国道352号線を海岸線に沿ってドライブしていると、石地海岸を過ぎたあたりで子供の絵が描かれた塀が見えてきます。その塀に囲まれた施設が本日ご紹介する「日本海 石地わさび園」。こちらは「わさび園」の中でも珍しい「海岸沿いにあるわさび園」です。里山や沢で栽培するイメージが強いわさびを、なぜ海のそばで育てているのか。管理を担当している種村さんにお聞きしました。
日本海 石地わさび園
種村和則 Kazunori Tanemura
1980年南魚沼市生まれ。株式会社土佐工務店 常務取締役。工務店での不動産業とわさび園管理の両方を担当している。おいしいものを食べ歩くのが趣味で、特にラーメンには目がない。もちろんわさび好き。
――いきなり素朴な疑問からお聞きします。なぜ海のそばでわさび栽培を始めたんですか?
種村さん:ここは会社(株式会社土佐工務店)の遊休地だったんです。2011年ころ、この土地を使って何かはじめようということになって、最初は米の栽培を考えたんですが、やっているところがたくさんあったので、「どうせやるなら他がやってないことをやらないとインパクトがない」と思って調べてみると、当時、新潟県内わさび生産量がたった200kgしかないことがわかりまして…。本来、わさび栽培は山の中の沢とかでやるのが普通なんですが、海側でやるのは珍しいだろうという話になったんです。
――どのようにわさびを栽培しているんですか?
種村さん:ミネラル豊富な地下水を井戸で汲み上げまして、拡散塔の中で泡立たせる要領で水に酸素を含ませるんです。そのようにして酸素を多く含んだ水を使って、ビニールハウスの中でわさびを栽培しています。
――栽培する上で大変なことはありますか?
種村さん:気温や水の問題もありますが、この土地ならではの問題がありますね。石地海岸からいくらも離れていないこの場所には、海風がもろに吹きつけるんです。冬には風速20mの強風になることもあります。そうすると、ビニールハウスが吹っ飛んでしまいます。それにわさびは海水に弱いので、風に乗った海水が隙間からハウスに入って、わさびにかかってしまうと一気に弱ってしまうのです。そのため、施設の周囲やハウスのまわりを要塞みたいな塀で囲っているんですよ。
――わさびの取り扱い方で注意することはありますか?
種村さん:保存するときは水分が抜けないように気をつけます。キッチンペーパーなどで包んで、その上からラップをかけると3週間くらい持ちますね。水につけると辛い成分が水に溶けて、辛さが抜けてしまいます。特に葉わさびは抜けやすいので注意が必要です。あと、砂糖をつけると辛味が強くなるんですが、じつはこれ錯覚なんです。スイカに塩をつけて食べると甘く感じるように、わさびに甘い砂糖をつけることで舌が錯覚を起こし、辛味を強く感じるようになるんです。
――栽培したわさびはどうするんですか?
種村さん:うちのわさびは飲食店に卸していますよ。「料理の鉄人」に出演していた某人気料理人のお弟子さんがやっているお店にも卸しています。「新潟のわさびは鮮度が長持ちする」と評判がいいんです。水や環境で性質も変わるんでしょうね。あとは店頭販売したり、加工品を作る材料になったりします。
――そういわれると、わさびの商品がいっぱいありますね
種村さん:オリジナルわさび商品だけでも50アイテムあります。限定商品のわさび漬を別格とすると「わさび塩」「わさび屋さんのわさびのり」「わさび羊羹」が人気商品ですね。「わさび塩」は私もおすすめで、肉料理などにもよく合います。ぜひ試してみてください。
――わさび製品だけではなく、わさびメニューもあるんですか?
種村さん:こちらで召し上がっていただけます。「わさび丼」や「わさびそば」が人気ですね。「わさび丼」は結構辛いので、慌てて掻きこむとむせちゃいます(笑)それでもみなさん完食してますね。
――うわっ!けっこう辛いですね!
種村さん:「わさびソフト」で口直しをどうぞ(笑)こちらは辛さを抑えて、わさびの風味とソフトクリームの口当たりが絶妙なバランスですよ。夏の週末には1日600本くらい売れている人気商品です。
――おもての池に魚がいますね?
種村さん:ニジマスです。あの池は土日限定の釣堀になっていて、釣った魚は焼いて食べることができるんです。バーベキューを楽しむこともできますし、ミニジープで場内を走り回ることもできます。ここには今後、オートキャンプ場を作る予定なんです。また、わさびの他に南国フルーツの栽培も始めます。ゆくゆくはご家族で南国フルーツの収穫も楽しんでいただけるようにしたいです。
あまり知られていない、海岸沿いにたたずむ「わさび園」。ここでしか味わえないわさびメニューをいろいろ楽しませていただきました。これからの季節は特に「わさびソフト」、おすすめですよ。もちろん、お土産に「本生わさび」を買っていくのもGOOD。
わさび丼(みそ汁付) 550円
わさびそば 700円
わさびソフト 350円
本生わさび(1本) 300円〜2,500円
わさび塩(中65g) 550円
わさび屋さんのわさびのり 550円
わさび羊羹(1本) 600円
日本海 石地わさび園
柏崎市西山町大崎1788-6
0257-47-7028
[1月~6月・10月~12月] 10:00~16:00 / [7月~9月] 10:00~17:00 / 月木曜休(祝日は営業)