「このパスタに、あのパスタのトッピングがついていたらいいのに」とか、「このパスタを食べたいのに嫌いなトッピングがついている」とか思ったことがある人はいませんか? そんな思いに応えた、自分好みのパスタを楽しめる「ぱすた屋タバシ」が新発田にオープンしました。オーナーの松永さんからお店をはじめたいきさつや、カスタマイズできるパスタメニューについてお話を聞いてきました。
ぱすた屋タバシ
松永 渉 Wataru Matsunaga
1987年新発田市生まれ。東京の大学を卒業後に大学院へ進学。1年間の海外生活を経て新発田に帰り、携帯ショップ、イタリアンレストラン、居酒屋、ホテルなどで働く。2020年にカフェをオープンし、2023年に「ぱすた屋タバシ」としてリニューアルオープン。食への好奇心が強く、変わった食べものを見ると食べてみたくなる。
——松永さんはずっと飲食業に携わってこられたんですか?
松永さん:食への関心は強い方ですけど、飲食業に興味があったわけではないんです。むしろ漫画家を目指していて、東京の大手出版社に原稿の持ち込みをしていました。でも何人かの編集者さんと話しているうちに、好きな漫画を仕事にすることが自分には向いていないと気づいたんです。
——あらら……。その後はどうされたんですか?
松永さん:ずっと漫画家になる夢を追い続けてきたので、それを諦めたら急に自分のやりたいことがわからなくなってしまって……。自分はサラリーマンに向いていないし、人が集まる場所で働きたいと思ったので、カフェを経営しようと思うようになりました。
——じゃあ、飲食関係の仕事に就いたんでしょうか?
松永さん:でもリーマンショックの影響もあって就職するのが難しい時期だったんです。そこで、とりあえず大学院に進むことにしたんですけど、やりたいことがあったわけでもなかったので、充実感のない日々を過ごしていました。そのときに親からの勧めもあってオーストラリアのメルボルンへ渡って、英語学校に通った後に現地のレストランで働き始めました。
——海外生活はいかがでした?
松永さん:僕はもともと人見知りで人付き合いにコンプレックスがあったんですけど、英語学校には世界各国の人たちが集まっていたので、友人がたくさんできました。友人を集めて何度もバーベキューをやっているうちに、すっかり「バーベキューの人」として有名になってしまって、街を歩くだけで声をかけられるようになりました(笑)
——それはすごい(笑)
松永さん:挙げ句の果てには友人が友人を呼んで、バーベキューに100人近く集まってしまったこともあったんですよ。最初は「どうしよう」と戸惑いましたが、なんとか無事に開催することができたので、「やってみればなんとかなる」という精神を学びましたね。
——帰国後はどうされたんですか?
松永さん:地元で働き出したんですけど、30歳を目前にして、やってみたかったカフェのオープンに向けて動きはじめることにしました。「新発田創業塾」に参加して創業に向けての勉強をしたり、イタリアンレストランや居酒屋、ホテルなどでアルバイトをしながら経験を積みつつ創業資金を貯めました。
——カフェをオープンするために、着々と準備を進めていったんですね。
松永さん:それからカフェをはじめる前に自分のモチベーションを高めたかったので、3ヶ月間海外の国々を旅行して回ったんです。アメリカ、ベトナム、インドネシア、イタリア、スペインを巡って、コーヒー農園やスターバックス1号店にも足を運びました。帰国してからもいろいろな不安はあったんですけど、「なんとかなる」の精神でカフェをオープンしたんです。
——念願のカフェをオープンされてみていかがでした?
松永さん:コーヒーを売りにしていたんですけど、なぜかランチメニューとして提供していたパスタの評判がよかったんです(笑)。それでコーヒーよりもパスタのニーズを強く感じたので、「ぱすた屋タバシ」をオープンすることになりました。
——豊富な種類のパスタとトッピングを組み合わせて、自分好みにカスタマイズできるシステムが新鮮ですよね。
松永さん:本場イタリアのパスタって、とにかく種類が豊富なんです。パスタをメインにするんだったらいろいろなパスタを紹介したいんですけど、あんまり種類がたくさんあるとお客様も混乱しちゃうんじゃないかと思ったので、パスタとトッピングの組み合わせを選べるというシステムにしたんですよ。パスタではちょっと珍しいかもしれませんけど、カレーやラーメンでは当たり前にやっていることですからね。
——ついついトッピングを増やしてしまいそうですよね。
松永さん:トッピングはほとんど原価で提供させていただいているので、ご自由にパスタとの組み合わせを楽しんでいただきたいですね。
——このシステムに対して、お客さんの反応はいかがですか?
松永さん:新鮮に感じたのか、オープン日から想像を超える数のお客様が食べに来てくれています。
——自由にトッピングできるパスタってワクワクしますし、行ってみたくなるお客さんも多いと思います。
松永さん:ただ、もともとカフェだったお店の厨房を使ってひとりで作っているので、どうしても提供するまでにお時間をいただいてしまうんです。ですので、お客様には必ず待ち時間をお伝えするようにしています。
——それはでも、待つ側にしてみたらありがたいことですよね。
松永さん:無理にお客様をお店に詰め込むようなことはしないで、時間に余裕があるお客様にはお待ちいただくようにしています。そうすることでスタッフもストレスを感じず、余裕を持って働くことができるんです。
——自分好みのパスタが食べられるので、お客さんにとっては嬉しいシステムだと思うんですけど、作っている松永さんは大変じゃないですか?
松永さん:そう思われるかもしれませんけど、実は作る側も楽しいんです。いろいろなパスタを作ることができるので、いつも新鮮な気持ちで料理できるんですよ。思いがけずお洒落なパスタが出来上がったりすると、オススメメニューに採用させてもらうこともあります(笑)
ぱすた屋タバシ
新発田市新富町1-1-3
0254-28-1278
11:30-17:00
水曜休