Things

「部屋と人。#102 成沢闘己」

人間ひとりひとりの個性や性格、人柄をあらわす唯一無二の場所、それが「自分の部屋」。世の中に「似ている部屋」や「同じ間取りの部屋」は数あれど、まったく同じ部屋というものはひとつも存在しません。『部屋と人。』では、私たちと同じ新潟に暮らす人たちの、こだわりの詰まった「自分の部屋」をご紹介します。なかなか見ることのできない「他人の部屋」、ちょっと覗き見してみましょう!(毎月第1金曜日更新予定)

 

第2回は、農協職員の成沢闘己さんのお部屋。多様なメディアが身近にある現代では、自分の欲しい情報をいつでもどこでも、短時間で収集することができます。インテリアの情報も、いろんなところからキャッチできますよね。そのなかでも成沢さんは「映画」から部屋作りのヒントを得ることが多いんだとか。いったいどんな空間なのでしょうか。新潟市内の実家で暮らす成沢さんのお部屋にお邪魔してきました。

 

 

企画/プロデュース・北澤凌|Ryo Kitazawa
イラスト・桐生桃子|Momoko Kiryu

 

――それではまず、成沢さんがインテリアに興味を持ったきっかけから教えてください。

「僕の場合は映画です。小さい頃におばあちゃんから毎週のように映画館へ連れて行ってもらっていたこともあって、映画は昔から身近な存在でした。年を重ねていくにつれて登場人物のファッションやインテリアにも魅力を感じるようになって、だんだん雑誌やネットで調べるようになったり、実際に気になる家具を買ってみて部屋作りについて考えてみたりするようになりました。」

 

――ちなみに映画を観る頻度ってどのくらいなんですか?

「学生の頃は年に150本は観ていました。社会人になってから時間が取りづらくなっちゃいましたけど、いまでも週に1,2本は映画を観ます。」

 

――酷なことを聞きますが一番好きな映画は?

「う~ん、いっぱいありますね(笑)。部屋にもポスターが飾ってあるんですけど、ジム・ジャームッシュ監督の『COFFEE AND CIGARETTES』は好きです。監督の作品はたぶん全部観ているんですけど、なかでもこの作品は再上映会へ行ったりBlu-rayを持っていたりするほど好きですね。」

 

 

――では部屋についての質問へ移りますね。この部屋はどんなテーマで作ったんですか?

「ミッドセンチュリー期ならではのカラフルでポップな雰囲気に北欧のインテリアから感じるアートなテイストをかけ合わせることを意識しました。」

 

 

――部屋作りをしていくなかで特に気をつけたところってありますか?

「部屋全体のカラーバランスを取るのが難しかったです。最初は青と赤だけの部屋にしようと思って作りはじめたんですけど、それだと色の主張が強くなりすぎることに気がついて少しずつオレンジやサーモンピンクのアイテムも取り入れることにしたんです。結果的にポップな雰囲気を出しつつ調和の取れた色合いにできたんじゃないかと思います。」

 

――もし部屋作りで参考にした映画とかあれば教えてください。

「2本あって、ひとつは『ビック・リボウスキ』という映画です。主人公の住んでいる部屋は生活感が溢れすぎていて一見オシャレには見えないんですけど、よく見ると家具それぞれに目を惹くようなデザインがされていて、そのさりげなさが粋だなと思えるんですよね。もうひとつが『友だちの恋人』という映画です。作中に天井、壁、床の全部が真っ白な部屋が出てくるんですけど、そこにヴィヴィットな色のカーテンや花があったり、住人の着ている服や飲んでいるジュースが差し色となって際立って見えたり。どちらの映画も色のバランス次第で印象が大きく変わるということを教えてくれました。」

 

――この部屋のこだわりのものについても教えてもらえますか。

「まずは中央にある赤いトライバルラグです。さっき話に出た『ビック・リボウスキ』という映画を観て以来、自分の部屋にも赤いラグが欲しくなってようやく見つけた理想のアイテムなんです。デザインを見てみると赤のなかに青と白、ピンク色も混じっていて部屋の統一感も取れつつ、存在感もあるところが気に入っています。」

 

 

「次はマルセル・ブロイヤーというデザイナーが作ったチェスカチェアです。4,5年前に雑誌で見つけて以来ずっと欲しかったものなんですけど、即完してしばらく入荷待ちみたいなことが続いていて少し前にようやく手に入れることができました。基本的にポップな雰囲気を大切にしているんですが、このインダストリアルな家具を入れることで部屋に絶妙なアンバランス感が生まれるんですよね。」

 

 

「この一角は青をベースカラーにしつつ好きなものを集約した場所です。前に軽井沢にある『アンシェントホテル』で泊まった部屋がモルタル調の壁に青の家具や寝具が置かれているという内装だったんです。そこにかなりインスパイアされてこのスペースを作りました。左に飾られている絵はロナン・ブルレックというアーティストが描いた絵で、初めて見たときのインパクトがすごくて一目惚れして買いました。」

 

 

「普段、デスクは作業する場所として使っているんですけど、ただ黙々と作業をするより、少しでもリラックスできるような余白が欲しくって植物とウッドのような匂いのするお香やパロサントを置きました。」

 

 

――成沢さんは部屋作りを本格的にスタートしてから何か心境の変化ってありましたか?

「もともと家や自室で時間を過ごすことが好きだったんですけど、部屋作りをはじめたのは実はここ最近なんですよ(笑)。きっかけはコロナ禍でした。部屋で過ごす時間がより増えたことで改めて自分のいる空間について考えさせられて、それでもっと自分が好きだと思える場所を作りたいなと思ったんですよね。いまでは毎日飽きることなく、新鮮な気持ちで部屋に帰ってきますよ。」

 

――コロナ禍も明けて旅行に出かけたりする人も多くなりましたが、いま一番行ってみたい場所は?

「岐阜県にある『フィン・ユール・アート・ミュージアムクラブ』という場所に行ってみたいです。デンマーク出身のフィン・ユールってデザイナーの自宅を再現した場所で、北欧の生活様式や文化を学ぶ目的で作られた場所らしいんですよね。軽井沢へ行ったときもそうでしたけど、見るだけじゃなくて実際に行ってその場で感じて知ることってやっぱり大事だと思っています。」

 

僕もこれまで映画からいろんな影響を受けてきました。いまこうやって企画を立てて実現したいと思うようになったのも、幼少期の頃に母と一緒に観た映画があったからこそです。闘己(成沢さん)とは通っているセレクトショップが同じで、会えばふたりでよく映画の話をしていますが、インテリアについて深い話を聞くのは今回が初めてでした。実際に部屋を見ながらどの映画のどんなところをサンプリングしたのか、そんな話を聞くのはとても新鮮で、改めて自分も映画を見返したくなりました。これからまた彼の部屋がどんなふうに変わっていくのか楽しみです。(byキタザワリョウ)

アフィリエイト広告

  • 部屋と人
  • She
  • 僕らの工場
  • 僕らのソウルフード
  • Things×セキスイハイム 住宅のプロが教える、ゼロからはじめる家づくり。


TOP