステージに立ちたい」って夢を持つようになりました。それで卒業後もバイトをしながら歌う活動をしていたんですけど、ずっとしっくりきていなかったんですよね。悩んでいるときにバックコーラスの世界を知って、「これだ!」と思ったんです。「そうだ、私小学生の頃からハモることが大好きだった」って思い出して。
――やっぱりライブのステージに立つときは、気持ちが高まるものですか?
JUDY.さん:ステージのために集まってくださる皆さんのエネルギーは、ものすごいものがありますよ。「心待ちにしていた」「楽しみたい」って気持ちが、ステージの上にビシビシと伝わってくるんです。だからむしろ、私たちが元気をもらっているようなものですね。私の仕事は、ある意味、アーティストさんに憑依して自分の声を届けること。それがピタッとはまって会場に響き渡る瞬間は、何にも変え難い喜びがあります。会場の皆さんとステージにいる私たち、全員のエネルギーが一体になるんです。

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コロナ禍、結婚、出産。
ライフステージの変化と暮らし。
――そういった活動と並行して、カレーショップをはじめた理由というのは?
JUDY.さん:ツアーの合間に全国で食べ歩きをするくらい、スパイスカレーが大好きなんです。それがコロナ禍になって、ツアーどころか歌う仕事が一旦休止状態になってしまって。そのタイミングで、以前から関心のあったカレーのお店をはじめてみようと思ったんです。しかもせっかくなら、お米、お水、野菜が恵まれている新発田で。この店舗は、少し前までシェアスペースだったんですよ。2021年からしばらくここで「間借り営業」をしていたんです。でもコロナ禍が落ち着いて、音楽の仕事が増えてきたから、また関東に戻ることにして。結婚、出産をして、川崎で「YOLO Spice」を営む生活を送っていたんですけど、どうしたって、音楽の仕事と「YOLO Spice」、子育てのどれかをあきらめないと成り立たなかったんです。それもあって、新発田で暮らそうと決めました。岡山出身の夫も新発田を好きになってくれたし、子どもを預けられる環境があることが、私たちにはとても心強かったんです。
――そうでしたか。それで関東の暮らしと新発田での暮らし、どんな違いがありましたか?
JUDY.さん:関東は、お金を出せばなんでも手に入る豊かさがありますよね。それとは違う豊かさが、新発田にはあると思っています。びっくりしたのは、「新発田にいる方が物事が早く進む」と感じたとき。あれほど苦手だった地元のしがらみは、「コミュニティに協力体制がある」ってことなんですよね。何かを「したい」と発信すると、「それはあの人に頼めば大丈夫」「よく知っている人がいるから紹介する」と、近くにいる人がすぐに手を差し伸べてくれました。
――若いときとは、感じ方が変わったんですね。
JUDY.さん:こうなるなんて思ってもみなかったですよ(笑)。絶対、地元には帰らないと思っていたので。

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食べる薬、スパイスカレー。
最大の魅力は、自由であること。
――そもそも、スパイスカレーに惹かれたきっかけは何だったんですか?
JUDY.さん:スパイスカレーは「食べる薬」なんですよ。サポートミュージシャンって、アーティストさんと一緒に全国各地を移動するので、風邪を引く以上に、移動によるストレスや疲れをケアする必要があるんです。そういうとき、スパイスカレーを食べているかどうかで、ぜんぜん調子が違うことを実感して。それがスパイスに興味を持ったきっかけです。気分を高めるものや血流をよくするものなど、いろいろな効果があるんですよ。それらを新発田の恵まれた食材と融合させたら、すごくおもしろそうだと思いました。それに、スパイスカレーって自由じゃないですか。
――自由?
JUDY.さん:お家カレーに、大根やたけのこ、レモンを入れるなんて想像がつきませんよね。でもスパイスを使ったカレーには、レモンカレーがあったり大根やたけのこを入れたホワイトカレーがあったりして。いろいろなスパイスカレー屋さんが、伝統にしばられないカレーを作っていて、「とにかく自由でいいんだ」と思えるところにも惹かれました。
――「YOLO Spice」の定番メニューは何でしょう?
JUDY.さん:定番は、牛すじ煮込みカレー、ポークビンダルー、コーンキーマカレー、牛タンのタイ風レッドカレーの4種類。それと月替わりの期間限定メニューが1、2種類です。
――ポークビンダルーが、どんなカレーか気になります。
JUDY.さん:インドのゴア地方に、ワインビネガーでマリネしたお肉を使うカレーがあるんです。それをベースに、日本のエッセンスも入れたくて、梅酒に黒糖、黒酢を使って調理しています。
――コーンキーマカレーは?
JUDY.さん:もともとは「子どもカレー」として出していた、ミートソースみたいにマイルドなカレーです。注文されるお客さんが多いので、レギュラーメニューにしました。
――牛タンのタイ風レッドカレーには、「激辛」と添えてありますね。
JUDY.さん:川崎店時代に中毒者が続出して、週に何度も「牛タンのタイ風レッドカレー」を食べに来る方がいらっしゃいました。けっこう辛いのでメニューに加えるかどうか迷ったんですけど、今年から思い切って定番の味にしてみました。

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自分の心に素直に生きる、
贅沢な人生。
――アーティスト活動とカレーショップ、ぜんぜん違うお仕事だと思うんですが、何か感じたことはありますか?
JUDY.さん:「YOLO Spice」をはじめて、「ごちそうさま」「ありがとう」「おいしかった」と言われることが、こんなにも嬉しいんだってわかりました(笑)。友達にお料理を振る舞うときの喜びとも、またぜんぜん違うものがあります。皆さんの言葉に救われています。
――ふたつのお仕事のバランスの取り方とか、気持ちの切り替えとかって、どうされているんでしょう?
JUDY.さん:特に意識していることはないですかね。料理と歌、スイッチが違うみたいで(笑)。たぶん私、どちらかひとつだけだったら心も頭も煮詰まっちゃうと思うんですよね。両方あるから生きていられるんだろうな、って気がしています。
――今後はどんなことをやってみようと思っていますか?
JUDY.さん:今までは急発進、急ハンドルで歩んできた人生で、新発田に戻ってくるときは「ここからさらに加速するぞ」という気持ちでした。でもここで生活してみて、自分の中から生まれてくる感情に嘘をつかないでいられるってなんて贅沢なんだろう、と気づいたんです。お客さまに喜んでもらいたいし、イベントでも私たちのカレーを食べてもらいたい。それはひとつの大きな軸なんだけど、自分の感覚に嘘をつかずに過ごしたいとも思うようになって。そうして暮らしているから生まれてくる「何か」をどんどんアウトプットしていこうと思っています。
――リラックスした毎日を送っていらっしゃるのかな、と思いました。
JUDY.さん:そうですね(笑)。今までは余白の「よ」の字もなく生きてきたので。常にふるいにかけられる人生だったから。それも素敵なんだけど、その分、自分を犠牲にしたり、心に蓋をしてきたりしたときもあったので。素直に生きるって、ほんとう、贅沢ですね(笑)

YOLO Spice
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