以前、新潟市秋葉区の「らーめん高野」があった場所に「岡ちゃん」という新しいお店がオープンしました。前店で人気メニューだった「モツラーメン」も引き続き提供している様子。でも看板には「Produced by 食堂 吉田屋」と入っているので、「食堂 吉田屋」が関わっているようでもあり……。いろいろ気になる点が多いこのお店にお邪魔して、店長の須藤さんにお話を聞いてきました。
岡ちゃん
須藤 優斗 Yuto Sudo
1989年埼玉県で生まれ、新潟県新発田市に移り住む。電気工事士と配管工を兼ねた仕事からカフェに転職し、居酒屋、ダイニングバーなどを経験。30歳を前に「食堂 吉田屋」グループに入社し、ラーメンをはじめとした中華料理の調理を学ぶ。2023年に「岡ちゃん」をオープン。ファッションが好き。
——ここって、以前は「らーめん高野」さんでしたけど、何か関係はあるんですか?
須藤さん:「らーめん高野」さんとは面識がないんです。僕は中華食堂やラーメン店を展開している「食堂 吉田屋」グループで働いていて、暖簾分けのかたちでこちらのお店を任せてもらうことになったんですよ。
——それで看板には「Produced by食堂 吉田屋」と書かれているんですね。「食堂 吉田屋」さんでは長い間働いてきたんでしょうか。
須藤さん:5年くらいですけど、大変お世話になりました。本格的に調理経験を積んだのも「食堂 吉田屋」からなんですよ。
——その前はどんな仕事をしてきたんですか?
須藤さん:最初は電気工事と配管の仕事をやっていたんですけど、元々人が好きだったので接客の仕事をやりたくてカフェに転職したんです。飲食店のグループ会社に就職したので、カフェ以外にも居酒屋やダイニングバーなんかも掛け持ちして働いていました。
——いろいろなお店を経験されたんですね。「食堂 吉田屋」グループで働きはじめたいきさつを教えてください。
須藤さん:働いていたカフェが倒産してしまったので、アルバイトを転々としながら職探しをしていました。でも、なかなか条件に合う職場が見つからずに苦労していたときに、「食堂 吉田屋」グループのスタッフ募集ポスターを目にしたんです。
——そのポスターを見て応募したわけですか。
須藤さん:ポスターに掲載されていた写真の男女が、とっても感じ良かったんですよ。僕はてっきりそのふたりが経営者夫婦だと思っていたんですが、面接に現れた経営者はまったく違う人でした(笑)
——須藤さんって、なかなか純粋な方なんですね(笑)。「食堂 吉田屋」ではどんな仕事をしたんでしょう?
須藤さん:今までの飲食店では接客をメインに調理補助程度しかしていなかったので、本格的に調理の仕事をはじめることになりました。調理経験がなくっていちばん仕事ができなかったので、営業が終わった夜中に塩を入れた中華鍋を振る練習を重ねたんです。疲れてそのまま寝てしまい、起きたら夜中の1時、2時なんてこともありましたね。でも頑張って練習を積んだおかげで調理の技術は上達して、1年半経った頃には店長として本店を任せていただけました。
——たった1年半で店長に昇格ってすごいですね。その経験は「岡ちゃん」にも生かされているんでしょうか。
須藤さん:そうですね。とりあえず「食堂 吉田屋」の頃から僕が心がけてきたのは「安くて美味しいものをお腹いっぱい食べてもらいたい」っていうことなんです。これは今も守っているというよりも、よりパワーアップしているかもしれません(笑)
——ラーメンだけじゃなくって、丼や定食みたいに幅広いメニューを提供しているんですね。
須藤さん:最初は本当にラーメンメニューだけで、種類も少なかったんです。でも住宅街にあってファミリー層のお客様も多いので、メニューの種類が豊富で選ぶ楽しみがあった方がいいと思って増やしました。これでもまだまだ少ないと思っているんですけど、人手が足りなくてこの数が限界なんです(笑)
——メニューの中で気になるのが「味噌モツラーメン」です。これは、以前ここで営業していた「らーめん高野」さんの看板メニューでしたよね。
須藤さん:そうなんです。最初は提供する予定がなかったんですよ。僕もモツを扱ったことなかったんで(笑)。でも「モツラーメン」が食べたくて通っていたお客様もいたんだろうから、お店がなくなって食べられなくなったら寂しいだろうなと思ったんです。そこでリスペクトの意味も込めて「味噌モツラーメン」として復活させました。
——「味噌モツラーメン」を生み出すにあたって、苦労したことはありました?
須藤さん:これまでモツを使ったことがなかったので、苦労だらけでした。でも主役のモツにはこだわって、臭みを抑えて柔らかく仕上がるよう手間をかけています。スープが濃厚で麺はもっちりと太いので、トッピングもそれに負けないようボリュームを出すようにしていますし、モツはもちろんキクラゲも大きめにカットして、存在感を出すようにしているんですよ。
——お話だけでも苦労が伝わる気がします。他にも大変だったことはありますか?
須藤さん:前のお店は昼間しか営業していなかったようで、最初のうちは夜にお店を開けていてもお客様が来なかったんですよ。夜に営業するのをやめようかと思うほどだったんですけど、頑張って続けているうちに少しずつお客様が増えてきて、今ではお酒を飲みに来る方も多いです。メニューにない料理のリクエストに、できる範囲で対応することもありますよ。
——まるで居酒屋じゃないですか(笑)
須藤さん:そうですね(笑)。僕は人と接することが好きで飲食業をやってきたので、お客様との距離が近い今のスタイルがとても楽しいんです。お客様が満足してくれることが何よりも嬉しいんですよね。
——「お客さんの満足」が須藤さんの満足でもあるんですね。
須藤さん:唐揚げを揚げていると、ときどき小さめな唐揚げがあるんです。そんなときには数を増量してしまって、スタッフに叱られたりしています。学生のお客様がふたりで唐揚げ丼ひとつとサービスライスを頼んでも全然構いません。その分お腹いっぱい食べて、しっかり勉強してくれたら嬉しいですね。
——張り紙を見ると、調味料のリクエストにも細かく応えているんですね。
須藤さん:本当はもっと種類を増やしたいんです。「タルタルソース」もつけようとしたんだけど、さすがにスタッフから止められてしまいました(笑)
——サービス精神の鬼ですね(笑)。今後はどんなふうに営業していきたいと思っていますか?
須藤さん:まずは「岡ちゃん」の知名度を上げて、たくさんの方々に足を運んでいただけるお店に育てたいですね。その後は2号店を出せたらいいなと思っています。せっかく「食堂 吉田屋」から暖簾分けしていただいたので、大きく育てていきたいです。
——独立を考えることはないんですか?
須藤さん:独立はあんまり考えていないですね。むしろ「吉田屋」さんには拾って育てていただいた恩がありますので、しっかりと恩返ししていきたいと思っています。
岡ちゃん
新潟市秋葉区車場4-2-18
025-311-5032
11:00~14:30/17:30~20:30
不定休