小千谷市に焦点を当てて、グルメやお出かけ情報などを発信している「おぢやおやじ」。中の人は顔出しをしていませんが、お祭りやイベントでご本人にお会いしたことがある方もいらっしゃるのでは。とても気さくで、思いやりがあり、小千谷を愛してやまない「おぢやおやじ」に、活動をスタートしたきっかけや読者への思いなどをお聞きしてきました。
おぢやおやじ
1988年小千谷市生まれ。東京の大学を卒業後、県内企業に就職。小千谷市内に転職し、2022年から「おぢやおやじ」として活動。「地元民が知らないスポットを愛をもって伝える」がモットー。
――「おぢやおやじ」は、小千谷市のグルメやイベント、おすすめスポットなどを発信されていますよね。どうして小千谷の魅力を発信しはじめたんですか?
おぢやおやじさん:転職が決まって小千谷市に住まいを移そうかという頃、市内をぶらぶら散策したんです。生まれ育った町なのに、「あれ、知らないお店がけっこうあるもんだな」ってたくさん発見がありました。例えば、豆菓子の製造販売をしている「竹島屋製菓」さん。お菓子はもちろん美味しいんですけど、たまたま買った「豆茶」の美味しいこと。すっかり虜になりました。他にも今まで知らなかったスポットがいくつもあって、「小千谷っておもしろいな」と思ったんですよね。
――地元の魅力を再発見されたんですね。
おぢやおやじさん:その出来事は、確か冬だったんですよ。ちょっと寂しさを感じていたのかな。転職活動がひと段落した頃で、なんとなくポカーンとした空虚さを感じていたのかもしれません。人の優しさ、お店の皆さんの暖かさをひしひしと感じました。こんなに素敵な町なんだから「魅力を伝えなくちゃ」と思って、Instagramで情報発信をはじめたんです。
――小千谷の魅力を紹介するってコンセプトで、ですか?
おぢやおやじさん:活動をはじめた頃は、そこまでの気持ちはありませんでした。でも小千谷を知れば知るほど、愛と誇りが芽生えてきて。それと同時に、子どもの頃に見た町の姿とは大きく変わっていること、お店の数が減っていっていることも見えてきました。
――わかります。寂しいけど、私の地元もそうです。
おぢやおやじさん:今、娘が3歳なんですね。大きくなって市外で暮らすことになっても、いつか小千谷に戻ってきてもらいたいっていうのが親心でして。大人になった娘が「帰ってきたい」と思える小千谷にしたい。それがおぢやおやじの本心です。
――活動初期はどんなメディアだったんですか?
おぢやおやじさん:「メディア」だなんて言えるものではなく、ネット上でポツポツと情報発信するだけでした。大勢の人に小千谷のことを知ってもらいたいな、もっと好きになって欲しいなって思いはありましたけど、まさかこんなにたくさんの方に知ってもらえるようになるとはまったく想像しませんでした。
――広まるきっかけがあったんでしょうか?
おぢやおやじさん:僕、分析するのが好きで「どうしたら反響があるかな」ってけっこうリサーチするんですよ。広告を出してみたりいろいろ試してみた中で、いちばん反響が大きかったのは地元の中学校、高校ネタでした。
――それはいったいどんな内容ですか?
おぢやおやじさん:文化祭のネーミングとか修学旅行の行き先、購買のパン屋さんはあそこのお店だったよねとか、その学校出身の人が見たら「わかる、わかる。懐かしい」って思う話題です。
――きっと共感を生むんでしょうね。でもどうやってネタを仕入れてくるんですか?
おぢやおやじさん:勤め先や地元の友達に聞いたり、あとはInstagramで質問してみたりもしますよ。
――若者の反応が良かったんでしょうか。
おぢやおやじさん:どちらかというと40代、50代の方が懐かしがってくれている感じがしました。あ、でも、若者も見てくれているんですよ。隣の家の小学2年生が「インスタライブ見てるよ」って教えてくれましたし、踏切で遭遇した小学生も「あ、おぢやおやじだ」って声をかけてくれて(笑)。自分のアカウントに小学生が興味を持っているなんて、すごく嬉しいです。
――本業もあり、大変お忙しいと思うのですが、「おぢやおやじ」としてのモチベーションはどこから湧いてくるんですか?
おぢやおやじさん:それはもう間違いなく、見てくださる皆さんのおかげです。コメントやメッセージも励みになります。自分なりのかたちで役に立ちたいって気持ちがすごくあって。「デートにおすすめの場所はありますか」「子連れで楽しめるスポットがあれば教えてください」「還暦のお祝いにいいお店はどこでしょう」なんてメッセージにお返事をして「ありがとう」と言われると、ほんとうに嬉しくて、嬉しくて。生きていてよかったなと思うくらいです。
――活動をはじめてもうすぐ3年ですね。
おぢやおやじさん:最近は、「おぢやおやじ」の企画にリクエストをいただくこともあるんです。「このイベントを取り上げてほしい」とか。山本山で落とし物を拾った人から「落とし主を探したいからストーリーズで呼びかけてください」とお願いされたこともあるし、「猫がいなくなっちゃったから探して」っていうケースもありましたね(笑)
――ファンからダイレクトに反応がもらえるって、メディアを運営されている方の醍醐味ですよね。
おぢやおやじさん:「ファン」なんて、恐れ多いですよ。今はいろいろなメディアがあるのに、自分の投稿に関心を持ってもらえるなんて、もうほんとうにびっくりです。
――「おぢやおやじ」さんが目指していることを教えてください。
おぢやおやじさん:「小千谷のことならここをチェックすれば大丈夫」っていう仕組みを作りたいなと思っていて。グルメはもちろん、アクティビティ、住まい、旅行、習い事、美容、ファッションなどの情報がぜんぶ詰まっているサービスです。小千谷でアルバイトをしたい人と職場のマッチングサービスとか「季節の小千谷ツアー」とかもできそうだし、子育て中のパパママを支援することもできるかもなと考えています。マンパワーの限界があるので、あくまで理想論ですけどね。
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