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毎日の食事に取り入れたい、三条市「Boulangerie Marron’A」のパン。

東三条駅近くの住宅街に、青いテントが可愛らしいパン屋さんがあります。今年6月にオープンした「Boulangerie Marron’A(ブーランジェリーマロナ)」です。ハード系のパンが並ぶなか、店主の小栗さんが特におすすめするのは、食パンやバゲットなどの食事パンなんだとか。小栗さんがお店をはじめるまでの経緯や、パンへのこだわりについて聞いてきました。

 

 

Boulangerie Marron’A

小栗 豊尚 Toyohisa Oguri

1986年三条市生まれ。長岡の専門学校を卒業後、「ホテルオークラ神戸」に就職。製菓製パン部門で3年間働いた後、新潟に戻り「ホテルオークラ新潟」で7年間勤め主任まで経験。その後「カーブドッチワイナリー」の製パン部門に入り7年間勤める。今年6月に三条市で「Boulangerie Marron’A」をオープン。

 

パン屋さんを目指したきっかけは、高校時代に好きだったメロンパン。

——小栗さんはどんなきっかけでパン屋さんを目指されたんですか?

小栗さん:三条市ってパン屋さんが多いこともあって、パンはずっと身近にあるものだったんです。私は加茂高校の出身なんですけど、近くに「千代田ベーカリー」というパン屋さんがあって、そこの紅茶メロンパンが大好きでよく食べていたんです。店内に入ったらすごく紅茶の香りがするんですよ。その頃から「パン職人になりたいな」って思いが芽生えてましたね。

 

——これまではどんなところで修業されてきたんでしょう。

小栗さん:専門学校を出てからは「ホテルオークラ神戸」に入社して、製菓製パン部門で3年間働きました。ホテルの朝食から宴会婚礼まで、すべてのパンを作っていて、食事の一部になるような、味が濃すぎず甘すぎないようなシンプルなパンの作り方を学びました。

 

——そこでの経験が小栗さんの基礎になっているわけですね。

小栗さん:それから新潟に戻って来まして、「ホテルオークラ新潟」に7年間勤めました。神戸のときは同じ部門に7、8人くらいスタッフがいたんですけど、新潟には3人しかいなかったんですよね。ひとりでいろんな持ち場の仕事をやらないといけないので、それはそれで面白かったですね。

 

 

——じゃあ、ホテルで10年間パン作りをされていたわけですね。

小栗さん:その後は「カーブドッチワイナリー」の製パン部門で働きました。巻でパンを作って、ワイナリー内のレストランや「カーブドッチとやの」「カーブドッチ BBカフェ」などの系列店に卸していましたね。入って1年で巻から鳥屋野に異動になって、責任者として「カーブドッチとやの」を任されることになったんです。そこで人の動かし方を学びました。鳥屋野で3年、その後また巻で3年働いたので、7年いたことになりますね。

 

——「カーブドッチ」での経験も、小栗さんが作るパンに影響しているんでしょうか。

小栗さん:それまではホテルブレッドしか作ったことがなかったんですけど、「カーブドッチ」ではシンプルなパンでもしっかり焼き込むから、すごくかっこいいパンだなと思いました。国産小麦や自家製の天然酵母との出会いもあって、パン作りの幅がすごく広がりましたね。

 

材量や酵母にもこだわった、小麦を味わうハード系の食事パン。

——では「Boulangerie Marron’A」のことについて教えてください。外観も素敵ですよね。

小栗さん:大きなガラス張りにして、店内から外が見えるようにしたかったんですよ。青テントと白い壁で清潔感を出して、壁の模様は「神戸異人館」の石畳みをイメージして取り入れました。

 

——パンはバゲットやカンパーニュ、食パンなど、小栗さんがこれまで作られてきたような食事パンが中心のようですね。

小栗さん:メロンパンやクリームチーズが入ったパンなどもありますが、やっぱり毎日食べていて飽きが来ないのは食事パンだと思いますし、いろんな食事の付け合わせとして食べていただきたいなと思っています。どのパンもそうなんですけど、小麦の香りが引き立つように砂糖の量を極力少なくしています。水分は多くしているので食感はふわふわもちもちなのと、水分がパンの老化を防ぐので、買った2日後くらいまで楽しんでいただけると思います。

 

 

——食事パンのなかだと、人気なのはどのパンですか?

小栗さん:人気なのは食パンですね。「シンプルパン」という名前ですし、ワンローフ型なので、バゲットと間違われるんですけど、これがうちの食パンなんです。どんな方でも食べていただけるように乳製品を使っていなくて、代わりに米油とオーツミルクを入れています。「シンプルパン」という名前ですけど、こだわりだらけなんです(笑)。それと、私のおすすめはバゲット。小麦粉と塩と自家製酵母だけで作っているので、小麦の味をよく感じてもらえると思います。

 

 

——自家製酵母を使っているんですね。

小栗さん:うちではレーズンから起こしたレーズン種を作っています。「液種(えきだね)」といわれているもので、レーズンをお湯で洗った洗い汁で酵母を培養していくんです。液の上にシュワシュワと出ているのが酵母ですね。これがパンを膨らませるんですよ。よかったら味見してみますか?

 

——え、酵母って味見できるんですね。いただきます……甘くて美味しいです! 驚きました。

小栗さん:そう、美味しいんですよ(笑)。お湯とレーズン、砂糖を使って、1週間かけて材料を足したり混ぜたりしながら作っていきます。ここは空間が新しすぎるようで酵母がなかなかできなくて、最初のうちは苦労しましたね。この酵母を種継ぎしながらずっと使っていくことになるので、私の宝物ですよ(笑)

 

3食のうちの1食でも、パンを取り入れてもらえたら嬉しい。

——お店をはじめて2ヵ月ですが、初めて自分のお店を持ってみていかがですか?

小栗さん:リピーターになってくださるお客様もいて、いつも決まってシンプルパンを買う方、カンパーニュを買う方と、いちばん目立たせたかった食事パンを気に入っていただいているようですごく嬉しいです。

 

——毎日食べる食事の一部として、こちらのパンが食卓に取り入れられているんでしょうね。

小栗さん:パンがご飯と同じくらいの位置づけになってくれたらいいなって思います。私もご飯が好きなんですけどね(笑)。夕食に合うようなパンもおすすめできますし、3食のうちの1食でもパンを取り入れていただけたら嬉しいです。

 

 

——これからどんなお店にしていきたいですか?

小栗さん:「三条にこういうパン屋さんがあるんだな」って根付いて欲しいですし、自分がやっていきたことを伝えていきたいですね。そのためにも変わらない仕事をし続けなければいけないなと思います。私、お店をやっていて楽しいんですよ。だからお客様にも楽しんでいただけるお店にしていきたいですね。

 

 

 

Boulangerie Marron’A

三条市東三条2丁目11-18

営業時間 9:30-17:00

定休日 日月火

※掲載から期間が空いた店舗は移転、閉店している場合があります。ご了承ください。
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