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シンプルなロールケーキが人気。荻川の「PATISSERIE Lien」。

今年の7月、秋葉区荻川にオープンした「PATISSERIE Lien(パティスリー リヤン)」。店内に入るとバターの甘い香りが漂ってきて、なんとも満たされた気持ちになりました。こちらの看板商品「リヤンロール」は、店主の笠井さんが考えに考え抜いた自慢の味。どんなところにこだわっているのか、こっそり教えてもらいました。

 

PATISSERIE Lien

笠井 雄太 Yuta Kasai

1988年新潟市生まれ。にいがた製菓・調理専門学校えぷろん卒業後、西区の「ガトーシェフ三昧堂」、五泉市の「渡六菓子店」、西蒲区の「ラ・パティスリー プレジール」で経験を積む。2024年、秋葉区荻川に「PATISSERIE Lien」をオープン。釣りが趣味。

 

お世話になった場所、お世話になった人たちへ。

――今年の7月にオープンしたばかりだそうですね。おめでとうございます。

笠井さん:ありがとうございます。今は不安と「やってやるぞ」って気持ちが入り混じっています。以前お世話になった社長から「経営は荒波の中、やっとの思いで船にしがみついているようなものだ」と言われたことがあるんです。今まさにそれを実感しています。

 

――笠井さんは秋葉区のご出身ですよね。以前から地元で開業しようと決めていたんですか?

笠井さん:独立を考えたのは25歳のときです。そのときから地元でお店を持つことしか考えていませんでした。店舗のある荻川は僕の出身地でなんですよ。卒業した中学校もすぐそこです。

 

――荻川って、この数十年でだいぶ変わったみたいですよね。

笠井さん:街の様子はずいぶん変わりました。僕が小さい頃、この辺りは田んぼばっかりでしたから。小学校の数も今より少なかったですし。

 

 

――25歳で独立を視野に入れたということでしたが、何かきっかけがあったんですか?

笠井さん:その年齢で結婚して、「このままで大丈夫かな」「家族を養っていけるかな」って思いはじめて。まったく違う業種に転職することも考えたんですけど、当時勤めていた「ガトーシェフ三昧堂」の上司から「これから先どうする」と聞かれまして。というのは、「三昧堂」では5年勤めたら次のステップへ進むという流れがあったんです。転職するか続けるか迷っていたら、「奥さんもパティシエなんだから、いつかふたりでやっていけばいいじゃない」とアドバイスされました。それでふっと気持ちが楽になったんですよね。「自分たちの店を持ちたいな」と思ったんです。

 

――ということは笠井さんの奥さんも今、お店にいらっしゃる?

笠井さん:はい、一緒に働いています。

 

――気がつかず失礼しました。結婚がきっかけで、独立を考えるようになったんですね。

笠井さん:「いつか生まれ育った荻川で独立しよう」って、25歳からずっと思っていたんですね。ちょうど荻川が変化する時期でもありました。僕が23歳のときに新しい小学校ができて、それを皮切りにどんどん発展して。縁もゆかりもない土地で商売をするつもりはなく、お世話になった場所で、お世話になった人たちに自分が作ったケーキを食べてもらいたかったんです。

 

口溶けの軽い、懐かしさのある自慢のロールケーキ。

――この度、いよいよ独立という目標を実現されました。決め手となったことは?

笠井さん:下の子どもが小学生にあがるタイミングだったのもありますかね。あとは35歳をひとつの区切りにしていました。社会に出て15年、ある程度の経験を積み重ねた年齢だけど、まだまだ可能性があるだろうってことで。

 

――スイーツのことも教えてください。どんなところに力を入れていますか?

笠井さん:フルーツをふんだんに使って、季節の移り変わりを感じていただける商品構成にしているつもりです。あとはロールケーキですね。うちの看板商品「リヤンロール」は、1年半くらいかけて作り上げた自信作です。

 

 

——取材の間にも何本も売れていましたね。

笠井さん:ロールケーキって家庭で食べるにも贈り物にするにもぴったりだと思っていて。そこまで高くもないから、気軽に買えるじゃないですか。いろいろなリクエストにマッチするだろうし、どんなロールケーキにしようかずっと考えていたんですよ。

 

——けっこうシンプルなロールケーキですよね。

笠井さん:パッと見た感じは「普通」です(笑)。でも実はごまのハチミツを使っていて、みたらし団子みたいな甘さが隠し味なんですよ。初めて食べたときでも、懐かしさがある理由はそれなんです。

 

——看板商品となると材料や配合など、いろいろと迷われたのでは。

笠井さん:食べた瞬間にスッとなくなるような軽い食感にしたかったので、材料は慎重に選びましたね。何回焼いたかわからないくらい試作しました。

 

いつ来ても飽きない、愛され続ける店づくり。

——オープン後の反響はいかがですか?

笠井さん:ありがたいことにたくさんのお客さまに来ていただいています。荻川の方もけっこう来てくれるんですよ。

 

——パティシエ兼経営者となって、気持ちに変化はありましたか?

笠井さん:修業していた頃は作ることばかりに夢中で、お客さまと接する機会が少なかったんですよね。今はお客さまとの距離が近いっていうか、感想とかリクエストとかを直接聞けるからありがたいですよね。

 

 

——お話しされていたような「荒波の中を船で進む感覚」は大丈夫ですか?

笠井さん:現段階ではわかりません(笑)。まだオープンした直後の勢いがあるでしょうから、これからですよね。一度来てくださった方にまた来てもらえるように商品を入れ替えたり、四季を演出したりしようと思っています。お客さまを飽きさせない工夫はまだまだできるでしょうからね。

 

 

 

PATISSERIE Lien

新潟市秋葉区あおば通1-7-10

tel/250-24-2840

営業時間/10:00~18:00

月曜定休、火曜不定休

※掲載から期間が空いた店舗は移転、閉店している場合があります。ご了承ください。
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